『南京事件「証拠写真」を検証する』/『「南京事件」の総括』

 今日は東中野修道・小林進・福永慎次郎『南京事件「証拠写真」を検証する』(2005年、草思社)および、田中正明『「南京事件」の総括』(2007年、小学館文庫)を読みました。

 昨今の日本では南京事件を再検討する動きが活発になっています。これは、ややもすれば単に右翼的な反動だとか軍国主義への回帰だとか評価されがちですが、私は歴史的事実を丁寧に確認する必要な作業だと考えています。そうした作業の到達点を確認しておこうと、この2冊を読みました。

 まず、『南京事件「証拠写真」を検証する』です。本書では、表題の通り、南京事件における日本軍の野蛮行為を示しているとされる証拠写真を検証しています。本書の結論は簡潔です。帯やエピローグの題名にあるように、「「証拠写真」として通用する写真は一枚もなかった」というものです。当該事件のさなか、日本軍が南京で虐殺や強姦を繰り返したとされていますが、その証拠として考えられていた写真はまったくデタラメだったのです。

 証拠写真とされている写真は2冊の宣伝本を源流としています。『外人目撃中の日軍暴行』と『日寇暴行実録』です。これらは反日親中感情を煽るために編集された本ですが、そこで使われている写真は合成写真であったり、事件後に工作して撮影された写真であったり、南京事件とは何の関係もない場面を移した写真でした。それらが南京で日本軍が暴れた証拠写真とされていたのです。中国はウソまみれのプロパガンダによって世界を騙そうとしました。

 中国政府が日本を貶めるプロパガンダを行なっていた時期は戦前だけではありません。1970年代以降、日本を批判するために、こうした全く関係のない写真を使用して、南京事件では日本軍が罪のない一般市民に被害を与えたと宣伝してきました。その結果、南京事件が「南京大虐殺」として世界中に流布されてしまい、現在に至っています。まったく証拠にならない写真によって日本が批判されているのです。

 かの悪名高い本田勝一がまとめた『中国の日本軍』も1972年に出版されます。彼の本における写真も先に挙げた2冊の本と同じ写真を使っており、証拠写真としては通用しないものでした。彼もウソの写真を根拠に日本を批判していました。無実の罪を日本に追わせようとする彼の行動はまったく理解できません。

 証拠写真の検証を行なった本書の業績は高く評価されるべきものです。学校の教科書でも同じ写真が掲載されて、それに基づいて南京事件が「南京大虐殺」と説明されているのですから、私たちは虚偽の内容を事実だと教えられていたことになります。正しい歴史認識のためにも、そうした事実誤認は一刻も早く修正されなければなりません。

 その一方で、本書では証拠写真を検証したにとどまっています。つまり、「南京大虐殺」の証拠写真は1枚もなかったことを明らかにしたのみです。南京事件が「南京大虐殺」ではなかったことは検証していません。それ自体は別論点になります。

 今日もう1冊の本、『「南京事件」の総括』はそうした課題に取り組んだ業績です。本書は「南京大虐殺」の虚構を明らかにしており、南京事件は「大虐殺」などではなかったことを実証しています。本書の結論も1文に要約できます。「南京事件は東京裁判より始まった」のです。日本を一方的に断罪する東京裁判において、中国側が南京事件を持ち込んで、これは「南京大虐殺」だったとして主張し始めたのが最初です。

 本書では「南京大虐殺」が虚構であることを15点の論拠から明示しています。以下、目次を参考に箇条書きで要約しましょう。

1. 当時の南京の人口:30万人もいなかった
  →中国兵:3.5万〜5万人、市民:12万〜20万人
2. 難民帰還で人口が急速に増加
  →事件後に25万〜27万人増加、治安回復の証左
3. 累々たる死体など見た者はいない
  →国際委員も外人記者も誰も見ていない
4. 国際委員会の日軍犯罪統計:大虐殺は見られない
  →犯罪件数:425件、うち殺人:49件
5. 難民区は安泰、感謝の書簡
  →日本軍の保護により婦女子の殺人なし
6. 架空の捕虜大量殺害説
  →元陸軍伍長の話を毎日新聞と本田勝一が改竄
7. 崇善堂の11万埋葬のウソ
  →事件後に作文された文書の数値
8. スミス博士の「戦争被害調査」:虐殺なし
  →学術的調査だが虐殺派は無視
9. 何應欽上将の軍事報告
  →中国軍の資料に大虐殺の記録なし
10. 中国共産党の記録にもない
  →東京裁判までは何も記録に残っていない
11. 国際連盟も議題にせず
  →国際的な非難を浴びてはいない
12. 米・英・仏などからの抗議もなし
  →無いものに対しては抗議できない
13. 米・英のマスコミはほとんど取り上げず
  →記事にも社説にも大虐殺は書かれていない
14. 箝口令など布かれていない
  →報道に関して規制はなかった
15. 目撃者のいない"大虐殺"
  →記者もカメラマンも虐殺を見ていない

 まさに無から捏造した有が「南京大虐殺」であったことがよくわかると思います。もちろん、南京事件によって多くの兵士が死にました。日本軍も中国軍もです。しかしながら、これは軍事行動による戦死であり、一般市民を無差別に殺す虐殺ではありません。その虐殺であっても全くなかったことが本書で明らかにされています。中国政府はなかった虐殺をあったと主張しています。その上、人口が30万人もいない南京で30万人を虐殺したと言っています。いったい誰を殺したことになっているのでしょう。

 本書が提示する南京事件の実態は多くの人々を動揺させるかもしれません。何よりも当の中国政府がたじろいでいるようです。本書のあとがきによれば、中国政府は本書を内部資料として翻訳していたそうです。自らのウソを徹底的にかつ網羅的に暴露した本書を無視できなかったのでしょう。虐殺を捏造した張本人である中国政府も注目する業績を、その当事者であり被害者である日本人が読まないわけにはいかないと思います。

 本書の登場によって、歴史的事実としての南京事件を知らずして日本の戦争責任は議論できなくなりました。今後は「南京大虐殺」という言葉を使うことすら恥ずかしくなると思います。まったく存在しなかったことで日本を非難している中国が哀れになります。先に取り上げた「証拠写真」の本も含めて、今回の業績が示している内容は人によっては受け入れられないでしょうが、いずれもまずは一度、目を通してみることを是非ともおすすめします。現代日本史の再学習としても良いと思います。

所要時間 17:1601→1608→1611→1640→1650

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benyamin ♂

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