覚書 070920

中沢剛「英国ノーザンロックが経営危機」三菱UFJ証券『欧州経済フラッシュ』No.022(2007年9月18日)。
・ノーザンロックは、もともとは住宅ローン金融専業のビルディングソサイエティだが、97年に銀行転換・株式会社化した。資金調達の73%を(リテールの個人預金ではなく)マネーマーケットに頼るため、市中金利の高騰によって収益環境が悪化していた。同様に、資金調達の5割強をマネーマーケットに頼る旧ビルディングソサイエティのアライアンス&レスターやブラッドフォード&ビングリーでも収益不安が囁かれており、特に前者の株価は17日に急落した。
・英国は、住宅ローン専業のビルディングソサイエティが伝統的に発達していたが、協同組合方式で経営基盤が弱く、90年代に多くが株式会社化し、銀行化したものも多く、幾つかは大銀行グループの傘下に入った(例:ロイズTSBに買収されたチェルトナム&グラスター)。これは、同時期に外資系金融グループへの身売りが相次いだマーチャントバンクとも軌を一にする動きだ。その中で、ノーザンロックなどは独立を維持してきたが、ここにきてその限界が露呈した形である。
【脚注】ビルディングソサイエティ(building society):住宅金融組合。貯蓄貸付組合と同様であり、貯蓄と住宅ローンを行なう金融機関である。

伊藤さゆり「欧州経済見通し」ニッセイ基礎研究所『Weekly エコノミスト・レター』2007年9月14日号。
・ユーロ圏:ECBは当初予定していた9月利上げを見送り、追加的資金供給を行なった。
・イギリス:過去の利上げが住宅市場に及ぼす影響と、世界的なリスク再評価の動きを見極めるため、政策金利は据え置きが続くと予想する。
・2つのドイツの銀行の問題は、傘下のSpecial Vehicle(SV)が資金繰りに行き詰まったことが原因だ。SVは、ABCPなどで短期・低利のファイナンスを行ない、サブプライム・ローンなどを裏付け資産とする債務担保型証券(COD)、資産担保証券(ABS)などへ長期・高利回りの運用をすることで収益を上げていた。しかし、サブプライム・ローンの延滞率の上昇、格下げによってCOD、ABSといった資産の評価が下落、流動性が大きく低下する一方、ABCPなどの借り換え発行が困難化したことで、バックアップ・ライン(信用枠制度)を設定していた親銀行に影響が及び、その金額が親銀行の対応力を大きく超えていたために、資金繰りが行き詰まった。問題の本質は「期間のミスマッチ」という伝統的なものである。(p.5)
・なお、8月9日のパリバ・ショックに対してECB、FRBを始めとする多くの中央銀行が資金供給による市場安定化を迫られる中で、目立った措置を講じてこなかったBOEも、各行が提出した資料から銀行の準備金の積み増し需要の拡大が確認されたことに対応し、9月に入って、6日に政策金利の水準で積み増し需要に対応した。
 しかし、BOEの基本スタンスは、キング総裁が下院財務委員会に9月12日に提出した報告書で示したように、インターバンクのターム物金利の上昇や銀行の貸出先の見直しは、「銀行の資産構成に関する選好が変化することによる自然な結果」であり、(FRBが行なった)公的歩合貸出による適格担保要件の緩和や、(ECBが行なっている)より長めの資金の供給については、「過剰なリスク・テイクを奨励し、将来の金融機関の種をまくことになる」というものだ。
 また、今後の見通しは不透明としながらも、「流動性の確保には限界がある」、「銀行システム全体としては、(証券化商品市場の流動性低下で困難に直面している)ファンドの資産を取り込んでも持ちこたえるだけの強さがある」とした上で、「適切な対応が講じられれば、長期的な経済の安定を脅かすものではない」との見方が示された。(p.12)
【脚注】実際にはBOEは後の9月19日に方針を転換した。

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