『大学生の学力を診断する』

 今日は戸瀬信之・西村和雄『大学生の学力を診断する』(岩波新書、2001年)を読みました。

 大学生の学力、とりわけ数学の能力が低下していることを、各種テストによって実証している本です。数学力の低下は、大学受験で数学を選択していない文系学生のみならず、理系の学生でも見られる現象です。また本書では、偏差値の低い大学だけが抱える問題ではなく、国立大学の学生でも学力は低下している実情が示されます。

 本書の9割はそうした実証部分です。残りの1割では、これまで確認してきた大学生の学力低下は、いわゆる「ゆとり教育」が原因だと主張しています。「ゆとり教育」の下で、教科内容と履修時間が削減されたために、学生が必要な学力を身につけずに大学に入学してしまっている、と論じられています。

 本書の力点は残りの1割のほうに置かれていると思います。本書の目的は、題名通り、大学生の学力を診断することですが、それ以上に「ゆとり教育」の弊害を浮き彫りにすることが念頭にあると思います。もちろん、こちらの部分については論証が薄く、因果関係が明確にはされていませんが、非常に強い問題意識を感じました。

 非常に軽い本ですので、大学学力低下問題に関心がある人は、さしたりの取っ掛かりとして読んでおくと良いでしょう。

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benyamin ♂

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