覚書 080103

「英国政府の期待:車両犯罪対策としての電子ナンバープレート」『欧州マンスリーニュース』2007年12月号。
・英国では、2001年の車両(犯罪)法で、ナンバープレートに、車両データが記載されたマイクロチップを取りつけることが法律上、可能となった。翌年の2002年には、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London:UCL)のジルダンドー犯罪科学研究所(Jill Dando Institute of Crime Science:JDI)により、車両犯罪を減少させるために車両登録・運転免許証システムを改善すべきであることが英国政府に対して推奨された。その推奨事項の1つとして、JDIは、車両識別システムを改善するために電子式車両識別システム(Electronic Vihicle Indentification:EVI)を導入することを挙げている。これを受けて、交通省(Department of Transport:DfT)は、EVIの導入を本格的に検討することになった。
・電子ナンバープレートでは、車両情報はナンバープレートに表示されるだけではなく、ナンバープレートに内蔵するマイクロチップにも記載されるため、車両を特定することができる。このことから、偽造など犯罪の予防・低減に貢献できると言われている。(覚書注:チップが入ったナンバープレートごと取り替えて偽造すれば良いのではないか。偽造ナンバープレートのイメージがないのでよくわからない。ナンバープレートの数字や記号を塗り替えるだけなのだろうか)
・電子ナンバープレートの実用性を検証するために、DfTは、運転免許証の交付などを行なう政府機関である免許庁(Driver Vehicle and Licensing Agency:DVLA)に、EVIの実証実験を委託した。これを受けて、DVLAは、2006年に同実証実験を実施し、その実験結果をまとめた報告書を同年12月に発表した(報告書:Driver and Vehicle Licensing Agency, Project Feasibility Report: Electronic Number Plates, 2006.)。
・DVLAにより実施されたEVIの実証実験では、無線通信を利用した識別技術であるRFID(Radio Frequency Identification:無線ICタグとも呼ばれる)が利用された。同実証実験では、RFIDタグを一般車両ではなく、警察車両(4輪車と2輪車)に設置して実施された。
・同実証実験は、協力した警察隊が、通常の警察業務と平行して実施しなければならなかったために、当初予定していた回数よりも少ない実験回数で実施された。しかしながら、DVLAは、同実証実験により、好結果が得られたと報告している。
・同実証実験は、実際の一般道における条件とは大きく異なる。具体的には、実際の一般道における車両数は、実験中に利用された車両数と比較して多い場合がある。一般道において、すべての車両にRFIDタグが取りつけられた場合、タグが発信する電波信号が相互に悪影響を起こすことも想定されている。
・車両へのRFIDタグ取りつけは、その走行位置を識別できることから、プライバシー侵害への懸念も指摘されている(報告書:Financial Times, The intelligent number plate leads the way, August 30 2004.)
・英国では、ナンバープレートを偽造することにより、警察の捜査を免れようとする犯罪が増加傾向にあると報告されている(報告書:BBC, Call for car number plate revamp, 2007/06/02.)。これは、車両の識別を目視、あるいは撮影画像に依存している既存システムに限界があることを示している。

藤森克彦「英国におけるワークライフバランスに向けたコンサルティング制度 『ワークライフバランス・チャレンジ基金』の内容と評価」共済組合連盟『共済新報』2007年11月号。
・英国では近年、従業員のワークライフバランス(仕事と生活の調和)を重視して、多様な就業形態を導入する企業が増加している。これまで長時間労働で男女の役割意識も根強いとみられてきた英国が、変わりつつる。
・しかし、多様な働き方によって人材を確保できても、企業業績が悪化したのでは企業の取り組みは長続きしない。そこで、英国政府は、2000年から2003年にかけて、多様な働き方の導入などを検討する企業に対し、専門家から無料のコンサルティングを受けられる「ワークライフバランス・チャレンジ基金」(以下、チャレンジ基金)という制度を設けた。外部のコンサルタントは最長1年間当該企業に関わり、従業員の希望する働き方とビジネス上のニーズを調和させて、両者にプラスになるワークライフバランス施策の導入を支援していく。
・チャレンジ基金の目的の1つは、ワークライフバランス施策の導入を目指す個別企業を支援することである。各企業が外部の専門家の力を借りることにより、従業員の生活の質の向上のみならず、企業にとってもプラスになるワークライフバランス施策を導入できるようにしていく。
・もう1つの目的は、ワークライフバランスへの取り組みを多くの企業に広げていくことである。そのために、同制度に参加した企業の実例を報告書にして、他企業が参考にできるように公表している。
・チャレンジ基金は、民間企業だけでなく、公的機関、ボランティア団体も活用できる制度である。ただし、同制度の対象となる企業は公募され、事業主は貿易産業省に申請書を提出して、同省の審査を通らなくてはならない。
・参加企業が決定すると、次に、コンサルティング機関の選定が行なわれる。チャレンジ基金の下でコンサルティングを行なえる機関は、事前に貿易産業省によって複数選定された。
・数値目標には、「標準的な目標」と「それ以外の個別事例ごとに設置される目標」の2種類がある。標準的な目標としては、欠勤の減少、従業員の定着の向上、募集・採用や残業などに関するコスト削減などがあげられている。それ以外の目標としては、柔軟な就業形態の利用割合の向上、従業員の就業意欲の向上などがある。これらの指標によって、ワークライフバランスが企業にもたらす効果を客観的に把握できる。
・チャレンジ基金には、2000年から2003年にかけて1,150万ポンドが投入された。この間、448企業が参加し、120万人の従業員が影響を受けた。単純平均すると、英国政府が1企業あたり2.6万ポンドを拠出したことになる。
・企業がチャレンジ基金に申請した主たる背景としては、従業員の採用・定着が困難という事業を抱えていたことが挙げられる。
・チャレンジ基金がもたらしが効果をみると、最も多くのプロジェクトが指摘する項目は、「柔軟な労働時間の利用割合の向上」であった。また、「生産性の向上」「残業や長時間労働を減少させるために従業員のレベル向上」「より効率的で効果的な働き方」といった項目もあげられている。単に労働時間が減少するだけでなく、生産性を高めるなど企業にとってもプラスの影響をもたらしたことが指摘されている。
・チャレンジ基金の全体的な印象について、参加企業の35%が「大変良かった」、57%が「良かった」と回答している。全体的には評判の良い精度といえよう。
・成功要因のトップに、「上級管理者の全面的な参加」があげられているのは、ワークライフバランス施策の運用が管理職に委ねられるケースが多いためであろう。管理職は、組織におけるワークライフバランスの「門番」の役割を果たし、従業員の働き方に大きな影響を与えていく。このために、いくつかのプロジェクトでは、ワークライフバランスに関する管理手法の研修を含め、管理職の管理能力や意識を高めることに重点を置いている。
・チャレンジ基金の改善すべき点としては、「数値目標が適当ではない」「時間が足りず、現実的ではない」といった点が挙げられている。
・The Tavistock Institute, "The Evaluation of the Work-Life Balance Challenge Fund", DTI Employment Relations Research Series No.32, 2004.
・ちなみに、日本においてワークライフバランスに積極的に取り組む企業の先進事例をみると、いくつか共通点がみられる(内閣府「少子化社会対策に関する先進的取組事例研究報告書」2006年3月)。

「増加する英国による米国債投資」三菱UFJリサーチ&コンサルティング『国際マネーフローレポート』No.21、2007年12月27日。
・米国債の保有動向を国別に見ると、このところ、日本、中国が保有額を減らしている一方で、英国が保有額を大幅に増加させている。
・英国からの米国債投資額が増加している背景には、原油高の影響で潤沢となったオイルマネーが英国経由で米国に入ってきていることがあると考えられる。
・サブプライムローン問題の深刻化により米国経済が停滞し、基軸通貨としてのドルの地位が揺らいで、経常赤字のファイナンスに問題が生じるとの議論がなされることがある。しかし、米国債に関しては、海外からの投資額は増加基調を続けており、価格も上昇(金利が低下)している。
・ユーロ人気が高まったと言ってもユーロ国債なるものがあるわけではなく、投資するとすれば、ドイツ国債やフランス国債など個別の国債に投資することになる。多額の投資資金の行き先としては、発行量や流動性の観点から、米国債の地位は揺るぎ難いのではないか。

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benyamin ♂

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