ギレン・ザビ演説

 今日はギレン・ザビの演説です。

 我々は一人の英雄を失った。しかし、これは敗北を意味するのか? 否! 始まりなのだ! 地球連邦に比べ、我がジオンの国力は30分の1以下である。にもかかわらず今日まで戦い抜いてこられたのは何故か? 諸君! 我がジオン公国の戦争目的が正義だからだ。これは諸君らが一番知っている。我々は地球を追われ、宇宙移民者にさせられた。そして、一握りのエリートらが宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して50余年、宇宙に住む我々が自由を要求して何度踏みにじられたか。ジオン公国の掲げる人類一人一人の自由のための戦いを神が見捨てるはずはない。私の弟! 諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ。何故だ!?(坊やだからさ) 新しい時代の覇権を選ばれた国民が得るは、歴史の必然である。ならば、我らは襟を正し、この戦局を打開しなければならぬ。我々は過酷な宇宙空間を生活の場としながらも共に苦悩し、錬磨して今日の文化を築き上げてきた。かつて、ジオン・ダイクンは人類の革新は宇宙の民たる我々から始まると言った。しかしながら地球連邦のモグラ共は、自分たちが人類の支配権を有すると増長し我々に抗戦する。諸君の父も、子もその連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ! この悲しみも怒りも忘れてはならない! それを、ガルマは! 死をもって我々に示してくれた! 我々は今、この怒りを結集し、連邦軍に叩きつけて、初めて真の勝利を得ることができる。この勝利こそ、戦死者全てへの最大の慰めとなる。国民よ立て! 悲しみを怒りに変えて、立てよ! 国民よ! 我らジオン国国民こそ選ばれた民であることを忘れないでほしいのだ。優良種である我らこそ人類を救い得るのである。ジーク・ジオン!

 秀逸な演説だと思います。一人の死を英雄の死に仕立て上げ、さらに、それを個人の悲しみではなく国家の悲しみとすることにより、国民の心をまとめあげています。内容への賛否はあれ、煽動的な言葉回しと論展開には見習うところが多いでしょう。

 シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』を思い出しました。シーザーを暗殺したブルータスが民衆に向かって暗殺の理由を演説した場面です。あの演説も、裏切りによる暗殺を勧善懲悪の行為だと煽り立て、聴衆に自らの正当性を信じ込ませようとするものです。ギレン同様、人の心を鷲掴みにする佳良な演説です。

 ブルータスに続くアントニーの演説も優れています。こちらは、シーザーの暗殺が不当行為であることを、シーザーの人柄を表現する事例を具体的に示しつつ、理詰めで人々を納得させようとする演説です。感情に訴えるのではなく、理性に訴えるような演説です。ギレンやブルータスとは対極にありますが、頭で理解しやすい演説です。

 ブルータスやアントニーの演説は岩波文庫などで読んでみてください。演説をする際の参考になりますよ。ちなみに、私はどちらかと言えばアントニーの演説を目指しています。ギレンやブルータスが嫌なのではなく、彼らのようなカリスマ性に乏しいために、理性と論理で勝負するしかないからです。はい、後ろ向きです。

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benyamin ♂

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