2008年1月アーカイブ

覚書 080131

『経済マンスリー 西欧』2008年1月18日。
●英国
・雇用については、11月の失業率が2.5%と依然、低水準にあり、雇用情勢は良好である。しかし、雇用は景気の遅行指標であり、今後景気動向に応じて、悪化する可能性が高い。
・消費信頼感指数については12月も、前月より0.9ポイント低下し、マイナス5と、2ヶ月連続で悪化した。11、12月の消費者マインドの悪化幅は大きく、個人消費の先行きには注視する必要があろう。
・英国の住宅価格は12月に前年比プラス6.4%と4ヶ月ぶりに反転上昇した。前月比でみても、11月までに3ヶ月連続して下落していたが、4ヶ月ぶりに上昇に転じた。ただし、これをもって住宅価格が加速に転じることは、ほとんど期待できない。実際に、銀行の貸出姿勢は、住宅ローンを含め全般的に一層厳格化しており、住宅ローンの承認件数は前年水準を大きく下回っている。こうしたことから、住宅価格については、当面減速傾向が続くであろう。
・BOEは10日の金融政策委員会で政策金利であるレポ金利の据え置きを決めた。(中略) 12月にFRBやECBなど5カ国の中銀が、国際協調による緊急流動性対策を発表したが、その対策の効果を見極めたいという思惑があったとも考えられる。ただし、マクロ経済の減速トレンドが変化したわけではなく、過度の景気減速を回避するために、2月の金融政策委員会では25bpの 利下げが実施されるであろう。

城野敬子「「子供達のための計画(Children's Plan)」をめぐるイギリスの世論」日立総研『欧州レポート』2008年1月29日。
・日本の教育の方が効果的だと感じるのは、算数。小学校3年生の娘の宿題を見ていると、これまで学習した内容とは脈絡なく、突然に分数や小数の宿題が出て「なぜ突然こんな内容を?」と思うことがある。また「この図形の学習は昨年もやったはずなのに、同じことをなぜ今年も習うのだろう?」ということもあり、教えられる内容に段階的な流れが内容に感じられる。日本国内ではさまざまな問題が指摘されているとはいえ、イギリスに比べれば、日本の小学校の算数教育は段階的で系統立っていると思う。
・2007年12月、政府はイギリスを子供が育つのに世界で一番良い場所にすることを目指した今後10年間の戦略として「子供達のための計画」を発表した。この計画に沿って最初の3年間で10億ポンドが投じられる予定である。この「子供達のための計画」は次のようなことを目指している。1. すべての家族、とりわけ幼い子供のいる家族への支援の改善、2. 世界最高水準を学校で達成するための取り組みの推進、3. すべての親が子供の学習に参加、4. 子供に学校外でのより多様な活動を提供し、より多くの遊び場を提供。
・今回の戦略のポイントは、政策の焦点を「教育」から「子供」に移したことだと言われている。ブラウン首相就任に伴い2007年6月に行なわれた省庁の改正でも、教育問題を担当するのは「子供・学校・家族省(DCSF:Department for Children, School and Families)」となり、子供のおかれている環境の改善を目指す視点からの政策という方向性がすでに打ち出されていたが、「子供達のための計画」はこの方向性を具体化したものと言えよう。
・しかし、マスメディアの報道を見る限りでは、今のところ、この戦略の有効性について懐疑的な意見が多い。この計画によって、これまで以上に初等教育に対する国家の介入が強まることに批判の声があるだけでなく、「教育」に代わって「子供」を戦略の軸に据えることで、教育の枠を超えて子供の生活全般に国家が介入することを警戒する声が強い。
・福田誠治『競争しても学力行き止まり イギリス教育の失敗とフィンランドの成功』朝日新聞社、2007年10月25日。

橋本択摩「Euro Weekly(1/21〜1/25) 景気先行サーベイ、期待指数は改善」第一生命経済研究所『EURO Incicators』2008年1月28日。
・イギリスの10−12月期実質GDP成長率(速報値)は前期比プラス0.6%、前期比プラス2.9%となり、前期からやや減速したものの引き続き潜在成長率(プラス2.5%)を上回る成長となった。2007年通年では2006年対比プラス3.1%と高い伸びとなった。産業別にみると、製造業の伸びが前期比プラス0.3%と依然として低い伸びとなった一方、建設業、サービス業がともに同プラス0.7%となった。サービス業については、サブプライム問題に端を発した金融市場の混乱を受けて、企業向けのサービス業・金融業が同プラス0.4%(7−9月期同プラス1.3%)と大きく伸びを鈍化させたものの、運輸・通信業などその他のサービス業がそれを補った格好だ。
・2008年入り後のイギリス経済は、さらに減速を余儀なくされると見込まれる。ライトムーブの調査による1月のイギリス住宅価格は前月比では3ヶ月連続の下落となっており、住宅価格の下落がもたらす消費の下押し圧力は今後強まる見通しである。キングBOE総裁は1月22日の講演で、5.5%の政策金利は需要を圧迫しているとの見解を述べている。1月9−10日のBOE金融政策決定会合の議事要旨によると、利下げを支持したのはブランチフラワー委員ただ1人だったようだが、2月6−7日に開かれる決定会合では全員一致での0.25%利下げが決定されよう。

圓佛孝史「「プリンシプルベース」の監督・規制手法における「もう1つのプリンシプル」」『みずほ総研論集』2008年1号。
・一般に「プリンシプルベース」の監督・規制アプローチとは、政策を通じて達成しようとする結果を「プリンシプル(基本原則)」として示し、その結果を達成する手法・プロセスを金融機関に委ねる結果志向の方法のことである。「プリンシプル」では、金融機関が業務遂行上守るべき内容が一般的な表現で示される。結果志向であることの裏返しとして、同じ結果を達成するのに複数の手法があることを認めており、金融機関の上級経営層は、自らの業務内容に応じて実効性のある手法を選択・実施する責任を負うと同時に、
・「プリンシプルベース」に対峙する概念は「ルールベース」で、一般には個々の状況に応じた詳細な規制(ルール)の制定を通じて政策目的を達成しようとする手法を指す。「ルールベース」の場合、政策目的を達成するための具体的なプロセスについて詳細に規定される傾向が強いと言われ、金融機関が何をすれば良いか(何をしてはいけないか)が具体的に記述される反面、経営上の自由度も限られることになる。
・こうした概念上の区別はできるものの、実際の監督・規制アプローチが純粋な「プリンシプルベース」や「ルールベース」になるとは考えにくく、「プリンシプル」と「ルール」が1つの規制体系に混在するかたちになると考えられる。したがって、実務的には、両者の二者択一ではなく、個々の局面に応じて「プリンシプル」と「ルール」をどう使い分けるかというバランスが問われることになる。
・英国で金融機関や金融市場に対する監督・規制活動に責任を負うFSAは保証有限責任会社(company limited by guarantee)という形態の民間会社である。組織上は、86年金融サービス法の下で監督・規制機能を持っていた証券投資委員会(SIB)の改組により97年に発足し、新たな枠組みを定めた「2000年金融サービス市場法(FSMA)」の制定を受けて2001年12月から本格的に稼働している。
・FSAは「金融機関・市場に対する規制・監督」という公的機関を担う民間会社という性格を持つ。政府の所管官庁は財務省であり、FSAは財務省に対する年次報告書の提出などの義務を負うが、法務省は法制化を通じた大きな枠組みの構築に責任を持ち、確立された枠組みの中でFSAが日々の活動を行う、という関係がお互いに確認されており、基本的にFSAは運営上の独立性が確保されている。
・FSAの業務運営に必要な資金は、監督下にある金融機関から徴収する手数料や課徴金ですべて賄われており、手数料の徴収方法や資金の具体的な使い方について、市中協議その他の手段を通じて、金融業界からも納得を得られるようにしている。
・英国で最も注目されている最近の動きは、「プリシプルベース」への傾斜を強める方針を打ち出していることだろう。ただし、1つ注意しなければならないのは、FSAは、「ルールベース」から「プリンシプルベース」に大きく舵を切ろうとしているのではなく、これまで行なってきた「プリンシプルベース」的側面を持つアプローチを一段と強化しようとしている、ということである。
・FSAが「プリンシプルベース」への傾斜を強める背景には、投資商品の不適切な販売・勧誘など、詳細なルールが存在した環境下での過去の経験を踏まえ、「ルールベース」中心のアプローチを通じた規制目的の達成には限界があり、個々の状況に最適な手段・プロセスを判断する役割を、当局ではなく事業内容を熟知した金融機関に委ねる方が目的達成という観点で適している、という判断がある。
・FSAの監督・規制アプローチにおける「運営面のプリンシプル」とは、FSAの役割の明確化や説明責任、公正さの確保策などが図られるような法律上の枠組みの下で、「失敗ゼロ」からの脱却を前提とした上で「リスクベース」「費用・便益の規律」「対話の重視」などで特徴づけられる行動上の規律を機能させるものであるといえる。金融機関が守るべき「プリンシプル」や「ルール」のバランスの最適化や金融機関による自主性・自律性の発揮も、こうした「運用面のプリンシプル」が機能し、関係当事者の暗黙の了解事項となる中で行なわれている話であって、英国はこうした全体像を持つアプローチを通じて高い国際競争力を持つバランスの取れた規制環境の実現に取り組んできたと考えられる。
・覚書注:憲法に比重を置き、各法律の比重を下げていくような法体系である。一般的な内容の憲法では個々の事例に対応できないために、それぞれの法律があることを念頭に置けば、プリシプルベースにしたところで、長期的にはルールベースとなっていくだろう。その場合、ルールは、法律で言えば判例のようなかたちで積み上がっていくことになるだろう。結果的には実質が変わらないようにも思える。憲法に該当するプリンシプルを今一度確認して、明確に位置づけた点が改革の本質の1つだろう。
・覚書注:その一方で、規制当局が規制対象の発展に対応できなくなった状況が背景にあることも指摘されるべきである。したがって、ルールベースからプリシプルベースへという流れは表象に過ぎず、規制主体が規制当局のFSAから規制対象の金融機関に移行されるという点が実質的な改革内容である。金融機関が自分で自分を規制するという手法が成功するかどうかは、英国金融にとっても注目すべき論点であるし、規制改革として見れば、普遍的な政策論としても議論されるべきであろう。

堀江奈保子「年金支給開始年齢の更なる引き上げ 67歳支給開始の検討とその条件」『みずほ総研論集』2008年1号。
・各国の年金制度(2006年)
・日本
 保険料率 一般被用者:14.642%(労使折半)
      自営業者など:月額13,860円
 平均支給月額 16.9万円
・米国
 保険料率 12.4%(労使折半)
 平均支給月額 963ドル(約11.2万円)
・英国
 保険料率 一般被用者:23.8%(本人:11.0%、事業主:12.8%)
 平均支給月額 365.08ポンド(約7.8万円)
・ドイツ
 保険料率 19.5%(労使折半)
 平均支給月額 職域年金:823ユーロ(約12万円)
        労働者年金:623ユーロ(約9.1万円)
・覚書注:日本の給付水準は世界では高水準にある。負担率はアメリカに次ぐ低水準である。年金に限って言えば、日本は超低負担高福祉である。このような制度が維持できるはずがない。負担を上げるか、給付水準を下げるしかないだろう。
・年金の支給開始年齢を引上げる条件の2つ目としては、支給開始年齢までの雇用の確保がある。前述の通り、支給開始年齢が引上げられても、支給開始年齢までの雇用が確保され、高齢者が就業しやすい環境が整っていれば、年金支給までの稼働所得が得られることになる。
・日本では、定年年齢を定める場合には60歳以上であることが求められているが、2001年度から年金の満額支給開始年齢が段階的に65歳まで引上げられているため、2006年度から段階的に65歳まで雇用を確保することが企業に義務付けられた。しかし、60歳以降の雇用は、必ずしも希望者全員でなくてもいいことや、フルタイム勤務が義務づけられているわけではないため、60歳で定年退職する労働者が多い企業もある。
・英国は、欧州のなかでも年金や失業給付の給付水準が低いうえ、年金の繰上げ支給制度がなく、繰下げ支給時の給付増額率が高いため、高齢者の就労意欲を高める社会保障制度となっている。このため、欧州諸国のなかでは、比較的高齢者の就業率は高い。(覚書注:英国で高齢者が就労するのは、労働意欲が高められた結果ではなく、年金の給付水準が低いから生活のために働かざるをえないためである。もっとも、働けるうちは働くべきだとの意見もあろうから、英国のこうした制度がダメだと断じることはできない。)
・ただし、疾病や障害のため就労することができない者に支給される就労不能給付については、期間に制限がなくこれを受給することができるため、一度これを受給し始めると再就職しない者が多く、高齢者の早期引退が促進されるといわれている。そこで、就業の可否の審査要件を定め、就職の可能性がある者に対しては、訓練や就職活動の支援プログラムを行う改革の実施が予定されている。

拳銃

 今日は拳銃です。

ベレッタM92:レヴィ
ガバメントM911:ロベルタ
グロック17:エダ
デザートイーグル:ヨランダ

 いつものように謎のリストです。なお、M911はガバメント・クローンで、ブラジル・インベル社製です。

 もののついでに映画と漫画も挙げておきます。

映画
 リベリオン
 チーム★アメリカ/ワールドポリス
 選挙
 アリーマリラブ? Vol.2/8.最後に愛は勝つThe man with the bag

漫画
 ヨコハマ買い出し紀行(全14巻)
 地獄の子守唄
 デビルマン
 Dr.スランプ
 めぞん一刻
 あしたのジョー
 キン肉マン
 聖闘士星矢
 マイナス(沖さやか)

 相変わらず節操がありません。

産科不足

 今日は産科不足です。

舛添厚労相が産科医と意見交換

 医師不足が深刻化している産科医の現状を把握しようと、舛添要一厚生労働相は24日、東京都新宿区の慶応大病院を視察、産科医と意見交換した。
 舛添氏は視察後、記者団に「裁判に訴えられるから、産科は嫌だという若い医師が増えている。訴訟リスクをゼロにする方策を考えないといけない」と強調。早産などハイリスク分娩(ぶんべん)について、2008年度の診療報酬改定以降も手当ての増額などを引き続き検討していく考えを示した。
 産科や小児科で女性の医師が増加していることを踏まえ「午前中だけ働いて、午後は子育てをするような仕事の在り方が重要だ」とも指摘。
 過疎地で産科医不足から産科を閉鎖する病院が増えていることに関しては「緊急に過疎地へ派遣できる医者はいないかとお願いしたが、冗談じゃないと(断られた)。ここでも足りないということだった」と述べた。
[2008年1月24日17時34分]日刊スポーツ

「訴えられるから産科にはなりたくない」。当然の意見です。最善の努力しか追求できるはずがない医者が、最善の結果を求められている昨今、理不尽な訴訟に巻き込まれることが多い産科になろうというほうが希有です。

 医療の限界を認識せずに出産に問題が起きると医療ミスだと指摘する論調が毎日新聞を筆頭にマスコミで展開されています。それに煽られて盲信する人々が産科医をもりもりと訴えています。その一方で、高齢出産がますます増加しており、出産の危険性は高まっています。もちろん、高齢出産で出産に失敗すれば医師の所為にされてしまいます。

 いったい誰が産科になろうとするのでしょうか。医師に責任がないとは言いませんが、このような状況を作り出した連中の責任はとてつもなく重いと思います。

【080131追記】
 とうとう産科医が全員逃げ出してしまう地域が出てきました。

県立南会津病院の産婦人科休診の恐れ 1/30(水)
県立南会津病院の産婦人科が今年の4月から休診になる恐れのあることがわかりました。南会津地方では唯一の産婦人科で休診となれば深刻な状況です。南会津町にある県立南会津病院の産婦人科では2人の医師が診察や出産の対応にあたっています。しかし2人の医師が今年の3月いっぱいで退職することになりました。後任の医師は決まっていないということで4月から休診になる恐れが出ています。年間100人以上が出産する県立南会津病院の産婦人科は南会津地方で唯一出産できる医療機関で休診になれば深刻な状況となります。また県立南会津病院の産婦人科が休診することになれば県内6つの県立病院全てで産婦人科が休診することになります。
http://www.fukushima-tv.co.jp/news/news.htm#01300002

 これで「医療ミス」は100%発生しなくなりました。これで満足なのでしょう?

『よしながふみ対談集』

 今日はよしながふみ『よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり』(2007年、太田出版)を読みました。

 よしながふみは『大奥』を描いている漫画家です。他にもいくつか漫画を描いていますが、私は『愛がなくても喰っていけます』がお気に入りです。かなり気合いの入った漫画家であり、良い意味で漫画オタクであり漫画バカです。本書はそんなよしながふみがいろいろな漫画家や漫画オタクと対談した内容をまとめたものです。

 さて、最初から言い訳ですが、対談の内容が濃すぎて私にはついていけませんでした。私もたしなみ程度に漫画を読みますが、それくらいの素養では太刀打ちできないくらい込み入った対談になっています。もはや、専門用語が飛び交う討論とか議論に近いです。腕に覚えがあるオタクにはおすすめの本ですが、私のような素人オタクが手を出すとやけどします。

 もっとも本書が対象とする漫画は古典的な少女漫画が中心ですので、当該領域に日常的に接している人にとっては非常に馴染みのあることが対談されているのかもしれません。私は古典少女漫画はあまり読んでいません。最近の作品でも、対談に登場している漫画家で言えば、羽海野チカ『ハチミツとクローバー』くらいです。他には、津田雅美『彼氏彼女の事情』(白水社)がお気に入りですが、対談のなかではこれが連載されていた雑誌『花とゆめ』が色物扱いされており、議論の対象外にそっと放置されていました。

 そのあたりのことも含めて、私の能力を超えたところにある認識を前提とした対談が繰り広げられています。そこで、ここでは印象に残った発言を書き留めて、後学に期したいと思います。勝手に範疇分けして列挙します。

●女の子論
p.24
福田香里:その人限定でレイプされるほど愛されたいってことなのよ。レイプは最上級の乙女表現にすぎない。
よしなが:一般のレイプ願望ではないんだよ。レイプというシチュエーションじゃなくて、その人にどれだけ求めてもらえるか、っていう話なんだよ。
p.143
よしなが:男の子のエロ本は見て見ぬふりをされることもあるだろうけど、女の子のエロ本は見咎められるように思います。女の子の場合、早くその手の情報に目覚めすぎても怒られるじゃないですか。
三浦しをん:お前はませている、と怒られそうですね。
よしなが:女の子が本当に複雑だと思うのは、それで20歳過ぎても彼氏がいないと、今度は、どうしたと言われるわけです。
p.159
三浦しをん:「誰かいい人いないかなぁ?」って周りに合わせて言うのにもう疲れたって、最近友だちとよく言っているんですよ。
よしなが:ああ…そんな本当のことを言ってしまって(笑)。
p.252
よしなが:男性と女性では、萌えに関して大きく違いますよね。女性の萌えは、関係性に萌える。
吉村貴子:男性は、属性に萌えますよね。単体のキャラに萌える。
p.253
吉村貴子:男の人ってよく女の子のどこを見るかを話したりしますもんね。
よしなが:その「見る」っていうのも、外見だったり、自分に対して「優しい」とか、「かわいい」とかだったりしますよね。女の子の場合は、自分に対しても含め、他の人に対してその男の人がどう振る舞うかで評価したりする。

●ボーイズラブ論
p.79
よしなが:かわいいですよね、<受>が、多分ああいうのを女の子として描かれちゃうと腹がたつけど、男の子なら腹がたたないというマジックがありますね。
三浦しをん:女の子を主人公にする、でもこんなキャラだったら腹がたつという、少女漫画が抱えていた難しい部分をクリアするためにBL(編注:ボーイズラブ)が生み出されたところもあるかもしれません。
p.103
よしなが:私たちの世代だと、高校生ぐらいのときに宮崎勤の事件があって、あれからオタクに対する風当たりが余計に強くなって、自分にオタク要素があることは公言できるような空気じゃなかった。BLの登場は、そういう呪縛からようやく解き放たれたような感じがするんですよね。

●漫画家論
p.127
よしなが:結局どんなに抑えたって、オリジナリティってほっといてもにじみ出てしまうものだと思うんです。だから逆に、好きに描いていいと言われると途方に暮れます。
こだか和麻:それ、こわい。
p.206
羽海野チカ:「困っている人がいたら、とりあえず何かを食べさせる」っていうのが私の決まりなんですけど。それを読み続けてくれた人は、いつか困った人を見たら「とりあえず何かお食べよ」って言うかもしれない。
よしなが:あ、それでよく私に食べ物勧めるんだ。
p.232
よしなが:そういう描写がわからない読者は必ずいて、そういう人でも読める努力を自分の描きたいマンガを曲げずにできるのならやったほうがいいんだろうな、と覚悟するようになりました。なんでわかってくれないの!?とは思わないようにしようって。

●萩尾望都論
p.276
萩尾:それまでにも、どうして親子でこんなにうまくいかないのかと、心理学などいろいろな本を読んでいたのですが、あるときふと占いの本を読んだら、「親子でも相性が悪い場合がある」というようなことが書かれていたんです。そのときに、これが答えなのかな、と思いました。相性が悪いというのは、どうしようもないじゃないですか。だから、産んだ娘がイグアナだったら、これはもう完全に相性が悪い。愛せないわけですから。でも、娘がイグアナなんだから、本当は産んだお母さんだってイグアナじゃないのって。ただ自分の中の見つめたくない部分だからそうは見えていないだけで、本当はそうなんじゃないのって、思ったんですよね。
p.279
よしなが:主人公は新しい命になって生まれ直すんです。具体的な記憶はなくなってしまうんですけど。この生まれ直すというのが萩尾先生の作品では象徴的で。『イグアナの娘』まではそんなに具体的に親子のことだとかを描いていらっしゃらないように思っていたんですが、こうやってお話をお聞きしていると、生まれ直しを描くことで何かを描いていらしたかもしれないな、と思いました。
萩尾:なるほど…。それはどんな評論家にもいままで指摘されたことがないですね。

 私が目についた発言をごくわずか挙げました。これだけでも対談の充実ぶりや、それを先導するよしながふみの頭の切れがわかると思います。とくに、最後に挙げた萩尾望都論では当の本人の萩尾望都を唸らせています。漫画を読むのが好きで、漫画を描くのも好きで、漫画を描いている人も好きで、すべてをひっくるめて漫画が好きで好きでしかたがない雰囲気が伝わってきます。ただ、対談であるためか、時折、立場や視点のブレが見られます。それでも本書が漫画を論じる場合の一通りの枠組みを示していると思います。

『赤を見る』

 今日はニコラス・ハンフリー(柴田裕之訳)『赤を見る 感覚の進化と意識の存在理由』(2006年、紀伊国屋書店)を読みました。

 本書は人間の意識が「それほど重要ではない」ことを明らかにした業績です。「重要ではない」とは意識の活動は感覚の活動であるという意味です。つまり、脳内の物質的な作用が人間の意識を作り出しているのであり、意識は単なる生物学的現象にすぎないと言います。また、「それほど」とは、だからといって、意識の重要性はなくならないということです。なぜならば意識が重要であるのは、重要であることがその機能であるからです。

 感覚によって意識が生み出されることは、一人芝居の電話を例にして説明されています。舞台には電話をしている役者しかいませんが、その人の話し方や表情から、私たちは実際には見えていない相手の表情や、聞こえていない相手の発言を想像することができます。これは他人が感覚していることを自分の経験として感覚することで、他人に生じているであろう意識を自分のなかにも生じさせているためです。感覚を制御することで意識を操作しています。

 その一方で、こうしたことが可能であるのは、感覚を感じている経験を感じている自分がいるからです。それが意識の役割です。外界から刺激を受けて感覚が生じている自分自身を見ることが意識の役割です。局所的な感覚が繰り返され、神経回路を何度も通ることで、意識が形成されてきたことが、生物の進化の過程を振り返りつつ説明されています。意識は、したがって、進化の過程で発達させていた機能なのです。

 自分自身の身体を、そして、自分自身という存在を感じる意識があるからこそ、自分自身を大切だと位置づけることができます。自分の価値を認めることが、同様に他人の価値も認めることになります。自己が人生で追い求め続ける価値を自らのなかに作り出しているのが価値です。だからこそ、意識が感覚の産物に過ぎなくても、「意識が重要であるのは、重要であることがその機能である」のです。意識とは何かを問い続けることが重要です。

 今日は東中野修道・小林進・福永慎次郎『南京事件「証拠写真」を検証する』(2005年、草思社)および、田中正明『「南京事件」の総括』(2007年、小学館文庫)を読みました。

 昨今の日本では南京事件を再検討する動きが活発になっています。これは、ややもすれば単に右翼的な反動だとか軍国主義への回帰だとか評価されがちですが、私は歴史的事実を丁寧に確認する必要な作業だと考えています。そうした作業の到達点を確認しておこうと、この2冊を読みました。

 まず、『南京事件「証拠写真」を検証する』です。本書では、表題の通り、南京事件における日本軍の野蛮行為を示しているとされる証拠写真を検証しています。本書の結論は簡潔です。帯やエピローグの題名にあるように、「「証拠写真」として通用する写真は一枚もなかった」というものです。当該事件のさなか、日本軍が南京で虐殺や強姦を繰り返したとされていますが、その証拠として考えられていた写真はまったくデタラメだったのです。

 証拠写真とされている写真は2冊の宣伝本を源流としています。『外人目撃中の日軍暴行』と『日寇暴行実録』です。これらは反日親中感情を煽るために編集された本ですが、そこで使われている写真は合成写真であったり、事件後に工作して撮影された写真であったり、南京事件とは何の関係もない場面を移した写真でした。それらが南京で日本軍が暴れた証拠写真とされていたのです。中国はウソまみれのプロパガンダによって世界を騙そうとしました。

 中国政府が日本を貶めるプロパガンダを行なっていた時期は戦前だけではありません。1970年代以降、日本を批判するために、こうした全く関係のない写真を使用して、南京事件では日本軍が罪のない一般市民に被害を与えたと宣伝してきました。その結果、南京事件が「南京大虐殺」として世界中に流布されてしまい、現在に至っています。まったく証拠にならない写真によって日本が批判されているのです。

 かの悪名高い本田勝一がまとめた『中国の日本軍』も1972年に出版されます。彼の本における写真も先に挙げた2冊の本と同じ写真を使っており、証拠写真としては通用しないものでした。彼もウソの写真を根拠に日本を批判していました。無実の罪を日本に追わせようとする彼の行動はまったく理解できません。

 証拠写真の検証を行なった本書の業績は高く評価されるべきものです。学校の教科書でも同じ写真が掲載されて、それに基づいて南京事件が「南京大虐殺」と説明されているのですから、私たちは虚偽の内容を事実だと教えられていたことになります。正しい歴史認識のためにも、そうした事実誤認は一刻も早く修正されなければなりません。

 その一方で、本書では証拠写真を検証したにとどまっています。つまり、「南京大虐殺」の証拠写真は1枚もなかったことを明らかにしたのみです。南京事件が「南京大虐殺」ではなかったことは検証していません。それ自体は別論点になります。

 今日もう1冊の本、『「南京事件」の総括』はそうした課題に取り組んだ業績です。本書は「南京大虐殺」の虚構を明らかにしており、南京事件は「大虐殺」などではなかったことを実証しています。本書の結論も1文に要約できます。「南京事件は東京裁判より始まった」のです。日本を一方的に断罪する東京裁判において、中国側が南京事件を持ち込んで、これは「南京大虐殺」だったとして主張し始めたのが最初です。

 本書では「南京大虐殺」が虚構であることを15点の論拠から明示しています。以下、目次を参考に箇条書きで要約しましょう。

1. 当時の南京の人口:30万人もいなかった
  →中国兵:3.5万〜5万人、市民:12万〜20万人
2. 難民帰還で人口が急速に増加
  →事件後に25万〜27万人増加、治安回復の証左
3. 累々たる死体など見た者はいない
  →国際委員も外人記者も誰も見ていない
4. 国際委員会の日軍犯罪統計:大虐殺は見られない
  →犯罪件数:425件、うち殺人:49件
5. 難民区は安泰、感謝の書簡
  →日本軍の保護により婦女子の殺人なし
6. 架空の捕虜大量殺害説
  →元陸軍伍長の話を毎日新聞と本田勝一が改竄
7. 崇善堂の11万埋葬のウソ
  →事件後に作文された文書の数値
8. スミス博士の「戦争被害調査」:虐殺なし
  →学術的調査だが虐殺派は無視
9. 何應欽上将の軍事報告
  →中国軍の資料に大虐殺の記録なし
10. 中国共産党の記録にもない
  →東京裁判までは何も記録に残っていない
11. 国際連盟も議題にせず
  →国際的な非難を浴びてはいない
12. 米・英・仏などからの抗議もなし
  →無いものに対しては抗議できない
13. 米・英のマスコミはほとんど取り上げず
  →記事にも社説にも大虐殺は書かれていない
14. 箝口令など布かれていない
  →報道に関して規制はなかった
15. 目撃者のいない"大虐殺"
  →記者もカメラマンも虐殺を見ていない

 まさに無から捏造した有が「南京大虐殺」であったことがよくわかると思います。もちろん、南京事件によって多くの兵士が死にました。日本軍も中国軍もです。しかしながら、これは軍事行動による戦死であり、一般市民を無差別に殺す虐殺ではありません。その虐殺であっても全くなかったことが本書で明らかにされています。中国政府はなかった虐殺をあったと主張しています。その上、人口が30万人もいない南京で30万人を虐殺したと言っています。いったい誰を殺したことになっているのでしょう。

 本書が提示する南京事件の実態は多くの人々を動揺させるかもしれません。何よりも当の中国政府がたじろいでいるようです。本書のあとがきによれば、中国政府は本書を内部資料として翻訳していたそうです。自らのウソを徹底的にかつ網羅的に暴露した本書を無視できなかったのでしょう。虐殺を捏造した張本人である中国政府も注目する業績を、その当事者であり被害者である日本人が読まないわけにはいかないと思います。

 本書の登場によって、歴史的事実としての南京事件を知らずして日本の戦争責任は議論できなくなりました。今後は「南京大虐殺」という言葉を使うことすら恥ずかしくなると思います。まったく存在しなかったことで日本を非難している中国が哀れになります。先に取り上げた「証拠写真」の本も含めて、今回の業績が示している内容は人によっては受け入れられないでしょうが、いずれもまずは一度、目を通してみることを是非ともおすすめします。現代日本史の再学習としても良いと思います。

所要時間 17:1601→1608→1611→1640→1650

恵方巻き

 今日は恵方巻きです。

 コンビニエンスストアで買い物をしたら、恵方巻きのチラシをもらいました。ここ数年、新年が明けるとコンビニエンスストアが恵方巻きを宣伝し始めます。節分に恵方を向いて食べる巻き寿司です。太いアレを無言で食べ切ると良いことがあるようです。

 でも、いつから恵方巻きなどという片田舎の風習が主流にしゃしゃり出てきたのでしょう。節分と言えば、全国的に豆まきだったはずです。豆よりも巻き寿司のほうが金になるから、あたかも一般的な風習のように売り出しているのでしょうか。おまけに1本500円とかあり得ない値段がついています。

 いちばん驚いたのは、チラシに女性用の恵方巻きがあったことです。「女性にも食べやすい手頃なハーフサイズ」とのことです。……もはや恵方巻きとは関係なくありませんか。単なる巻き寿司です。ここにきて正体見えたりという感じです。衣の下の鎧が見えまくりです。

 由緒ある記念日が拝金主義に侵されていく瞬間に私たちは立ち会っていると思います。

『論文捏造』

 今日は松村秀『論文捏造』(2006年、中公新書ラクレ226)を読みました。

 論文捏造というと昨今ではES細胞に関する韓国人研究者が即座に惹起されますが、本書で扱っているのは超伝導に関する論文の捏造です。NHKがドキュメンタリー番組の題材にしましたが、BS放送で放映されましたので、多くの人々は知らない事件かもしれません。その便宜を図り、資料を補強しながら、番組を活字に直したものが本書になります。

 事件の舞台はベル研究所です。アメリカが誇る研究所であり、ノーベル賞学者を何人も排出している名門研究所です。事件の中心はドイツ出身の研究者、シェーン(ヤン・ヘンドリック・シェーン)です。2000年に物理学会に登場し、その研究は世界から注目されました。当時29歳でしたが、ノーベル書は確実だと太鼓判が押されるほどの業績を積み上げました。

 研究は超伝導に関するものです。超伝導とは物質に電気抵抗がなくなった状態です。この状態で電気を流すと、まったくの抵抗がなく流れます。超伝導を電線などに応用できれば、送電線の電気抵抗によって失われる電気がなくなります。送電による電気の喪失がなくなるのです。したがって、たとえば砂漠に発電所を作って生活圏に電気を送ることも可能になります。

 発電と送電に革命的変化をもたらす超伝導は、しかしながら、超低温でしか発生しないという難点があります。20世紀初頭に発見された当初は実験条件が絶対零度でした。超低温を送電線全体に実現することは費用的に不可能です。送電による電気損失よりも費用がかかります。これでは意味がありません。

 そこで有機物が注目されました。有機物とは炭素化合物です。この化合物を構成する物質の種類と比率によって、超伝導が発生する温度が変化するのです。つまり、超低温でなくとも超伝導の状態を作り出すことができます。研究者の間では極力常温に近い温度で超伝導が起こるような有機物を生成することが21世紀の課題になっています。

 シェーンが活躍したのはこのような超伝導と有機物の分野です。2000年以降、世界記録を大きく更新する研究成果を次々に発表しました。世界の研究者に大きな衝撃を与え、シェーンは尊敬の眼差しで見られることになりました。彼は科学の世界に大きな変革をもたらす先導者として位置づけられていました。

 研究成果をまとめた論文に捏造が発見され、シェーンがベル研究所を解雇されるのは2002年9月です。裏返せば、実に3年もの間、捏造に誰も気がつかなかったのです。いや、気がついたとしても誰も指摘できなかったのです。

 捏造だと疑う声はシェーンが最初に研究を発表した直後からなかったわけではありません。彼の研究を誰も再現できないのです。自然科学の分野では画期的な研究が発表されると、それを先行研究として取り込むためにも、実験で再現しようとします。が、世界で誰一人、シェーンの有機物を再現できませんでした。

 なぜこの段階でシェーンの業績に疑問を抱かなかったのでしょうか。それは捏造の立証が難しいからです。再現性かないことがすぐさま捏造の証拠にはなりません。また、無能だから再現できないだけではとの批判を振り切って、捏造だとの声を挙げることには相当の危険性が伴います。

 最終的に捏造を立証する決め手となった証拠は図表でした。まったく同じ図表が何本もの論文で使い回されていたのです。縦横の尺度を変えて微妙にグラフを変形させて別の図表のように見せかけていました。実験でデータを取らずに数値を捏造して、超低温でなくとも超伝導が発生した論拠としていました。まがうことなき捏造です。

 シェーンは捏造を認めていません。ベル研究所を解雇される時も自分の研究の真実性を主張しています。なぜ彼が論文捏造という大罪を犯してしまったのか。現在、シェーンは取材を受け付けていないので、誰にも彼の動機はわかりません。本書でも解明されていません。その代わり、本書が指摘している点は推察される背景的な要因です。

 研究の分野では、とりわけ、超伝導のような最先端の分野では競争が激化している上に、効率性の追求によって早期に成果を出すことが求められています。さらに、国家的な期待を背負わされているため、単なる成果ではなく、世界的に見て質の高い成果が要求されています。このような圧力にシェーンは耐えられなかったのではないか、と。

 決して他人事ではありません。研究の世界に漂う雰囲気はまさに本書が指摘する特徴があると思います。この文脈を重視するのであれば、シェーンの論文捏造は個人的資質の問題ではなく、学者世界の構造的な問題と言えるかもしれません。

 本書では科学雑誌や学会が監査機能を強化するべきだとの提言をしています。が、これは難しいと思います。どの分野であれ、学問は常に最先端でのことを対象にしています。言い換えれば、その研究者しかわからない世界を研究対象としています。そうしたなかで他の研究者が論文捏造に対してできる貢献は多くはないと思います。

 同様に、シェーンを雇い入れた研究者なども批判対象にしていますが、これもわかりやすい論敵を設定して批判しているだけではないかと思います。それよりも、先述した研究世界の雰囲気のほうが事件への影響力は大きいと思います。ただ、マスコミでは、これでは曖昧なので結論としては弱いと評価されるでしょう。

 本書の魅力は、シェーンの捏造論文に研究者が熱狂し、疑問を感じ、捏造を暴いていく過程を克明に描いている点です。推理小説のような物語展開がとても面白いです。その過程自体に、研究者への失望を感じる一方で、自浄作用が働くことへの期待も見え隠れしています。

 なお、私は1990年前後に起きた常温核融合事件を思い出しました。これは捏造とは言いがたいのですが、それでも斬新な研究を世界中が盲信しまいました。日本では政府が研究支援をするといったおめでたいバカさ加減を露呈しています。

 捏造は決して単体では存在できないと私は考えます。それが受け入れられるような相応の背景を必要とします。常温核融合では石油に依存したエネルギー体系からの転換が危急の課題とされていましたし、超伝導では研究の進捗が世界的に頭打ちになっていました。先が見えない閉塞感のなかで、人々は一筋の光を求めます。それが捏造である場合もあるということです。

【メモ】
最高血圧:106mmHg
最低血圧:58mmHg
脈拍数71bpm

所要時間 17:1600→1611→1643→1652

ミスティガーデン

 今日はミスティガーデンです。

 仕事部屋の乾燥予防のために導入してみました。電気を使わない自然気化式の加湿器ですので、手入れや管理に手間がかからないところが気に入りました。エコとかはどうでも良いのです。

 ただ、単純な仕組みの割に値段がやや高いのが気になりました。交換フィルターの値段を考えると、一緒に付いてくる器が異様に高いと思います。

 そこで、最初から交換フィルターだけを買って、器は別に用意することにしました。私は植木鉢の受け皿を使っています。直径20cm、深さが4cmくらい受け皿です。600ccくらい水が入りました。ホビーショップで130円でした。

 水を入れて10分くらいでフィルターが湿ってきました。体感できませんが、順調に加湿されているようです。正規品を使わなくても何も問題なく使えていると思います。ちょっと得した気分です。

生かせる

 今日は生かせるです。

 とあるアンケートに協力したのですが、文面が次のようになっていました。

今日の内容はあなたにとって役立ちそうですか?
 1. 努力次第で生かせる
 2. 十分に生かせる
 3. だいたい生かせる

 私は自信を持って2に○を付けました。それは私の脳内では次のような変換が行なわれていたからです。

 1. 努力次第でイカせる
 2. 十分にイカせる
 3. だいたいイカせる

 ふふふ。こうみえてもけっこうやるんだぜ。どうだい? そこ行く彼女? 「にゃー?」←見知らぬ野良猫に向かって独り言をつぶやいております……うっうっ……。

のび太の結婚前夜

 今日はYouTubeさんでび太の結婚前夜を見ました。

1/3:http://www.youtube.com/watch?v=jNiCNJBkaA4
2/3:http://www.youtube.com/watch?v=AJZAq5sArS0
3/3:http://www.youtube.com/watch?v=HwLZnUwIPNQ

 30分ほどの短い映画ですが、驚くべき完成度です。ドラえもんの作品としての質の高さを見せつけられました。正直、何度も涙しました。

 花嫁衣装の試し着を家族に見せるしずかちゃんに目頭が熱くなり、のび太のために一肌脱ぐジャイアンとスネ夫に嗚咽がこみ上げ、猫を家族のもとへ無事に届けた場面で画面が見えなくなりました。

 そして最後の、しずかちゃんのパパの台詞が秀逸です。この映画はこの台詞のためにあったのだ、と思わせられました。

(結婚前夜にふと不安になるしずかちゃん)

しずかちゃん
 あたし、不安なの……。うまくやっていけるかしら……。

パパ
 やれるとも。のび太くんを信じなさい。のび太くんを選んだキミの判断は正しかったと思うよ。あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。それが一番人間にとって大事なことなんだがね。彼なら間違いなくキミを幸せにしてくれると信じているよ。

 しずかちゃんを勇気づけるための言葉ですが、心の底からそう思っていることを伝えている感じが出ています。この台詞を聞けば誰もがのび太を信じて付いていくでしょう。

 ドラえもんはやはり良いですな。定期的に見ておきたい作品です。

覚書 080118

大政美樹「主要国の金融政策動向」国際金融情報センター、2008年1月9日。
・12月6日は0.25bp引き下げ5.50%へ。利下げは05年8月以来。景気減速の兆候、および家計・企業への信用供給の引き締まりに配慮した。インフレ率はエネルギー・食料品の値上がりから短期的には目標を上回るが、需要減速を受けて中期的には抑制。06年8月からの引き締め局面入りし5回にわたり計1.25%引き上げ、07年8月以降は4回連続で据え置いていた。次回決定は1月9−10日。

後藤あす美「英国経済見通し いよいよ消費下振れか?」大和総研『エコノミスト情報』2008年1月15日。
・2008年1月10日、BoEは政策金利を5.5%に据え置いた。エコノミストの大方が12月の利下げ要因の1つであった市場の流動性逼迫が回避されたことを評価し、加えて、CIPSサービス業景況感指数が更に悪化しなかったことへの安堵感から、その他の経済指標(12月分の小売売上高や消費者物価指数)を見極める猶予をBoEは得たと判断し、政策金利据え置きの見通しを示していた。しかし、一方で、1月8日発表の英国小売業協会(BRC)の小売売上高を受け、1月の金融政策委員会の直前で1月の利下げの可能性を示唆するエコノミストが急増したことも事実である。「住宅価格の下落→消費の冷え込み」の構図が予断を許さぬ状況と捉えたのだろう。
・CIPSサービス業景況感が力強い反発とはいかなかった。
・たとえその他の経済指標が堅調さを示していても、住宅価格の伸び率の減速が続く限り、景気下振れリスクが拭えない状況が浮き彫りとなった。
・12月の利下げだけで、住宅価格の伸び率縮小が解決できたと思うのは、時期尚早だろう。それに、不動産業界は、金融機関からの融資の引き締めの影響を最も受けている。ロンドンなどの不動産はオイルマネー流出先の1つとされるが、足元の原油高の影響が、不動産業界の押上げに繋がるにはタイムラグがあり、2008年の後半からと想定される。90年代前半の住宅市場低迷期の再来とならないようにするには、2008年前半に複数回の追加利下げを行なう必要があろう。
・住宅市場の不振は、益々消費者の購買意欲を圧迫している。そして、どうやら、そのマインドが実体経済の統計に反映されてきた。消費者信頼感指数は低迷しており、更に小売業協会(BRC)発表の2007年12月小売売上高が、前年比プラス2.3%と減速(11月分同プラス3.1%)。
・2007年後半からは、一部の企業から例年より前倒しでバーゲンを開始したり、インターネット販売を充実させたりする戦略が、売り上げに貢献しているとのコメントが出ており、それが小売売上高の高水準維持に繋がっていた。しかし、こういった企業努力による消費者の購買意欲の押上げ効果は剥落してきており、追加利下げによる補完が必要と見ている。これまでの利下げ局面を参考にすると、複数回の追加利下げが実施されれば、逆資産効果が緩和され、ONSベースの小売売上高は2008年第1四半期までに前年比でのボトムを付け、徐々に回復すると予測する。
・値引きによって押し上げられた需要下では、原材料高に直面している企業のコスト負担は改善されないということだ。CIPSサービス業の統計でも、仕入れ価格の強い伸びと比較し、出荷価格の伸びは抑制されている。となると、企業の収益改善策として、2008年内はやや雇用の抑制が行なわれそうである。足元の失業率は2.5%(社会保障受給ベース)と過去30年近くで最も低い水準となっている。しかし、サービス業のCIPS雇用マインドは2005年後半から2006年第1四半期の水準まで落ち、製造業はサイクルから見ると、雇用改善局面がピークに達すると予測。よって、失業率は2.8%まで徐々に悪化すると考えられる。
・このような雇用や賃金上昇率の見通しが、消費者に懸念材料として強く認識される時期は、2007年通期決算発表シーズンだろう。2、3月には続々と決算発表が行なわれ、企業の業績見通し・事業計画の公表により、サブプライムローン問題や信用収縮、それに伴う実体経済の減速、資源高の影響など、様々な結果が明瞭となってくる。2006年と比較すれば、2007年はセクター間にばらつきはあろうが、企業の収益率は低下する見込みだ。

木越義則「両大戦間期上海の貿易物価、貿易数量、所得交易条件」『東アジア経済研究』2006年。
覚書注:大意要約
・本稿は両大戦間期における上海の経済活動を考察対象としている。当時の統計資料では生産データと貿易データの動きの間に乖離がある点に関心を寄せ、その隙間を埋めることが本稿の課題である。
・乖離の要因は2つである。1つは統計上の問題であり、もう1つは物価水準の悪化である。前者に対してはデータ推計を行なうことで解決しようとしている。それでも解消されない乖離の要因が後者である。つまり、物価水準の悪化によって国内貿易は持続的に成長したものの、外国貿易に不利になったために貿易活動が縮小・衰退していったことを明らかにしている。
・覚書注:題名や課題の設定が本論と一致していない印象を受けた。

【出来事】
打ち上げ飲み会があった。和牛すきやき。飲み放題。
日付が変わるまで飲んだ後、朝までカラオケに行った。

映画のネット配信

 今日はネットで映画レンタルです。

ネットで映画レンタル、米アップルがサービス開始

米アップルは15日、インターネットを通じたオンライン映画レンタル・サービスを開始したと発表した。当初は米国内のみのサービスだが、年内にも米国外でのサービス提供を予定しているという。

映画は、アップルの「iTunes Store」を通じて借りることが出来る。価格は価格は旧作が2.99ドル(約320円)、新作が3.99ドル(約430円)。ダウンロード後、30日間の保存が可能だが、再生を始めたら24時間以内に見終わらなければならない。

すでに映画大手6社と提携しており、来月下旬までに、タイトル数にして1000本以上を準備する予定。

 我らのAppleがついにネットを通じて映画をレンタルする事業を始めました。映画のネット配信は他の企業でも行なわれていますが、みんな大好きAppleもついに参入を果たしました。当面はアメリカに限定されるようですが、遅かれ早かれ日本でもレンタルが開始されるでしょう。値段も手頃ですから、ぜひ私も利用したいと思います。

 ネットによる映画配信は、有り体に言えば、時代の流れです。映画は今後、ネット配信が中心になると思います。今回のAppleのようなレンタル方式だけでなく、販売も含めてネットで入手することが映画を見るかたちになっていくでしょう。わざわざ店頭に出向かなくても、映画を楽しめる時代になります。

 裏返せば、DVDなどの記録媒体は廃れていくと思います。ネット配信であれば記録する必要もありませんし、もし記録するにしても媒体としてはハードディスクのほうが優れています。映画のDVDを自宅に何本も抱えているような状況はこれからなくなっていくでしょう。

 実際、音楽がネット配信されて以降、CDは加速度的に利用されなくなりました。まったく消えてしまったわけではありませんが、音楽はCDからではなく、ネットを媒介に入手するようになったのです。音楽を再生する装置も今では携帯電話やMP3プレイヤが中心です。

 映画でも同じことが起きるでしょう。こうした観点からすると、Blur-rayディスクとHD HVDの次世代DVD規格争いは、どうしようもなく不毛に見えます。もやは先が見えているDVDの新規格を競っているのですから、この戦いに勝利したところで数年くらい事業が展開できるだけです。業界の隅っこにおける出来事でしかありません。

 不毛な戦いはソニー陣営のBlue-ray Diskが優勢のようです。が、長い目で見ると、東芝陣営のHD DVDのほうが有利でしょう。これから巻き返すことができるのではなく、早めに見切りをつけて、先のない次世代DVDから撤退できるからです。DVDなんてソニーにでもやらせておいて、もっと未来のある事業に経営資源を投入するべきです。

 そんだこんだで、日本でもMacで利用できるネット映画配信が開始されることを心から期待しています。既存のサービズはWindows専用なので、マカーの私はいつも砂をかんでいます。ぎりぎり。

【疑問】
阪神大震災から13年。あちこちで「あの日を忘れない」と言っている。
けど、何を忘れないのだろう。内容によっては忘れたほうが良い。
個別の感情が軽視されている気がした。全体に同調させられている。
「千の風になって」を合唱する人々をテレビで見た。違和感を感じた。

調査捕鯨船襲撃事件

 今日は調査捕鯨船襲撃事件です。

 日本時間の15日16時ごろ、南極海で調査捕鯨を行なっていた日本船が、アメリカの環境保護団体であるシー・シェパードの船によって妨害行為を受けました。外国人男性2人が日本船のスクリューを狙ってロープを投げたり、液体入りの瓶を投げ入れたりした後、船内に侵入したのです。

 これはテロルです。もとより公海上において無断で他国籍の船に侵入することは禁じられています。その上、日本船に危害を加えるための攻撃行為も行なっています。間違いなくテロルです。シー・シェパードは何か崇高な目的でも掲げているのでしょうが、やっていることはテロルに他なりません。

 テロルは許されざる行為です。もしかしたら「日本の捕鯨活動が悪い」と批判する人もいるかもしれませんが、それは「目的によってはテロルも許容されることがある」という立場の裏返しです。日本の行動に異論があろうとも、それと、テロルによる抗議をよしとすることとの間には無限の距離があります。

 もっとも、今回の調査捕鯨には法的にも何も問題ありません。非難される理由もない日本が、環境を保護する活動をしている団体からテロルを受けたのです。このような危険かつ無目的な行為には断固として強い姿勢で臨むべきです。盲目的に突き進む視野の狭いテロリストを野放しにしておく必要性は全くありません。

 Youtubeさんで面白い映像を見つけました。今回の事件と強く関連している映像です。

Racist Australia and Japanese whaling

 テロル支援国家としてオーストラリアを取り上げることも、あながち間違いではないでしょう。

【追加:2月7日】
 映像の第2弾がありました。

Racist Australia and Japanese whaling Vol.2

 徒に激しい差別的対立に発展しつつあるような印象を受けました。合法的かつ科学的な日本の捕鯨活動を正しく認識できる人々が世界で増えてくれることを願ってやみません。

【追加:2月12日】
 面白い映像がありました。

Protesting Japan hunting dolphins

 捕鯨を違法に妨害するテロルについて、べらぼう陽気に批判するおっちゃんです。テロリストがパフォーマンスを求めて日本を攻撃している問題点が明快に指摘されています。

覚書 080115

後藤康雄「16年目に入るイギリスの景気拡大」『三菱総研倶楽部』2007年10月号。
・イギリス経済は1922年半ばから景気拡大を続けており、その期間はとうとう16年目に入った。この間に「産業のサービス化」が進んでいることが、近年のイギリス経済の大きな特徴である。サービス化が景気の波を受けにくい体質をもたらし、長期の景気拡大持続につながっていると考えられる。
・従来の議論では、サービス業や金融業は、製造業に比べ、生産性向上や効率性アップの余力が小さいので、サービス化は国の成長力を低下させるという声が強かったが、こうしたイギリスなどの例をながめ、最近では世界的に論調も変わってきているようである。
・消費者物価(コアベース)をみると、これまでは前年比2%以下に抑えられていたが、サービス部門の賃金上昇を主因にインフレ圧力が根強い。そうなると、中央銀行であるイングランド銀行としても金融引き締めスタンスを示さざるを得ない。しかし引き締め策資産市場に冷や水を浴びせ、ひいては景気を悪化させるリスクが高い。

風間慎吾「イギリスにおける義務教育年齢の引き上げについて」『自治体国際化フォーラム』2007年12月号。
・イングランドとウェールズの義務教育は5〜16歳までの11年間(primaryが6年間とsecondary schoolが5年)で、原則として子供が5歳の誕生日を迎えた次の学期から、その年に16歳になる7月までとなっている。
・生徒は義務教育最終学年にGCSE(General Certificate of Secondary Education:中学教育総合資格試験)と呼ばれる試験を受けることとなる。GCSEはそれ以降の進学のための選抜を目的とした試験ではなく、どの程度の教育水準に達しているかの証明の意味を持っており、イギリスでは就学や進学に当たっては履修科目とその成績を必ず問われることとなっている。
・2004年度義務教育修了者はイギリス全体で74万8000人、そのうち教育(政府支援による職業訓練を含む)を継続している割合は、イングランド80%、北アイルランド88%、スコットランド55%、ウェールズ82%となっている。
・1972年に義務教育年限が引き上げられてから35年が経過し、その間イギリスの科学技術や経済、社会状況は大きく変化し、何の技能も持たない16歳の学校卒業者が就業できるような未熟練労働市場は縮小してきた。
・2007年2月に教育技術省によって取りまとめられた調査「Rasing the Education Age」(対象者:イングランド在住の16歳以上の者、859人)の結果概要は以下のようである。1. 回答者の9割が18歳までに教育あるいは職業訓練の期間を延長するという提案を支持している(うち4分の3は強く支持)。回答者の3分の2は、2. 義務教育年限の延長の法的措置を支持している。
・政府は3月22日、「Rasing Expectations:staying in education and training post-16」という緑書を提出し、広くイングランド地域からの意見を求めた。
・具体的提案は、イングランドに住むすべての若年者は2015年以降、18歳の誕生日まで教育あるいは職業訓練の状態にとどまるべき、というものである。
・LGA(Local Government Association:地方自治体協議会)や、その「子供・若者委員会」は地方自治体が追加的に負担することとなる経費について提案者である政府から十分な説明がなされていないとして、政府に検討を求めている。
・PAT(The Professional Association of Teachers)からは次のような興味深いコメントが出されている。1. 単に義務教育年限を引き上げるだけでは学校に多くの不満を抱いている生徒の苦痛を延長するに過ぎない。2. 罰則を伴った強制力を背景にした年限延長は、現場における生徒と指導者間に重大な問題を引き起こしかねない。3. 卒業年限を引き上げて、その間に社会に出るための基礎学力の向上を図る必要性よりも、むしろ教育の初期段階で今以上に予算を投下するほうが効果的である。

角南和子「ワーク・ライフ・バランスと少子化対策」『自治体国際化フォーラム』2007年12月号。
・ブレア政権は「家族に優しい諸政策(ファミリー・フレンドリー)」を政府の重要課題の1つとして位置づけ、大きな政策転換を図った。その一環として、ブレア首相は2000年3月から「ワーク・ライフ・バランス・キャンペーン」を開始すると発表した。
・政府は、働き方の見直しに関する取り組みに合わせて、「ワーク・ライフ・バランス」を支えるサービスとして、子育て環境の整備も行っている。1999年より開始された「Sure Start」プログラムもその1つである。このブログラムの対象は14歳以下のすべての子供(16歳以下の障害児を含む)と親(妊婦も含む)であるが、とくに就学前の支援について重点を置いている。
・2004年12月に、政府はいわゆる「子育て支援10カ年計画」(親には選択肢を、子供の人生には最善のスタートを)を発表した。

石田麻紀「ロンドンオリンピック」『自治体国際化フォーラム』2007年12月号。
・ロンドンオリンピックのもたらすもう1つのもの、「具体的な問題解決の加速」は、Stratfordを含む、2.5平方kmのオリンピックパークが建設される、ロンドン東部のLower Lea Valleyが対象である。この地域は、ロンドンの中のみならず、イギリスの中でも最も「再生の余地のある」地区の1つである。StradfordからCanary Wharfにかけて南北に渡る地域で、ロンドン中心部から東へ3マイル、15エーカーほどの地域である。雇用、住宅、健康など多くの問題を抱えている。
・大会後は、オリンピックパークは野鳥が集まる樹木豊かな都市公園となり、Lower Lea Valleyの緑の量が一気に2倍となる。鉄道の利便性も飛躍的に増す。また、歩道および自転車道が、ロンドンや他の地域からのネットワークの一環として整備される。選手村は9000戸以上の一般人に手の届く価格の住宅となるほか、学校、地域の各種施設、レストランやカフェがつくられる。多くの雇用も生まれる。国中、世界中から人が訪れたくなるまちとなる。(覚書注:なんという受け売り文章! パンフレットからの転載か。)

藤野健「ロンドンにおける混在賦課金制度について」『自治体国際化フォーラム』2007年12月号。
・ロンドンにおける混雑賦課金制度(以下、コンジェスチョン・チャージ)は2003年2月に導入された。つまり、2008年2月には丸5年を迎えようとしていることになる。この間、料金の改定や対象地域の拡大など、いくつかの制度変更があったが、基本的なスキームは導入当初から変更なく現在に至っている。
・コンジェスチョン・チャージは、ロンドンの中心市街を走行する車1台について1日八ポンドの料金を課すという制度である。賦課されるのは、休日を除く月曜から金曜の午前7時から午後6時までに対象となる地域内を進行した自動車である。
・(コンジェスチョン・チャージの実施主体であるロンドン交通局が、その効果を検証するために発行している報告書の)直近の第5回報告書は2007年7月に発表されており、その中には同年2月に行なわれた対象地域拡大後の効果憲章も既に含まれている。以下がその骨子である。
・2006年に当初からの対象地域(セントラル・ゾーン)に流入する交通量は2002年比で21%減少し、渋滞は同8%減少している。
・しかしながら前年比では、域内の交通量が減少したにもかかわらず、渋滞は増加した。これは主にバスレーン・歩道・自転車道の整備による一般車道の減少、および整備のための道路工事の増加などによると考えている。そのおかげで、交通事故は減少し、バスの運行状況は改善し、歩行者と自転車の通行環境も改善した。
・2006年度の賦課金による収入は1億2300万ポンド。この収入は公共交通、特にバスサービスの改善のために精力的に投資された。
・ロンドン商工会議所は、一部の商店や企業において、制度導入による買い物客の減少に伴う売り上げ減と増大した配送コストのために深刻な影響を受けている、と報告している。また、自動車の使用に課金する割には公共交通の料金がたかい(現在地下鉄の初乗りは4ポンド)という市民の声も多く聞かれる。
・リビングストン市長は、2006年11月に、二酸化炭素を多く排出する車種に対する賦課金の額を、現行の8ポンドから25ポンドに引き上げる案を発表した。また、逆にハイブリッド車のような低公害車は無料にし、それ以外の車は現行どおり8ポンドで据え置くとしている。実施時期は、案発表時には2009年もしくは2010年とされていたが、その後前倒しになり、現在は2008年と予定されている。
・この意味するところは、コンジェスチョン・チャージは、当初考えられていた渋滞の解消・公共交通(バス)の改善という目的に、今後は環境改善・気候変動対策という新たな目的を加えて、環境政策の一環としての側面を併せ持つ形で運用が続けられていくということである。

イルメリン・キルヒナー「地域レベルの経済開発と経済再活性化」『自治体国際化フォーラム』2007年12月号。
・イギリス全体で見た場合、スコットランドとウェールズに対して実施された分権が両地域の発展と再生を促す結果となったため、かえってイングランド内部での分権が遅れているという事実が今まで以上に浮き彫りとなってしまっている。
・地方分権を進めるための代替案として「都市地域」の形成という新しい構想が政府内部や外部シンクタンクによって導入され始めてきている。「都市地域」とは、「仕事・買い物・医療・教育・娯楽などによって人々を引きつける、都市を核とした広い領域」とでも定義されるべきものである。

アンドリュー・スティーブンス「地方自治体と反社会的行動について」『自治体国際化フォーラム』2007年12月号。
・「プレイス・シェイピング」とは、管轄地域において、自らの政策が生んだすべての結果に対する責任を引き受け、自らの政策による住民の福利に対する影響とともに、地域全体に対する目に見える影響も考慮するという地方自治体に期待される役割を意味する。
・「プレイス・シェイピング」というコンセプトは、地方自治体は住民に住みよいまちを提供すべきであるとの考え方から生まれており、住民の福利に対する犯罪の影響は、「住みよいまち」であるかを判断する大きな要素となる。特に、近隣への迷惑行為などの「反社会的行動(anti-social behaviour)」は、従来は警察だけの案件であったのが、過去10年間の労働党政権下で、地方自治体の最優先課題へと変化してきている。
・「2003年免許法(Licensinb Act 2003)」によって、以下の4つの義務が地方自治体に課された。1. 犯罪、暴力行為などの防止、2. 地域の治安維持、3. 公共の場での迷惑行為の防止、4. 子供に害を与える行為の防止。
・地方自治体が反社会的行動に取り組む上で主要な根拠となるのは、「1998年犯罪騒乱法(Crime and Disorder Act 1998)」であり、地方自治体が反社会的行動を取り締まる権限を初めて明確に示した。
・地域の美化はコミュニティの安全を守る上での重要な要素であるとの政府の判断から、同法は後に、「2005年清潔近隣環境法(Clean Neibourhoods and Enviroment Act 2005)」として改正された。
・反社会的行動への対応で舵取り役を務めているのが、中央政府による反社会的行動の減少に向けた戦略プラン「リスペクト計画」である。ブレア首相が重要政策としてまとめた同計画の目的は、「地域の住民がお互いを尊重し、反社会的行動はまれにしか起こらず、起こったとしても効果的に対処され、住民が安心して暮らすことのできる社会をつくるために、中央政府、地域機関、地域コミュニティ、そして最終的には住民の一人一人が協力して取り組む」ことの実現であった。

「欧州経済・金融市場の概況」みずほ総合研究所『みずほ欧州経済情報』2008年1月号。
●英国経済
・BOEは2年4ヶ月ぶりに25bpの利下げを決定。金融市場の逼迫感が強まった中、景気・物価見通しへの下振れリスク増大を重くみて、全会一致での利下げを決定。年明け後も英景気の減速が続く見込みであり、次回インフレレポート発表に合わせ、追加利下げが実施されると予測。
・12月5〜6日の金融政策委員会(MPC)では全会一致で25bpの利下げが決定された。11月の据え置き決定(7対2)から一転した決定である。
・議事録によれば、金融市場の混乱による実体景気への影響を重く見ている姿勢がうかがわれる。利下げ幅について議論がされており、大幅利下げは先行きのインフレ懸念を高めるとの結論から25bpの利下げ決定となった。
・住宅市場では、11月の住宅価格は代表的な指数(Halifax、Nationwide)が共に前月比下落に転じた。RICSサーベイ調査では、11月の価格見通しがマイナス46.3(前月比マイナス11.5pt)と統計開始以来の水準に低下し、同新規購入問い合わせがマイナス31.0(前月比プラス9.9pt)と弱含み、いずれも住宅市場の減速を示唆している。
・物価動向を見ると、11月のインフレ率が前年比プラス2.1%と2ヶ月連続で2%を上回った。サーベイ調査では油価、商品市況高騰の影響で川上部門の価格上昇圧力の高まりを示している。油価高止まりによって、インフレ率は今後も2%を超過する可能性が高いだろう。
・年明け後も利下げが視野に入る見通しであるが、12月に続く連続利下げはないとみている。

橋本択摩「減速懸念が強まる2008年欧州経済 潜在成長率程度(プラス2%)まで減速の見通し」第一生命経済研究所『EURO Trends』2008年1月7日。
●イギリス
・金融市場の混乱の影響により、イギリスの主要産業である金融業の活動が落ち込めば、景気全体を大きく押し下げることになる。さらに、これまでの利上げの累積効果による住宅価格の鈍化が徐々に顕在化しており、今後本格的に個人消費に下押し圧力をもたらそう。
・ただし、イギリスの11月の消費者物価指数が前年比プラス2.1%と、目標値を若干上回る程度にとどまっていることから、BOEはECBと異なり、より機動的に利下げ措置をとることが可能であり、住宅市場のハード・ランディングは避けられると見込まれる。さらに2008年通年ではプラス2%を若干上回る程度の成長となろう。
・イギリスにおいて金融業は主要産業であり、経済成長への寄与はかなり大きい。金融市場の混乱の影響により金融業の活動が落ち込めば、景気全体を大きく押し下げることになろう。11月のサービス部門CIPSは51.9と9月値56.7から2ヶ月で5ポイント近くも継落し、拡大と縮小を分ける50も視野に入ってきている。
・これまでの利上げの累積効果による住宅価格の鈍化が徐々に顕在化しつつある。例えば11月のハリファックス住宅価格(HBOS)は前月比マイナス1.1%と大幅なマイナスとなった。今後、住宅価格の下落が消費に下押し圧力をもたらし、景気のモメンタムはさらに低下すると予想される。
・こうした状況を背景に、イングランド銀行(BOE)は12月6−7日の金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き下げ、5.5%とすることを全会一致で決定した。利下げは2005年8月以来、2年4ヶ月ぶりとなる。
・発表後のBOEの声明文は、「11月のインフレーション・レポートでの予想に沿った線で、家計や企業の景気先行サーベイが減速しつつある」と述べている。また、「金融機関の悪化に加え、家計および企業向けの信用供給の逼迫が進んでいることから、経済成長とインフレの双方の見通しに対する下振れリスクが高まった」とした。つまり、金融市場の混乱の影響が実体経済へ波及することを回避するために、早期利下げに踏み切ったものと考えられる。
・11月のインフレーション・レポートでは、実質GDP成長率については2008年前半には前期比年率プラス2%近辺まで減速する見通しを描いているが、実際にはそれを下回って推移する可能性もある。ただし、イギリスの11月消費者物価指数が前年比プラス2.1%と目標値を若干上回る程度にとどまっていることから、BOEはECBと異なり、より機動的に利下げ措置をとることが可能であり、住宅市場のハード・ランディングは避けられると見込まれる。

武田まゆみ「BTがFONと提携し、無料無線LAN環境を全英に展開」『世界の移動・パーソナル通信T&S』2007年12月号。
・公衆無線LANスポット数で英国最大のBTと、草の根的に世界中で公衆無線LANのサービス・エリアを拡大しているFONが2007年10月4日に提携を発表した。それにより、BTのブロードバンド・サービス「BTトータル・ブロードバンド(BT Total Boradband)」の加入者は、FONが全世界19万カ所以上で提供する無線LANのアクセス・ポイントを無料で利用できるようになる。BTトータル・ブロードバンドの加入者数は英国で約300万人、FONユーザは世界で50万人以上いることから、両者は世界最大の無線LANネットワークとなるとしている。
・FONでは、ユーザを3種類に区分。「Linus」は、自分の使っているアクセス・ポイントを無償で提供する代わりに、他人のアクセスポイントも無料で利用できるユーザ、「Bill」は、自身のアクセス・ポイントを有償で提供し、他人のアクセス・ポイントも有料で利用するユーザ、「Alien」は、自身ではアクセス・ポイントを用意せず、他人のアクセス・ポイントを有料で利用するユーザである。有料の場合の料金は、欧米で1日2〜3ドルの設定で、FONのビジネスモデルは現在のところ、この課金収入と専用ルータの販売が中心となっている。
・FONのサービスは、ユーザがアクセス・ポイントを開設し、自身が契約しているブロードバンド回線を第三者に利用させるモデルであるため、ISPとの間に軋轢を生むとの見方もある。その一方で、FONはこれまで、同社のサービスはADSL環境を前提としたサービスであり、ISPの付加価値を向上させるものとして、ISPとの提携を積極的に進めてきた。
・今回英国最大手のBTとの連携は、FONのビジョンの有効性を世界に示す絶好の機会となり、今後世界中のISPからの支援を獲得する布石になるかもしれない。

大宮由香「英国の金融アウトソージング規制 浮き彫りになった課題と今後への期待」Nomura Research Institute『ITソリューション・フロンティア』2008年1月号。
・2007年11月1日、英国における金融アウトソージングのルールがFSA(金融サービス機構)のハンドブック"SYSC 8"(シスクエイト)として明文化された。
・SYSC 8の基本的な目的は、障害発生時の金融システム全体への影響を最小限に抑えることである。
・SYSC 8は、FSAの特徴である原則ベースの金融監督指針となっているため(手段やプロセスではなく基本原則を表現する)、いわゆる広い定義にとどまっている。そのため、実務細則は各金融機関およびサービスプロバイダの社内規定で定めなければならない。

「地方自治体ビジネス成長インセンティブ(LABGI)スキーム」自治体国際化協会『CLEIR REPORT』314、2007年12月10日。
●概要
・本レポートで紹介する「LABGI(Local Authority Business Growth Incentives)スキーム」は、英国政府が推進する地方分権に向けた様々な施策の中で、特に「地域経済の活性化」を図るために導入された新しいスキームの1つである。当スキームは、地方自治体が、地域の企業、地域開発公社(RDA)および近隣の自治体などの重要な団体と恊働していくための財政的なインセンティブを与えるものである。
・スキームの内容を簡単に説明すると、地域経済の成長比率を非居住者用資産(事業用資産)に対する国税である「ビジネス・レイト」の課税評価額の増減によって判断し、経済成長による税収の一部の一定の算定基準によって使途を限定しない財源として自治体に交付するというものである。また、通常「ビジネス・レイト」は、政府から各自治体の成人人口数に応じて配分されているが、この交付金はそれとは別に、全く新規の財源として各地方自治体に交付されるものとなっている。
●第1章 LABGIスキームの導入経過と概要
・LABGIスキームとは、地方自治体にビジネス成長インセンティブ・スキーム(Local Authority Business Growth Incentives Scheme)の略で、2002年11月に発表された2003年度予算編成方針(Pre-Budget Report)の中で初めて言及されたものである。
・政府は2度にわたって協議書を発表し、その後の試行を含め、地方自治体からの意見を聴取し、スキームの修正を行なった上で、2005年4月に当初の予定通り、LABGIスキームをスタートさせた。フィル・ウーラス(Phil Woolas)地方自治担当大臣は、2005年7月に最終的なスキームを発表した際、以下の5つの原則を掲げている。
・1. 地域の経済成長を最大化するために、全ての自治体にインセンティブがもたらされるべきである。2. 自治体は、地域で優先課題に取り組むための追加資金を得られるべきである。3. このインセンティブは、国内全ての地域に経済成長をもたらし、地域間に存在する経済的な不均衡を縮小するという国の目標に合致すべきである。4. 利益の配分は平等なものであって、自治体のおかれた環境ではなく、業績に応じて配分されるべきである。5. スキームはわかりやすく、その仕組みは透明性の高いものでなければならない。
・LABGIは、2001年に地方自治白書、「強い地域リーダーシップ 質の高い公共サービス」のなかで明示した地方自治体に対するアプローチにのっとったものである。これは地方自治体の経済成長を促し、成長に応じた報酬を与えるインセンティブ・スキームである。このスキームから得る歳入の使途については限定されておらず、自治体がこのスキームから更なる利益を得るために地域の経済成長をいかに最大化するかについても自由裁量で決めることができる。
・現在、地方自治体の財政構造は、経済成長に果たす地方自治体の貢献を認め、報酬を与えるのに十分な構造とはなっていない。また、地方自治体は経済開発のために多大なコストを費やしているにもかかわらず、その経済開発が生み出す歳入増加からの利益を享受できずに、さらに、1990年以降、ビジネス・レイトの歳入は中央政府の国庫に集約されてきたため、地方自治体は直接的にその地域で生み出された利益を享受できていない。
・イングランドとウェールズにおいて、地方自治体は今後3年間に渡り、10億ポンドの財源を得ることができる。これは純粋な追加資金であり、その使途については限定されていない。また初年度の実施後に、ライオンズ卿によって発表される報告書(Lyons' Report)の内容およびスキームの実績を、公平さとインセンティブの観点から再検討を行なう。(脚注:Lyons' Report マイケル・ライオンズ卿(Sir Michael Lyons)が政府から依頼されて行なっている、「イングランドの地方自治体と地方財政に関する調査」の報告書で、現時点では2007年に公表される予定。InquiryまたはReviewとも呼ばれる。)
・ビジネス成長は地方自治体の暦年の評価額の増加額によって計測される。LABGIによる歳入は、各会計年度の最終四半期に一括払いで支払われる。これは、評価庁(VOA)が提供する課税評価額の前年比増減が基本になる。スキームは2003年地方自治体法の31条のもと、使途を限定しない補助金として運営管理される。したがって、自治体はこの収入を自由裁量で地域の優先時効について使うことができる。
・各自治体の開始点は2004年の12月31日時点での課税評価額(Reteable Value:RV)である。評価庁(VOA)は副首相府(ODPM)に対して、毎年格付けリスト(Rating List)を提供する。自治体のRVの数値は、抗議・不服の申し立てによって減額されることはないが、空き家、または一部未使用不動産の税額軽減(Relief)については、自治体の通常のNNDRリターンの最新版、すなわち当該年度のNNDR3フォームの監査データを使って調整される。2005年の開始RVは最近の再評価データを使用し、再評価を考慮に入れてNNDR3税額軽減の数値も調整される。
・各自治体はLABGIから利益を受けるために達成しなければならない課税評価額の成長目標レベルを有し、それをフロアと呼ぶ。フロアは、スキーム開始時点での課税評価額に対し、その自治体のベースライン成長率から国内調整係数(NAF)を引いたものを掛けたものである。自治体のベースライン成長率は、各自治体の基本的な成長率を意味するもので、国内実績成長モデルを使って計算されており、現実的には、過去8年間の年平均実質成長率が用いられている。
・その地域が受け取ることのできる金額を計算するために、フロアを超えた分のビジネス・レイト税収額について70%の掛け率が適用される。この倍率を適用した残りの税収は、従来どおり全ての地方自治体と共有することができるよう、中央政府の国庫に納められる。
・各地方自治体に対し、毎年受け取り可能な税収の最高額を示す上限が設定され、上限を超える税収については全ての地方自治体に配分することができるよう、従来どおり中央政府の国庫に納められる。しかし、その上限を超えた分の税収については、その自治体の翌年の成長目標に反映される為、その自治体から失われたことにはならない。上限は、地方自治体の地方交付金の計算に使われる公式支出配分額(FFS)の一部である環境、保護および文化サービス(EPCS)を修正して設定される。
・2年目以降の課税評価開始額は、1年目の開始額に1年目のフロア額を追加する累積型となる。これにより、本スキームがインセンティブの効果を維持していくものと期待される。しかしながら、このスキームから交付金を受けることができなかった自治体が、将来的に引き続き交付金を受けることができないといった状態が続かないようにするため、それらの自治体については、前年の課税評価開始額に前年の実績成長(もしくは減少)分だけ加算(または減算)されることになる。直近の協議におけるフィードバックをみると、この課税評価額の再設定案は本スキームへの前向きな変更点として受け止められているようである。
●第2章 LABGIスキームの導入結果
・2006年2月、LABGIスキームによる初の交付金が、278の自治体に対して交付された。
・1年目の結果、278(34のカウンティーおよび244のディストリクト、ユニタリー、ロンドン区)の自治体に対して、総額1億2660万ポンド(約290億円)が使途を限定しない資金として交付された。なお、自治体の年間平均実績成長率は2.0%となり、過去8年間の平均値である2.17%を下回っている。
・ベスト20自治体を見ると、ロンドンの7区以外に、マンチェスター、リーズ、シェフィールド、ニューカッスルといった8つのイングランド中核都市で構成される「コア・シティーズ(Core Cities)」のメンバーが4つ含まれているのが特徴としてあげられる。
・また、地域別には、イングランド北部3地域(北東、北西、ヨークシャー&ハンバー)が、11自治体と過半数を占めているのに対し、イングランド南部地域(南東、南西地域)は、全く含まれていない点も特徴である。
・地域別の比較を見ると、交付を受けた団体の割合は平均72%となっているが、経済の南北格差が指摘されているとおり、比較的経済成長率の低い自治体が多いイングランド北部地域(北東、北西、ヨークシャー&ハンバー)での獲得率が高く、比較的経済成長が高い自治体の多い南部地域(ロンドン、南東地域)での獲得率が低くなっていることがわかる。
・覚書注:自治体による成長への取り組みが的確に反映されるのか。対策を講じることで、すぐに成長するわけではない。1年で結果がでるような短期的な結果を追い求めてしまわないだろうか。必要な成長は長期に持続する成長である。
・覚書注:大規模開発が必要な地方と、英国の中心部では、成長に対する対策と結果が非常に異なる。にもかかわらず、同一の枠組みであるという点は公平とは言えない。
●第3章 自治体の具体的な反応
・ロンドン区の1つであるウェストミンスターは、ピカデリー・サーカスなどロンドンの中心商業エリアを含み、また北部には閑静な住宅街を抱えるなど、金融の中心であるシティと並び、ロンドンを代表する区となっている。1年目のスキームでは、全国トップとなる380万ポンド(約8億7,400万円)の交付金を手に入れている。
・グロースター市は、イングランド南西地域にあり、観光地としても有名な、コッツウォルズの西方に位置している。ロンドンからは列車で3時間程の人口11万人の典型的な地方都市である。1年目のLABGIスキーム交付金は、358,000ポンド(約8,200万円)で、これは全278交付団体のうち93番目の金額となっている。
●第4章 LABGIスキームの2年目の実施結果(速報)
・2007年2月27日、「2月中にLABGIスキームの結果を発表する」としていた政府から、2年目のLABGI交付金について発表が行なわれた。その結果、今回328の自治体に対し、総額3億1,600万ポンド(約727億円)が交付されることになった。今回の交付対象自治体数は、前回の278から50増加し、イングランドの自治体の約85%を占めるに至っている。なお、2年目の自治体における年間平均成長率は2.5%となり、1年目の2.0%および平均実質成長率(1995〜2003年)の2.17%をそれぞれ上回っている。
・1年目2位であったマンチェスターが2位以下を大きく引き離してトップとなり、1,770万ポンド(約40億円)のLABGI交付金を獲得している。また、ザク年トップのウェントミンスター・シティ・カウンシルは、区の事前予想(550万ポンド)を大幅に上回る1,020万ポンド(約23億円)の交付金を受け取ることになった。
・地域別には、イングランド北部(北東、北西、ヨークシャー&ハンバー)が10自治体とベスト20の半数を占めているのに対し、イングランド南部地域(南東、南西地域)では、プリマスが12位にランクインしているのみである。

Amazing Grace

 今日はAmazing Graceです。

 私は風貌に似合わずAmazing Graceが好きです。音楽も良いですが、歌詞の内容が気に入っています。

Amazing Grace! How sweet the sound
That saved a wretch like me!
I once was lost, but now I'm found,
Was blind, but now I see.

'Twas grace that taught my heart to fear,
And grace my fears relieved;
How precious did that grace appear,
The hour I first believed!

When we've been there ten thousand years,
Bright shining as the sun,
We've no less days to sing God's praise
Than when we'd first begun.

Amazing Grace! How sweet the sound
That saved a wretch like me!
I once was lost, but now I'm found,
Was blind, but now I see.

 そこで、YouTubeさんにいろいろ相談していたら、優れた歌手の佳良な作品を2つ見つけました。日本人の本田美奈子、アメリカ人のLeAnn Limesです。

本田美奈子:Amazing Grace
LeAnn Rimes:Amazing Grace

 とくにLeAnn Limesが凄いです。演奏なしでも十分に魅力的かつ圧倒的な歌声です。久しぶりに聞き惚れました。10回くらい連続で繰り返してしましました。

 よろしければみなさんもお聞きください。きっと気に入ると思います。

ネットは相互理解を促進しない

 今日はネットは相互理解を促進していないです。

The rise of the Daily Me threatens democracy
By Cass Sunstein
Published: January 10 2008 19:35 | Last updated: January 10 2008 19:35

More than a decade ago the technology specialist, Nicholas Negroponte, pro?phesied the emergence of the Daily Me ? a fully personalised newspaper. It would allow you to include topics that interest you and screen out those that bore or annoy you. If you wanted to focus on Iraq and tennis, or exclude Iran and golf, you could do that.

Many people now use the internet to create something like a Daily Me. This behaviour is reinforced by the rise of social networking forums, collaborative filtering and viral marketing. For politics, the phenomenon is especially important in campaigns. Candidates in the US presidential race can construct information cocoons in which readers are deluged with material that is, in their eyes, politically correct. Supporters of Hillary Clinton construct a Daily Me that includes her campaign’s perspective but offers nothing from Barack Obama, let alone Mitt Romney.

What is wrong with the emerging situation? We can find a clue in a small experiment in democracy conducted in Colorado in 2005. About 60 US citizens were put into 10 groups. They deliberated on controversial issues, such as whether the US should sign an inter national treaty to combat global warming and whether states should allow same-sex couples to enter into civil unions. The groups consisted of predominantly either leftwing or rightwing members, with the former drawn from left-of-centre Boulder and the latter from Colorado Springs, which tends to be right of centre. The groups, not mixed, were screened to ensure members conformed to stereotypes. (If people in Boulder liked Vice-President Dick Cheney, they were cordially excused.) People were asked to state their opinions anonymously before and after the group discussion .

In almost every group, people ended up with more extreme positions. The Boulder groups favoured an inter national treaty to control global warming before discussion; they favoured it far more strongly afterwards. In Colorado Springs, people were neutral on that treaty before discussion; discussion led them to oppose it strongly. Same-sex unions became much more popular in Boulder and less so in Colorado Springs.

Aside from increasing extremism, discussion had another effect: it squelched diversity. Before members talked, many groups displayed internal disagreement. These were greatly reduced: discussion widened the rift between Boulder and Colorado Springs

Countless versions of this experiment are carried out online every day. The result is group polarisation, which occurs when like-minded people speak together and end up in a more extreme position in line with their original inclinations.

There are three reasons for this. First is the exchange of information. In Colorado Springs, the members offered many justifications for not signing a climate treaty and a lot fewer for doing so. Since people listened to one another, they became more sceptical. The second reason is that when people find their views corroborated, they become more confident and so are more willing to be extreme. The third reason involves social comparison. People who favour a position think of themselves in a certain way and if they are with people who agree with them, they shift a bit to hold on to their preferred self-conception.

Group polarisation clearly occurs on the internet. For example, 80 per cent of readers of the leftwing blog Daily Kos are Democrats and fewer than 1 per cent are Republicans. Many popular bloggers link frequently to those who agree with them and to contrary views, if at all, only to ridicule them. To a significant extent, people are learning about supposed facts from narrow niches and like-minded others.

This matters for the electoral process. A high degree of self-sorting leads to more confidence, extremism and increased contempt for those with contrary views. We can already see this in the presidential campaign. It will only intensify when the two parties square off. To the extent that Democratic and Republican candidates seem to live in different political universes, group polarisation is playing a large role.

Polarisation, of course, long preceded the internet. Yet given people’s new power to create echo chambers, the result will be serious obstacles not merely to civility but also to mutual understanding and constructive problem solving. The Daily Me leads inexor ably also to the Daily Them. That is a real problem for democracy.

The writer teaches at the University of Chicago and is the author of Republic.com 2.0

Copyright The Financial Times Limited 2008

 FTの1月10日の社説です。

 インターネットの発達は、各種の情報が簡単に手に入れられるようになり、人々はいろいろな側面から物事を考えることで、相互理解を深めていくと評価されることが一般的です。しかし、今日の社説ではむしろ対立を深める結果になっていることが指摘されています。

 念頭にあるのは昨今のアメリカ大統領選挙です。まだ候補者選びの段階ですが、各立候補者の間では、個人攻撃を含めた激しい論戦が繰り広げられています。たくさんの候補者たちの政策姿勢などはインターネットで公開されていますから、国民はお気に入りの候補者だけでなく他の人についても主義主張を知ることができます。本来ならば、たとえ対立候補であっても、まずは彼らの意見に耳を傾け、検討してみなければなりません。それが民主主義です。

 しかしながら、実際には自らが支持する候補者の情報しか集めていません。支持する根拠をより強固にしようと異なる視点や意見について調べることもなく、自分の視点を変えようとはしないのです。それどころか、同じ考え方の人が集まるサイトにばかりを訪れ、興味がないサイトにはほとんど行かなくなります。これでは民主主義が機能しません。

 多種多様な情報を得ることで、相互理解を促進するはずのインターネットが、二極化を強化しているのが現状です。とくにアメリカは二大政党制であるため、政策論争は二極化する傾向にありました。その場合、自分は正しくて相手が間違っているという論調が主流になり、相互に情報をやり取りする交流はありませんでした。現在もこうした図式は何も変わっていないのです。逆に悪化していると言えます。

 今日の社説はアメリカだけに限った話ではないでしょう。非常に普遍性のある内容だと思います。たとえば、私もネットで日々情報を集めていますが、たいていは決まったサイトしか見ていません。半年に一回くらい入れ替えを行なうことありますが、それも部分的にすぎません。いちおうは幅広い意見や視点が得られるように配慮をしているつもりですが、他のサイトを見にいくことはほとんどありません。

 情報収集の多様性を自負する私でもこの有り様です。一般の人々がインターネットを通じて多くの情報を集め、相互理解を促進しているとはなかなか考えられません。やはり自分と感覚が合う人が集うサイトに入り浸っているだけではないでしょうか。それが趣味に限ったことであればまだ良いのですが、政治の領域にまで影響してくると社会問題になってしまいます。

 状況の改善は困難です。ですが、少しずつ何とかするしかないでしょう。たとえば、いつもは目に入らないサイトをのぞいてみることです。インターネットは二極化を容易に強化するかもしれませんが、そこから転換する行動も容易に起こせます。検索サイトを活用するなどして、他のサイトにたどり着ことができます。そうして少しずつ情報収集の範囲を広げていきましょう。

 インターネットの限界はインターネットで克服していくことができるはずです。

お見合い話

 今日はお見合い話です。

 大家さんから突然、お見合い話を持ちかけられました。

 1つ上の女性で、歯医者さんだそうです。

 ……高確率で地雷でしょう。丁重にお断りしました。

 べ、べつに「もったいなかったかな?」とか思っていないんだからねっ!

日本経済新聞社の年金制度改革案

 今日は日本経済新聞社の年金制度改革案です。

税方式に全面移行
 基礎年金の財源を保険料から全額消費税に置き換える
 税率の上げ幅は5%前後
 置き換えで全体の負担に増減は生じない
給付水準は現状維持
 月額給付は満額で6万6000円
 国内居住10年程度を支給要件に
 移行期間は旧制度に基づく保険料負担を給付に反映
 年金課税を強め高所得者への給付を抑制
 支給開始年齢の引き上げを検討
制度安定へ成長促進
 3.7兆円の企業負担軽減分は非正規労働者の厚生年金への加入拡大に
 成長戦略や少子化対策を充実
 与野党は党派を超えて成案を

出所:『日本経済新聞』2008年1月7日付1面

 独自研究会によって報告された改革案です。非常に簡潔であると思いました。おそらく、これは考え方や目指すべきかたちを提示したものでしょう。詳細な部分については議論を積み重ねていくことになるでしょう。

 避けられない問題は現在の制度との整合性でしょう。これは言い換えれば政治の問題です。現在の年金制度は自分が積み立てた保険料を老後に受け取るという考え方を前提としていました。自立の精神です。この精神との整合性が問題になります。

 年金改革案は民主党を始め、政治側でも多くの案が提起されています。それらはほとんど複雑な内容になっています。同じ税方式を提案する場合でも、日本経済新聞の案と違って、必ず保険料方式の部分を残しています。それは現行制度との整合性を考えているためです。

 日本経済新聞社が今回提示した改革案は、政治をすっ飛ばして議論できる新聞社ならではのものです。純粋に年金制度として検討した結果、税方式の導入を提起しています。実際の制度への適用を念頭に置いた場合、やはり限界のある議論だと思います。

 ただ、余計なことを含んでいないという意味では意義があると思います。今後、年金制度改革は確実に行なわれるでしょうが、今回の改革案は、そこに向けた議論の枠組みとして活用されることになるでしょう。そうした位置づけのある改革案であると私は考えます。

覚書 080106

東田親司「行政管理の視点から見た年金記録問題」『行政管理研究』No.120、2007年12月。
・10年前に基礎年金番号が付けられる前は、厚生年金、国民年金別に手帳番号を交付する仕組みであったが、両年金を行き来する場合や転勤が多い場合などには複数の手帳番号が交付されることも多く、国民一人当たり3件程度(全体で約3億件)の年金加入記録があった。基礎年金番号付番後、名寄せ作業、年金相談、年金裁定などの機会に、約2億5000万件は統合されたが、昨年の6月時点では約5000万件が未統合で残っていた。(覚書注:まず5000万件が5000万人を意味するものではないと認識する必要がある。マスコミが「5000万人分が消えた!」と騒いでいるのは明らかに誇張であり、もっと言えば意図的な情報の読み違いによる印象操作である。また、当初3億件あった加入記録の統合作業が基本的には進展していたことも確認するべきである。依然として5000万件が残っているとはいえ、統合作業が順調であった現状は一般に知られていない。社会保険庁に瑕疵はないとは言わないが、こうした積極点をまったく踏まえずに批判を展開することは正当な議論ではない。)
・社会保険庁では組織を背負って立つ人材層の採用・育成がなされていなかった。
・逆に、二種・三種の試験合格者の採用を本庁と地方に分けていた。両集団が分立して組織が一体性を欠くことになった。
・最大の問題は職員組合への労務管理である。すでに報道されているような大量の覚書などが中央・地方の各段階で交わされた。話題になったコンピュータ入力の際の一定時間内のタッチ数だけでなく、来訪者よりも職員の待遇の優先を当然視することなどが確認され、職務上の指示も組合の了承をえなければならず、本庁組が地方の幹部に着任する際も真っ先に組合と交渉してこれまでの組合との関係の維持継続を承認するような状況にまで至っていた。中核となった自治労国費評議会(自治労のうち社会保険事務所などの職員が所属していた組織)はオンライン化などの合理化に徹底的に反対したため、当局側も妥協をしなければ業務が動かない状況にあったが、現実の職場での職務の指揮はどの程度できたのか、これほどまでに職員組合が抵抗したときには役所側はどのように対処するべきなのか、そこまでの対立に至る前に何が欠けていたのか、実践的な分析が必要だと考える。既述した組織を背負って立つ人材の育成も重要な対抗策であろう。組合問題は、安易に覚書などで妥協した点の反省だけでなく当局側が有効な対応策をなぜ打てなかったのかという視点からも分析が必要だろう。

今川晃「地方分権時代における行政統制の意味の変容」『行政管理研究』No.120、2007年12月。
・現状、中央集権的体質から地方分権を推進する転換期にあり、「ローカル・ガバナンス」と言える状況が構築されているわけではなく、ガバナンス実現に至る道程においては、従来のガバメントとどのように向き合っていくかという課題に遭遇するということである。この両者をどのように融合させるかという点である。
・そもそも、住民参加や恊働をあまり歓迎せず、住民参加や恊働を、議員の役割に対する侵害と考える自治体の議会議員も未だ少なからず存在するのである。この場合「対等の原則」というには、間接民主主義あるいは代議制民主主義を前提とするガバメントにおける首長や議会の決定権限と主人公としての市民の「権限」とが対等なのではなく、一定の原案策定段階における協業の場において対等であることを意味するにすぎない。
・アーンステイン(Sherry R. Arnstein)は、政治過程から排除された市民への権力の再配分に着目し、「市民権力(citizen power)」によって政策などをコントロールすることを展望する。
・佐藤竺は、「市民参加は、行政の決定過程への参加、言い換えれば行政と住民による決定の共同化に意義がある」と述べ、「市民参加は、利害の多様化するなかで、住民たち自身がその間の調整の責任を負う。それとともに、行政の側は、参加する住民に対して、決定権の共有をゆるし、代わって住民の側は、決定に対する責任を分有しなければならない」と指摘する。そこで、市民参加と呼びうるためには「行政と住民による決定の共同化」と「決定に対する責任の分有」が機能していなければならないことになる。したがって、市民参加における住民の重要な責任は、「住民の側の利害調整責任」であると佐藤氏は指摘する。
・さらに佐藤氏は次のように述べる。「議会は、住民の多元的階層を十分に反映できず、少数意見の尊重はタテマエと化して切り捨ての憂目にあう。この切り捨てられたる利益は当然に抵抗の姿勢を強めるであろう。そこで、市民参加は、この少数利益を決定過程にとりこみ、妥協の場の拡大をはかる手段となる」。
・実質的な「決定権」の一部は行政から住民に移行することになる。実質的な決定の一部が住民の側に移行するとなれば、法的な権限は行政の側にあったとしても、行政の最終決定に市民は大きな影響力を及ぼしたことになる。したがって、市民による行政へのコントロールが可能になると同時に、市民の責任領域も拡大することになる。ここにおいて、アーンスタインが唱える「市民権力」の拡大と共通する方向性が見えてくるのである。
・市民が行政を個別にコントロールすることを中心にした行政統制の思考よりは、市民相互が利害調整を行ないつつ相互にコントロール機能を発揮し、このことを前提に、市民による行政へのコントロールを考えていくパラドクスの転換が必要となる。
(覚書注:市民参加はあくまでも行政への参加として位置づけられなければならない。議会への参加ではない。議会は立法府としての権限を侵害されてはならないし、侵害されてもいない。議会による立法は市民の要求に大枠で応えるものである。その実行過程である行政の場において細かい要求に対応するために微調整が必要となり、そこで市民参加が位置づけられることになる。ただし、市民参加は個別の住民によって実践するものではない。市民の側で利害調整を行なうこと、つまり、市民も政策目標の実現のために役割を果たすことが求められる。)
・Sherry R. Arnstein, "A Ladder of Citizen Participation", JAIP, Vol.35, No.4, July 1969.
・佐藤竺:「行政システムと市民参加」『岩波講座 現代都市政策2 市民参加』岩波書店、1973年。『転換期の地方自治』学陽書房、1976年。「住民参加と自治行政」佐藤竺・渡辺保男編著『住民参加の実践』学陽書房、1975年。

大山耕輔「政府への信頼低下の要因とガバナンス」『行政管理研究』No.120、2007年12月。
・日本における政府の信頼低下の要因について、Pharr(2000)は、90年代後半に頻発した公務員不祥事についての報道記事量を示すグラフと政治的不満を示すグラフとがぴったり一致することを発見した。(覚書注:本論の意図とは違うだろうが、マスコミによる公務員攻撃が始まったのが90年代後半である。不況の長期化を受けて収益が減少するなかで、景気に影響されない公務員に嫉妬を抱いたのであろう。世論誘導に成功し行政不信を国民に抱かせた後で、マスコミはどのような将来展望を描くのだろうか。)
・Klingemann(1999)は、日本で愛国心に関連する問いに対する回答が諸国間でほぼ最低である理由として、第二次大戦での敗戦国としての経験が反映していると指摘している。愛国心などコミュニティレベルの信頼について日本は必ずしも高いわけではなく、日の丸や君が代に対する複雑な感情が残っていることに注意する必要がある。
・好ましい政治制度について、強力なリーダーによる政治、テクノクラート(専門家)が物事を決めていく政治、軍事政権、民主的な政権、をぞれぞれ聞いた。民主的な政権は日本人の80%が支持している。強力なリーダーによる政治やテクノクラート(専門家)が物事を決めていく政治に対して先進国のなかで比較的高い支持を集めているのは、リーダーやテクノクラートに政治や行政といった難しいことは任せておけばいいという意識の表れかもしれない。
・日本人の謙虚の美徳を考えると、組織・制度への信頼も総じて低いのであるが、明らかな例外は、新聞・雑誌とテレビであり、マス・メディアへの高信頼は国際比較的に見て突出している。(覚書注:だからこそ、メディアリテラシーの育成が提唱されているのだろう。政治家や官僚の揚げ足取りに投入するマスコミの労力を10分の1でも自分へ向けたら、国民のマスコミに対する信頼度も国際水準まで是正されるのではないだろうか。)
・新川達郎(2006)は、政府への信頼低下の要因について、エリート民主主義論的な性善説的な政府観に立つのか、それとも参加民主主義論的な性悪説的な政府観点に立つのかによって、アプローチの仕方が異なるという重要な指摘をしている。「一方では、よき政府をよき政府たらしめようとして、エリート民主主義論的な観点からの政府の不信の分析と、その回復方法として、『大衆と政府との距離』、『エリートへの信託の再興』、『政府は処理できないことに手を出さない』といった処方箋が提案されることになる。他方では、参加民主主義論に基づいた議論の方向があり、性悪説の政府における『悪』の程度を小さくしようという試みである。これらは、参加の不足が不信を増幅しているのであり、政府の公開性・透明性・説明責任の確保や、直接民主主義を含めた信頼回復策が、政府の民主的性質を回復してまた改善することになるというのである」。
・Pharr, Sysab J., 2000, "Officials' Misconduct and Public Distrust: Japan and the Trilateral Democratcies", in Susan J. Pharr and Robert D. Putnam eds., Disaffected Democracies: What's Troubling the Trilateral Countries? Princeton University Press.
・Klingemann, Hans-Dieter, 1999, "Mapping Political Support in the 1990s: A Global Analysis", in Pippa Norris ed., Critical Citizens: Grobal Support for Democratic Government, Oxford University Press.
・新川達郎 2006、「『信頼』の構図 政府のガバナンスの観点から」田中一昭・岡田彰編著『信頼のガバナンス 国民の信頼はどうすれば獲得できるか』ぎょうせい。

初詣と甘酒

 今日は近所の神社に初詣に行ってきました。

 初詣と言っても、正しくは巫女詣です。ですから、お参りは仮の目的です。適当にさっさと済ませて、真の目的である巫女さんを拝むために、おみくじを引きにいきました。そうです。おみくじは巫女さんが対応してくれるのです。

 おみくじ所にはたくさんの巫女さんがいましたが、今年の巫女さんはメガネっ娘にしました。純朴そうな巫女さんで、寒風に吹かれてほっぺたが赤くなっていました。かわいそうに。指名とかしたら店内に入れてあげられるシステムを神社でも導入するべきだと思いました。

 なお、おみくじは吉でした。邪念に惑わされずに、心を清くしていることが大切だと書いてありました。もっともです。神社でキャバクラの指名システムなんて思い浮かべているようでは、吉に恵まれません。むしろ、私が神様なら遠慮なく天罰を下します。

 ということで、続いては巫女汁を飲みにいきました。この神社では甘酒を巫女さんが給仕してくれます。ですから、甘酒ではなく巫女汁(みこじる)です。いろいろなアレが入ってそうです。1杯300円もする巫女汁ですが、本当にアレが入っているなら、10倍の値段でも喜んで払います。というか、いっそのことアレを直に飲みt(天罰!天罰ぅ!)

覚書 080103

「英国政府の期待:車両犯罪対策としての電子ナンバープレート」『欧州マンスリーニュース』2007年12月号。
・英国では、2001年の車両(犯罪)法で、ナンバープレートに、車両データが記載されたマイクロチップを取りつけることが法律上、可能となった。翌年の2002年には、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London:UCL)のジルダンドー犯罪科学研究所(Jill Dando Institute of Crime Science:JDI)により、車両犯罪を減少させるために車両登録・運転免許証システムを改善すべきであることが英国政府に対して推奨された。その推奨事項の1つとして、JDIは、車両識別システムを改善するために電子式車両識別システム(Electronic Vihicle Indentification:EVI)を導入することを挙げている。これを受けて、交通省(Department of Transport:DfT)は、EVIの導入を本格的に検討することになった。
・電子ナンバープレートでは、車両情報はナンバープレートに表示されるだけではなく、ナンバープレートに内蔵するマイクロチップにも記載されるため、車両を特定することができる。このことから、偽造など犯罪の予防・低減に貢献できると言われている。(覚書注:チップが入ったナンバープレートごと取り替えて偽造すれば良いのではないか。偽造ナンバープレートのイメージがないのでよくわからない。ナンバープレートの数字や記号を塗り替えるだけなのだろうか)
・電子ナンバープレートの実用性を検証するために、DfTは、運転免許証の交付などを行なう政府機関である免許庁(Driver Vehicle and Licensing Agency:DVLA)に、EVIの実証実験を委託した。これを受けて、DVLAは、2006年に同実証実験を実施し、その実験結果をまとめた報告書を同年12月に発表した(報告書:Driver and Vehicle Licensing Agency, Project Feasibility Report: Electronic Number Plates, 2006.)。
・DVLAにより実施されたEVIの実証実験では、無線通信を利用した識別技術であるRFID(Radio Frequency Identification:無線ICタグとも呼ばれる)が利用された。同実証実験では、RFIDタグを一般車両ではなく、警察車両(4輪車と2輪車)に設置して実施された。
・同実証実験は、協力した警察隊が、通常の警察業務と平行して実施しなければならなかったために、当初予定していた回数よりも少ない実験回数で実施された。しかしながら、DVLAは、同実証実験により、好結果が得られたと報告している。
・同実証実験は、実際の一般道における条件とは大きく異なる。具体的には、実際の一般道における車両数は、実験中に利用された車両数と比較して多い場合がある。一般道において、すべての車両にRFIDタグが取りつけられた場合、タグが発信する電波信号が相互に悪影響を起こすことも想定されている。
・車両へのRFIDタグ取りつけは、その走行位置を識別できることから、プライバシー侵害への懸念も指摘されている(報告書:Financial Times, The intelligent number plate leads the way, August 30 2004.)
・英国では、ナンバープレートを偽造することにより、警察の捜査を免れようとする犯罪が増加傾向にあると報告されている(報告書:BBC, Call for car number plate revamp, 2007/06/02.)。これは、車両の識別を目視、あるいは撮影画像に依存している既存システムに限界があることを示している。

藤森克彦「英国におけるワークライフバランスに向けたコンサルティング制度 『ワークライフバランス・チャレンジ基金』の内容と評価」共済組合連盟『共済新報』2007年11月号。
・英国では近年、従業員のワークライフバランス(仕事と生活の調和)を重視して、多様な就業形態を導入する企業が増加している。これまで長時間労働で男女の役割意識も根強いとみられてきた英国が、変わりつつる。
・しかし、多様な働き方によって人材を確保できても、企業業績が悪化したのでは企業の取り組みは長続きしない。そこで、英国政府は、2000年から2003年にかけて、多様な働き方の導入などを検討する企業に対し、専門家から無料のコンサルティングを受けられる「ワークライフバランス・チャレンジ基金」(以下、チャレンジ基金)という制度を設けた。外部のコンサルタントは最長1年間当該企業に関わり、従業員の希望する働き方とビジネス上のニーズを調和させて、両者にプラスになるワークライフバランス施策の導入を支援していく。
・チャレンジ基金の目的の1つは、ワークライフバランス施策の導入を目指す個別企業を支援することである。各企業が外部の専門家の力を借りることにより、従業員の生活の質の向上のみならず、企業にとってもプラスになるワークライフバランス施策を導入できるようにしていく。
・もう1つの目的は、ワークライフバランスへの取り組みを多くの企業に広げていくことである。そのために、同制度に参加した企業の実例を報告書にして、他企業が参考にできるように公表している。
・チャレンジ基金は、民間企業だけでなく、公的機関、ボランティア団体も活用できる制度である。ただし、同制度の対象となる企業は公募され、事業主は貿易産業省に申請書を提出して、同省の審査を通らなくてはならない。
・参加企業が決定すると、次に、コンサルティング機関の選定が行なわれる。チャレンジ基金の下でコンサルティングを行なえる機関は、事前に貿易産業省によって複数選定された。
・数値目標には、「標準的な目標」と「それ以外の個別事例ごとに設置される目標」の2種類がある。標準的な目標としては、欠勤の減少、従業員の定着の向上、募集・採用や残業などに関するコスト削減などがあげられている。それ以外の目標としては、柔軟な就業形態の利用割合の向上、従業員の就業意欲の向上などがある。これらの指標によって、ワークライフバランスが企業にもたらす効果を客観的に把握できる。
・チャレンジ基金には、2000年から2003年にかけて1,150万ポンドが投入された。この間、448企業が参加し、120万人の従業員が影響を受けた。単純平均すると、英国政府が1企業あたり2.6万ポンドを拠出したことになる。
・企業がチャレンジ基金に申請した主たる背景としては、従業員の採用・定着が困難という事業を抱えていたことが挙げられる。
・チャレンジ基金がもたらしが効果をみると、最も多くのプロジェクトが指摘する項目は、「柔軟な労働時間の利用割合の向上」であった。また、「生産性の向上」「残業や長時間労働を減少させるために従業員のレベル向上」「より効率的で効果的な働き方」といった項目もあげられている。単に労働時間が減少するだけでなく、生産性を高めるなど企業にとってもプラスの影響をもたらしたことが指摘されている。
・チャレンジ基金の全体的な印象について、参加企業の35%が「大変良かった」、57%が「良かった」と回答している。全体的には評判の良い精度といえよう。
・成功要因のトップに、「上級管理者の全面的な参加」があげられているのは、ワークライフバランス施策の運用が管理職に委ねられるケースが多いためであろう。管理職は、組織におけるワークライフバランスの「門番」の役割を果たし、従業員の働き方に大きな影響を与えていく。このために、いくつかのプロジェクトでは、ワークライフバランスに関する管理手法の研修を含め、管理職の管理能力や意識を高めることに重点を置いている。
・チャレンジ基金の改善すべき点としては、「数値目標が適当ではない」「時間が足りず、現実的ではない」といった点が挙げられている。
・The Tavistock Institute, "The Evaluation of the Work-Life Balance Challenge Fund", DTI Employment Relations Research Series No.32, 2004.
・ちなみに、日本においてワークライフバランスに積極的に取り組む企業の先進事例をみると、いくつか共通点がみられる(内閣府「少子化社会対策に関する先進的取組事例研究報告書」2006年3月)。

「増加する英国による米国債投資」三菱UFJリサーチ&コンサルティング『国際マネーフローレポート』No.21、2007年12月27日。
・米国債の保有動向を国別に見ると、このところ、日本、中国が保有額を減らしている一方で、英国が保有額を大幅に増加させている。
・英国からの米国債投資額が増加している背景には、原油高の影響で潤沢となったオイルマネーが英国経由で米国に入ってきていることがあると考えられる。
・サブプライムローン問題の深刻化により米国経済が停滞し、基軸通貨としてのドルの地位が揺らいで、経常赤字のファイナンスに問題が生じるとの議論がなされることがある。しかし、米国債に関しては、海外からの投資額は増加基調を続けており、価格も上昇(金利が低下)している。
・ユーロ人気が高まったと言ってもユーロ国債なるものがあるわけではなく、投資するとすれば、ドイツ国債やフランス国債など個別の国債に投資することになる。多額の投資資金の行き先としては、発行量や流動性の観点から、米国債の地位は揺るぎ難いのではないか。

あけましておめでとうございます!

 本年もよろしくお願いします。

 ということで、今日は飲んで寝ます。←昨日も聞いたゾ

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benyamin ♂

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