2008年2月アーカイブ

カトリーナ

 今日はカトリーナです。

 カトリーナとはアメリカを襲ったハリケーンのことです。2005年の8月末にアメリカの東南部に上陸し、多くの死亡者を出す甚大な被害をもたらしました。世界中から注目され、復興に向けてたくさんの支援が集まりました。

 ハリケーンによる被害は仕方がないと諦めがちです。自然の驚異には逆らえない、とくにカトリーナは非常に強力であったから、どうしようもないのだ、となります。しかし、本当にそうでしょうか。

 カトリーナはカテゴリー5のハリケーンでした。カテゴリーとは熱帯低気圧の強さを分類する指標であり、5は最上位です。同じカテゴリー5の台風は日本にももりもり来ています。直近で示せば、平成15年台風第14号です。この台風は宮古島をかすめただけですが、死者はわずか3人でした。日本に上陸したカテゴリー5の台風では、平成2年台風第19号平成11年台風第18号があります。こちらでも死者は30名から40名です。一方、カトリーナによる死者は2000名近くに上りました。

 あまりにも被害の差が大きすぎると思いませんか。もちろん、単純比較はできません。上陸した地域や通過するまでの期間などを考慮しなければなりません。それでもなお、日本とアメリカにおける被害状況の格差については考えても良いと思います。

 同じ強さの台風(ハリケーン)が上陸しても、少ない被害で抑えられる日本と、数多くの死者を出してしまうアメリカ。これはインフラ整備の裏返しではないでしょうか。日本のインフラは意外に整備されており、アメリカは脆弱なのです。社会制度や企業組織といったインフラはアメリカが世界的優位を保持しているのでしょうが、一般生活に関するインフラは日本の水準のほうが優れています。

 カトリーナの被害を仕方なかった、どうしようもなかった、と諦めてしまうことはできません。アメリカと違って丁寧にインフラ整備をしてきた日本は台風にもある程度耐えられる国になっています。これは無駄だと言われ続けている公共事業によって進められてきました。無駄な公共事業は無駄ではなかったのです。膨大な公共事業費は今後整理する必要がありますが、それによる恩恵の部分をもう少し認めても良いとは思います。

覚書 080223

橋本択摩「Euro Weekly」第一生命経済研究所『定例経済指標レポート』2008年2月13日。
・BOEは2月6−7日に開かれた金融政策委員会(MPC)で、政策金利を0.25%ポイント引き下げ、5.25%とすることを決定した。1月の生産者物価(出荷価格)は前年比プラス5.7%と1991年7月以来の高水準となり、同じく1月の消費者物価は同プラス2.2%とインフレ目標(プラス2%)との乖離も広がりつつある。このような根強いインフレ懸念がある以上、BOEは大幅な追加利下げを行なうことに対しては慎重になるとみられる。
・利下げは昨年12月に続く2度目の利下げである。声明文では、金融市場の混乱が続き、世界経済の見通しが悪化していることから、個人消費が鈍化している点を決定の背景に挙げている。インフレについては、エネルギー価格と食料品価格の急騰、およびポンド安が今後数ヶ月インフレ率を押し上げるが、需要の鈍化がインフレ圧力を和らげ、中期的にはインフレターゲット(プラス2%)に戻るとしている。この点は昨年11月のインフレーション・レポートに述べたとおりである。

大政美樹「主要国の金融政策動向」国際金融情報センター、2008年1月9日。
・英国:5.50%
・12月6日は0.25pp引き下げ5.5%へ。利下げは2005年8月以来。景気減速の兆候、および家計・企業への信用供給の引き締まりに配慮した。インフレ率はエネルギー・食料品の値上がりから短期的には目標を上回るが、景気減退を受けて中期的には抑制。2006年8月からの引き締め局面入りし5回にわたり計1.25%引き上げ、2007年8月以降は4回連続で据え置いていた。

大政美樹「主要国の政治動向」国際金融情報センター、2008年1月9日。
・2008年1月24日、労働・年金相が不正献金疑惑で辞任。小幅内閣改革。

城野敬子「2008年も収まる気配のないイギリスの物価高」日立総研『欧州レポート』2008年2月13日。
・国家統計局(Office of National Statistics)の発表では2007年の消費者物価指数上昇率は2.3%ということだが、生活実感としてのインフレ率は政府公表の数字よりも高いと言われている。2007年11月に発表された、イギリス中央銀行の「インフレ態度調査(Iflation Attitudes Survey)」でも、イギリス人2,054人に過去12ヶ月の店頭での値上がり方を尋ねたところ、回答の中央値が3.2%である。2%以上3%未満と回答した人が20%であったが、5%以上との回答も20%を占めた。テレグラフ紙の報道では、ミドルクラスの生活コストの上がり方がとりわけ激しく、6.8%もの上昇であると言う。
・公表数値は生活実感よりも低すぎるとの苦情が少なくないのか、国家統計局は、「個人用インフレ計算機(Personal Inflation Calculator)」なるものをホームページ上で提供している。これは、個人の消費パターンに基づいてインフレ率を計算できるツールだそうで、インフレが自分の生活にどう影響するのかについて理解を深め、インフレの計測についての議論を深めることを目的にしていると言う。個人的には、このツールが個人の生活に役立つともあまり思えないのだが、急激な物価上昇に直面し、公表数値は実態を表していないと不満を感じる国民に対して、何とか説明責任を果たそうとする政府の苦肉の策なのだろう。
・イギリス中央銀行総裁のキング(King)氏も、2008年1月23日に行なったスピーチの中で「エネルギー価格の高騰、食品価格の高騰、ポンド安による輸入価格の上昇により、2008年のインフレ率は2%を超える。私が財務相に説明のための公開書面を書かなければならない(すなわち、インフレ率が3%を超える)ことも一度ならずあるだろう」と発言した。景気減速の中で続く物価上昇に、「スタグフレーション」や「スローフレーション(Slowflation)」などの言葉も飛び交っており、2008年はイギリス中央銀行にとっても国民にとっても悩ましい1年になりそうである。
・インフレ態度調査:Inflation Attitudes Survey
・個人用インフレ計算機:Personal Inflation Calculator
・インディペンデント記事:slowflation

中沢剛「物価安定重視を再確認した英国&スウェーデン中銀」三菱UFJ証券『外債投資ウィークリー』2008年2月15日。
・2月14日に公表された季刊「インフレーション・レポート」では、新興国景気の堅調と、最近のポンド相場急落の影響から、(これまでマイナス寄与であった)純輸出は今後数年間プラス寄与に転じるとの見通しである。さらに、2009年には金融市場の落ち着き、利下げやポンド高の効果から、景気は回復すると引き続き予想した。景気減速は従来の予測よりも「やや深く、一層長引く」とする一方、キング総裁は会見で「ロンドンの金融街を一歩離れて地方を訪ねれば、雰囲気が全く異なるのに気付く」と強調し、ミクロ的な産業の活力に改めて注意を喚起した。
・キング総裁は、景気リスクと物価リスクとの「困難なバランス化(difficult balancing act)」に直面しているとした上で、「BOEの目標は物価の安定(中期的なインフレ・ターゲットの)目標達成だ」と幾度も念押した。英国の金融政策は、90年代初めまでは財務相(正式には議会)の管轄にあり、政治の影響が極めて強かった。その後は徐々にBOEに権限が移管され、1997年に「機能的独立(インフレ目標のみ政府が決定)」を達成したが、その後も暫くは、MPC(金融政策委員会)内で景気重視派(いわゆるactivist)が幅を利かせ、ハト派も多かった。しかし、ここ数年で物価やマネーを重視する傾向が一段と強まっており、最近では時にECBより頑固な印象すら受ける。「過去の経験則」によるBOEの大幅利上げ観測は、この点で疑問がある。

中沢剛「長期金利は上昇:インフレ問題を再確認」三菱UFJ証券『外債投資ウィークリー』2008年2月15日。
・英国長期金利は上昇基調を辿った。週初の4.4%台前半から、14日は一時4.662%に。米国の積極的な景気刺激策や、モノライン対策の進展から、米価の底入れ感が広がるとともに、インフレ懸念も出て、米・欧で(欧州はベア)スティープ化傾向が続く。

「西欧経済の見通し」三菱東京UFJ銀行、2008年2月20日。
・英国の2007年第4四半期の実質GDP成長率は前年比2.9%と、第3四半期の同3.3%より低下したものの、底堅さを示した。
・12月の鉱工業生産は、前年比プラス0.7%と3ヶ月連続で前年水準を上回った。財別にみると、中間財、資本財が生産全体の伸びを押し上げた。また、個人部門についてみると、景気の遅行指標である失業率は、12月時点で2.5%と低水準にあり、雇用情勢は良好である。しかし、小売売上数量は、12月に前年比プラス2.7%と前月のプラス4.2%から大きく低下した。
・消費者物価上昇率は、10月から12月まで3ヶ月連続で前年比2.1%であったが、1月には同2.2%へ上昇した。ガソリン価格を含む個人輸送機械関連費用や食品価格は引き続き上昇し、物価全体を押し上げた。また、1月より電気・ガスの料金が引き上げられた結果、これまでの物価の安定に寄与してきた電気料金やガス料金のマイナス幅が縮小に転じている。
・こうしたなか、2月7日の金融政策委員会(MPC)では、昨年12月に続き、25bpの利下げが決定された。足元の景気鈍化を配慮したものである。

松浦年洋「英国の事例に学ぶ、官民のパートナーシップを確立するための教訓」『Publiciva』2008年2月19日。
・官民のパートナーシップを確立するための重要なポイントについて、英国最大のシンクタンクであるIPPR(Institute for Public Policy Researc)のリサーチディレクター(当時)のガビン・ケリー氏が大変簡潔にまとめている。
・ケリー氏は自治体サイドにおける課題として次の8つのポイントを挙げています。1. 調達に関する専門的な知識の向上や共有がなされていない。2. 調達担当者の立場が比較的低い。3. 近隣の自治体との情報交換の機会が少ない。4. サービスの品質に重点を置いた契約書が作成されていない。5. 期待されるサービスの成果が重視されていない。6. 市場形成のスキルが未成熟。7. 利潤分配条項が明記されていない。8. 契約の締結までに長期間を要する。

ガムボトル

 今日はガムボトルです。

 ちょいと思うところがあって、キシリトール系のガムを噛んでいます。最初は棒型のものを食べていたのですが、噛み始めるとやめられなくなり、1本がすぐなくなってしまします。

 これはもったいないと思って、ボトル型に手を出しました。どうせもりもり食べるなら、こちらほうがお得だと思ったからです。

 とはいえ、ボトル型は高額です。ボトルには確かにたくさんガムが入っているのですが、値段がガムの値段はありません。

 そこで内容量と値段の比較をしてみました。商品は私が愛用しているグリコのポスカムです。値段は私がいつも買うお店屋さんのものです。

 名称/内容量/値段/比率(円/g)
ボトル: 145g 750円 5.17
 棒 :14粒20g 100円 5 

 うーん。ほとんど差がありません。むしろボトルのほうがちょっと高いです。お店屋さんではいくらか値引きされているので、その差でしょうか。

 いずれにしても、お得という点ではどちらでも構わないようです。もう少しはっきりとした比較結果になると思っていたのですが。

十七条憲法の現代語訳

 今日は十七条憲法の現代語訳です。

十七条憲法の現代語訳

第1条 お前ら仲良くしる
第2条 仏様とお経と坊さんは大切にしろよ
第3条 天皇陛下の詔勅は謹んで受けろ
第4条 役人は礼儀と身分をわきまえろ
第5条 人を裁く奴は賄賂とかに惑わされんなよ
第6条 DQNは叩け。いいことしろ。
第7条 役人はちゃんと自分の仕事をしろ。
第8条 役人は朝早く出勤して夜遅く帰れ。きっちり定時なんかに帰るなよ。
第9条 信用は大切だぞ。
第10条 他人が何か間違ったことしてもあんまり怒るな。
第11条 功績や過ちはハッキリさせて、賞罰とかその辺きっちりさせろよ。
第12条 役人は住民から搾取しちゃダメだろ。
第13条 役人ども、おまいらは同僚が何やってるかはきっちり知っておけよ。
第14条 役人は他の市とかの方が給料高いからって妬んだりすんな。
第15条 役人どもはてめー財布のことばっかり考えてないで国のために働け。
第16条 国民に何か課すときは、必ず時期とか空気読んでやれよ。
第17条 重要事項は会議して決めろ。ひとりでコソコソやんなよ。

 言葉遣いがアレですが、原文の意を汲んだ秀逸な訳だと思いました。

 元々の十七条憲法は役人が遵守するべき倫理や規範を示したものです。現代でも十分に通用する内容ですので、ぜひとも公務員の倫理として取り入れて欲しいと思います。

 もっとも、今の世論ではお定まりの役人批判に取り入れられるだけでしょう。国民の側にも同様の規範が必要だと思います。条文は1000条くらいになるでしょうが。

自衛隊パソコン導入

 今日は自衛隊パソコン導入です。

記憶装置なしパソコン、海自が3万台全面導入・10年度までに

 防衛省は機密情報の流出防止を狙い、記憶装置を持たないパソコン「シンクライアント端末」を2010年度までに海上自衛隊に全面導入する。海自のパソコンのほぼ全量に当たる約3万台を対象に、米国防総省が使う米サン・マイクロシステムズ製の端末に置き換える。国内でのシンクライアント端末の導入台数では過去最大とみられる。昨年明るみに出たイージス艦の情報流出事件などを受け、防衛情報の厳格管理が国際的に求められているのに対応する。
 防衛省はまず今年3月までに端末数百台を海自の施設に導入。その後艦船などにも順次設置する。海自での成果をみて陸上自衛隊や航空自衛隊への導入も検討する。

NIKKEI NET 2008年2月10日

 注目すべきは納入元がアメリカ企業のサン・マイクロシステムズであることです。日本の防衛を担う自衛隊に、海外の、しかもアメリカの企業が食い込もうとしています。防衛政策としては有り得ないことです。

 アメリカの参入を許してしまったのは、記事にもあるように、イージス艦に関する情報漏洩です。あの事件によってアメリカに付け入る隙を与えてしまいました。漏洩それ自体による影響のみならず、国防に与えた損害は甚大です。

 小耳に挟んだ噂を追加すれば、防衛省の守屋前次官が逮捕され失脚したことと関連があると言われています。パソコン導入をはじめとした各種の利権争いのなかで、守屋前次官が敗れて逮捕されたのではということです。

 守屋事件の論点は接待はけしからんという感覚的なものではありません。接待で防衛費が浪費されるほうが良いのか、情報システムをアメリカに握られたほうが良いのか、といったことが焦点になっていたのです。どちらが戦争に近くなるのかは一目瞭然です。

 国防費を無駄遣いすることで日本の軍備をへろへろにしていた守屋前次官は、実は反戦平和主義者ではなかったのかと思う今日この頃です。

オリコー少年合唱団

 今日はオリコー少年合唱団です。

第1章:カード暗証番号/カエルの合唱
 http://www.youtube.com/watch?v=5qLAYYIF600
第2章:フィッシング詐欺/おおブレネリ
 http://www.youtube.com/watch?v=geeWw2ofzn4
第3章:架空請求/歓喜の歌
 http://www.youtube.com/watch?v=Ox22Zy3ggSs
第4章:スキミング/モルダウ
 http://www.youtube.com/watch?v=t4I0zPkHUn8
第5章:悪徳商法/とうりゃんせ
 http://www.youtube.com/watch?v=XCDmLhAjpqk
第6章;債券取立詐欺/春
 http://www.youtube.com/watch?v=RSRbFZHspr8
第7章:盗難・スリ/あんたがたどこさ
 http://www.youtube.com/watch?v=OIgaCT5WH8Y
第8章:海外でよくあるトラブル/森のくまさん
 http://www.youtube.com/watch?v=ME2Zjkzp6iM

 クレジットカード利用について注意すべきことを、童謡に乗せて歌っています。要するに替え歌です。

 真面目にバカなことを歌っている姿がシュールです。しかも歌詞の内容は至極真っ当です。こういった大人の遊びが私は大好きです。

 いずれも力作ですが、私はモルダウが気に入りました。モルダウの曲調に歌詞がぴったり合っていると思います。

 本家サイトは惑星サルーンです。カード利用者を増やしたいものの、カード被害を減少させないと利益が出ないカード会社の苦労が垣間見えました。

覚書 080214

橋本択摩「Euro Weekly(1/28〜2/1) 実質所得の低下により消費が低調」第一生命経済研究所、2008年2月4日。
・イギリスの1月ネーションワイド住宅価格は、前月比マイナス0.1%と3ヶ月連続のマイナスとなり、前年比ではプラス4.2%と前月同プラス4.8%から鈍化した。1月製造業PMIについても50.6(前月52.5)と、ユーロ圏と異なり大幅低下した。2008年入り後のイギリス経済はさらに原則を余儀なくされ、2月6−7日に開かれる決定会合では0.25%利下げが決定されよう。

三菱UFJ信託銀行「Monthly Economics」2008年2月号。
(覚書注:図表資料が羅列されている。)

藤森克彦「インタビュー 年金制度を安定させる智恵と工夫 国際比較のなかから」みずほ情報総研。
・生涯でもらう年金の給付額に対する、生涯で支払った保険料負担額には世代間で格差があります。しかし、格差があるからといって、必ずしも不公平とは限りません。なぜなら、現代の70歳以上の世代の多くは、年金制度が本格的に適用されなかった自分の親の扶養を私的に行なってきました。つまり、年金保険料という形で負担していなくても、私的に負担をしてきたのです。私的に親の世代を行なってきた世代と若い世代の間で、単純に保険料負担と給付の格差を論じるのは、ベースになっている基準が揃っておらず、一面的な議論だと思います。(覚書注:結果論でしかない。同じ論理で言えば、親の扶養を行なっている現役世代に対する保険料の軽減、あるいは給付水準の引き上げが検討されるべきである。そういう提言は本論には含まれていないので、実際のところ、高負担低給付で我慢しろと言うための詭弁に過ぎない。)
・抜本改革の議論は、現役世代の3つ目の不安である「払った保険料に見合った給付を将来受けられるのか」に関係していると思います。世論調査では、「働いているときに納めた保険料の実績に応じた年金額が給付されるのかなど、負担と給付の関係が明確な仕組みであった方がよいか」という質問に対して、現役世代の8割が肯定しています。
・ところで、現役の公的年金制度は、支払った保険料の対価として年金を受けられるという「保険原理」の側面をもっています。つまり、負担能力に応じて拠出し、必要性に応じて受給するという社会保険の原則があり、所得再分配が行なわれています。
・例えば、厚生年金ですと、賃金に一定の保険料率が課せられていますので、現役時代に高所得であった人ほど多くの保険料を支払っています。他方、給付をみますと、報酬比例で支払われる部分と、定額の基礎年金部分があります。基礎年金部分は、支払った保険料に関係なく定額給付となっていますから、高所得者層から低所得者層に世代内で所得再分配が行なわれています。
・また、専業主婦は、国民年金の第3号被保険者となって、個人としては保険料を納めていないのに年金を受けとることができます。夫が加入している厚生年金や共済年金の加入者全体で第3号被保険者の保険料を負担しているからです。
・さらに、賦課方式の下、現役世代から高齢世代に仕送りがなされていますが、後世代ほど高齢世代への仕送り負担が重くなっています。
・このように、公的年金では世代内や世代間で所得再分配が行なわれています。世代調査からすると、多くの国民は、私的年金と同じように支払った保険料は自分のため以外には使われるべきではないと考えているように思われます。これが公的年金に対する不満であり、「負担と給付を明確にしてほしい」という意見につながっているように思います。
・もし負担と給付の関係を明確にするなら、現行制度を抜本的に改革して、スウェーデンやポーランドの年金制度である「概念上の拠出建て方式(NDC:Notional Defined Contribution)」に変えていく必要があるだろうと思います。
・ポーランドの年金制度を例に説明していきます。まず保険料率19.52%を労使折半で負担し、長期に固定します。保険料の徴収は、ZUSと呼ばれる社会保険庁が行ないます。そして、保険料収入のうち12.22%がNDC(概念上の拠出建て方式)に振り分けられ、7.3%部分がFDC(Funded Defined Contribution:拠出建て積立方式)にいきます。
・NDCの資金の流れは賦課方式と同様であり、保険料は現在の高齢者の給付に充てられます。ところがNDCでは、各自が支払った保険料を「NDC個人勘定口座」に記録していきます。しかも、資金は高齢者の給付に回って存在しないにもかかわらず、みなしで利子までつけていきます。積立金も運用益も実際には存在せず「概念上」想定したにすぎないので、「概念上の拠出建て制度」と呼ばれているのです。(覚書注:しっくりこない制度である。日本における二階建て方式と何が違うのだろうか。NDC個人勘定口座が厚生年金に該当する。また、「概念上」という扱いにも違和感を感じる。年金の個人勘定化に向けた過渡的措置ではないだろうか。)
・退職時になると、NDC個人勘定口座に記録された保険料拠出総額と運用益総額の合計を、退職時の年齢から予想される平均余命で除して、年金額が決定します。平均余命が伸びれば、年金額が減るので、長寿化のリスクも高齢者の給付減少によって吸収されます。ただし、支給開始年齢は、男性65歳、女性60歳以降であれば自由に選べるようになっています。年金額を増やしたければ、平均余命が短くなるように、働き続けて引退時期を遅らすことが可能です。(覚書注:年金額は増えるわけがない。合計金額は一定である。支給開始年齢を遅らせると平均余命までの期間が短くなり、その短縮した期間で合計金額を割るため、毎回の給付額が増加するのである。)
・現役世代の所得水準が低く、NDCとFDCから得られる年金額が、政府の保証する一定水準を下回る場合は、「最低保証年金」と呼ばれる税財源をベースにする制度によって差額が補填されることになっています。
・税財源をベースにする部分では、所得再分配が行なわれ、保険料で運営するNDCとFDC部分では拠出尾と給付の関係が明確になっているわけです。税部分と保険部分の役割分担が明確で、この点は魅力的ですね。
・基礎年金を税方式にすることの課題としては、第4に、保険料方式のもとでは労使折半で保険料を支払ってきましたが、税方式にすれば、事業主は保険料を支払う必要がありません。社会保障負担が高まっているときに、企業が保険料負担を免れることは適切ではないとの見方もあります。(覚書注:税方式導入は企業負担の軽減をねらいの1つとしている。導入するのであれば、保険料分の増税を企業に要求する措置が伴わなければならない。)
・イギリスの年金改革で興味深いのは、主要先進国はどこも高齢化による公的年金負担の高まりに苦しんでいるのに、イギリスは90年代から主要先進国の中で唯一、GDPに占める公的年金給付額の割合が5%という低い水準にあり、しかも将来的にみても2050年まで横ばいに推移していくと推計されていることです。
・イギリスの高齢化も、日本ほど急ではないけれども緩やかに進んでいきます。しかし今後も低い公的年金負担が維持されていきます。これには3つの要因があります。
・1点目は、適用除外制度です。イギリスの年金制度も2階建て構造になっていて、1階部分に自営者と被用者を対象とする基礎年金があって、2階部分に被用者を対象とする付加年金があります。そしてイギリスの公的年金の特徴は、一定水準以上の私的年金(企業年金と個人年金)に入っている被用者であれば、公的年金の2階部分への加入が免除される「適用除外制度」があるのです。この制度によって、被用者の6割が公的年金の2階部分の加入を免れているのです。この結果、公的年金負担が低位に推移し、高まっていかないのです。
・2点目は、80年代から世界に先駆けて「公的年金のスリム化」に向けた改革が行なわれてきたことです。サッチャー政権、メジャー政権といった保守党政権下で、給付水準の削減、支給開始年齢の引き上げなどが行なわれてきました。
・3点目として、ナショナルミニマムの考え方です。イギリスの公的年金は、高齢者を貧困から守るために、最低限の生活水準を確保していくという発想で創設されました。大陸欧州諸国の公的年金が、引退によって生活水準が激変してしまうことを緩和するという考え方のもとで作られたのとは、そもそもの成り立ちが違います。この影響を受けて、イギリスの公的年金の給付水準は、他の先進国と比較して低く抑えられているのです。
・ブレア政権の1998年の年金改革には3つのポイントがあります。1つめは、高齢者向けの特別な生活保護制度です。年金クレジットという、高齢者向けに寛容な年金制度をつくりました。2つめは、2階部分である報酬比例年金の部分を、低所得者に手厚い給付をする、「国家第二年金」に変えました。3つめは、「ステークホルダー年金」という使い勝手のよい私的年金を、官民が協力して作りました。安価な保険料で、安全性の高い枠組みを国が定めて、その運営や販売は民間企業が行ないます。いわば、政府の定めた枠組みに従った私的年金であれば、「ステークホルダー年金」という名称で、政府のお墨付きを受けた年金として販売できるようにしました。

「最低賃金引き上げを起点とする成長力強化・所得底上げへの戦略 英国の経験を踏まえたワーキングプア解消への処方箋」日本総合研究所調査部ビジネス戦略研究センター『ビジネス環境レポート』No.2007-10。
●ポイント
・英国で全国最低賃金制度の導入後も良好な経済パフォーマンスが維持された背景には、「景気回復持続と生産性向上」および「就業形態多様化と職業訓練」への包括的な取り組み。ただし、そうした政策によって所得格差の解消は困難であり、負の所得税の創設など、「就労促進的な所得再分配政策」も同時に必要なことを示唆。
●レポートの要旨
・ここにきて最低賃金の引き上げの必要性が議論されるようになってきた背景は、以下の三点。1. 「世帯主」である非正規雇用者の増加:世帯主が非正規雇用者である二人以上の世帯数は1990年の164万世帯から2006年には322万世帯へと倍増。2. 生活保護制度との逆転:これまで最低賃金は「企業の支払い能力」に配慮する形で決められてきた結果、生活の最低水準とされる生活保護水準を下回るケースが発生。3. 先進諸国で最低水準に:欧州先進国の最低賃金は、時給ベースで換算すると1,000円を超えるケースが一般的。つい最近まで、わが国とほぼ同水準であった米国も2009年夏までに四割強が引き上げられる予定。
・経済学的には、最低賃金の引き上げは、「賃金が生産性を上回る状況を生み出すことで企業業績を圧迫し、失業増などにつながる」というのが標準ケース。ただし、潜在的な労働供給が需要を上回る状況が常態化している「需要独占」の場合、賃金は生産性を下回っているため、最低賃金の引き上げは賃金増と雇用増の双方をもたらし得る。
・わが国では、正社員と非正規雇用者の間で労働市場が分断されてきたことで、最低賃金の影響を受けやすい非正規雇用者の賃金は生産性を下回る状況に。そうした状況は、産業基盤が弱くは働き口の少ない地方での大企業の工場や営業所で発生している可能性があり、大企業を中心にした高生産性セクターについては、非正規雇用者の賃金の引き上げを、雇用量を減らすことなく受け入れる余地あり。反面、地方の中小企業をはじめ低生産性部門では打撃を受ける公算大。(覚書注:視点としては面白いが、本論中にも論拠が示されていない。印象論との批判は免れないだろう。)
・全国最低賃金制度の導入後も、良好な経済パフォーマンスを維持した英国の経験が、わが国にとって持つインプリケーションは以下の通り。1. 景気回復持続と生産性向上が条件:英国で最低賃金の引き上げが失業増につながらなかったのは、景気回復が持続するもと、外資導入・地域再政策の効果もあり生産性の持続的向上が人件費増を吸収できたため。政策論的には、景気回復持続に向けたマクロ政策と生産性向上誘導策としてミクロ政策の同時実施が、最低賃金引き上げを望ましい形につなげる条件。2. 就業形態多様化と職業訓練の重要性:労働政策面の見逃せないのは、就業形態の多様化を進めることで労働力のフレキシビリティを高める一方、職業能力訓練を強化することで働き手の能力開発を支援することの重要性。3. セーフティーネットの再構築の必要性:英国の経験によれば、所得格差是正のためには、最低賃金引き上げと同時に、景気回復の持続・生産性向上、就業形態多様化・職業訓練強化など、総合的な政策をパッケージで行なうことが不可欠である一方、そうした政策によっても所得格差の解消は困難であり、勤労所得控除制度の創設など「所得再分配政策」が必要。
●本論
・最低賃金と実勢賃金の関係:わが国の地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会で決められる「目安額」をもとにして、都道府県ごとに毎年改訂される仕組み。従来は30人未満の中小企業の賃上げ率にほぼ準拠する形で、小幅かつ全国横並びで引き上げ。この結果、最低賃金が賃金下限として意味を持ってきたのは主に地方のパートタイマーにとってであり、大都市部では正社員のみならずパートタイマーについても、最低賃金は実勢賃金を大幅に下回ってきたのが実情。
・従来、最低賃金のセーフティーネット機能の強化が大きな議論とならなかったのは、低賃金で働く労働者の多くは、学生アルバイトや主婦パートという「世帯主」でない存在であったため。むしろ、彼らの低賃金は「世帯主」である父親や夫の高い賃金の原資を生み出す形で、世帯単位でみた労働者生活の安定に寄与。(覚書注:従来、付加的に賃金を得るための労働で生活を支えなければならなくなっている現状がある。なぜこうした状況になっているのか。世帯主である非正規雇用者とはどのような人々か。なぜ非正規雇用であるのか。年代や性別の分布はどようになっているのか。この辺りの論点を詳細に確認する必要があるだろう。少なくとも、構造的で伝統的な経済格差と、ワーキングプアと言われる階層とは相対的に別に位置づけるべきである。)
・生産性向上の促進剤としての役割:最低賃金の引き上げを、低生産性事業の再編を促して経済全体の生産性底上げを実現するための「促進剤」と考えるべきではないか。中期的に最低賃金が引き上げられていくことになれば、低生産性部門は賃金引き上げの原資を捻出するために、事業分野を高生産性部門にシフトする必要。それにともなって、労働力を低生産性部門から高生産性部門にシフトさせることが求められることに。また、最低賃金引き上げで非正規賃金が上昇すれば、正規・非正規の賃金格差是正を促す効果も。(覚書注:無理があるような提言だが、議論の枠組みとしては面白い。生産性の高い企業だから賃金の底上げに対応できるのではなく、賃金引き上げを企業に強要して、それに耐えられる生産性を追求するべきだとする。そんなことはできないと反論する企業には、そんな弱気だから大企業との差が広がるんだと丸め込む。)
・英国において全国最低賃金制度が導入されて以降の経済成長率の動向をみると、2%前後の堅調な状況が持続。最低賃金の引き上げで堅調な成長鈍化が生じた様子は無い。この間、失業率はむしろ低下傾向を辿っており、最低賃金の引き上げはマクロベースでの失業増をもたらしてはいない。就業者数をみても、最低賃金引き上げ前後で増加テンポはほぼ同じ。また、全国最低賃金制度導入後、実質賃金上昇、生産性上昇ともに、歴史的にみて高いパフォーマンスを達成。以上を要するに、90年代以降の長い景気回復が続くなか、生産性向上が最低賃金の引き上げを吸収。反面、最低賃金引き上げによる所得底上げ効果が消費主導回復に一定程度貢献した模様。(本論の提言から考えると、賃金底上げを吸収できる経済拡大が英国にあったとするのではなく、賃金を引き上げたからこそ生産性が向上して持続的な経済成長につながったと位置づけるべきだろう。)
・「生活保護」「最低賃金」「基礎年金」の整合性確保:国民生活の最低水準を守るものとして、「生活保護」「最低賃金」「基礎年金」が挙げられるが、本来はそもそもの最低生活水準を適切に決め、それをベースに三者の水準が設定されるべき。しかるにわが国の場合、これらが別々の考え方に基づいて決められている。その結果、最低賃金でフルタイム働いても生活保護水準の所得が得られない「貧困の罠」が発生し、就労インセンティブが大きく削がれる状況。また、基礎年金が生活保護水準を下回る状況にあり、老後は年金保険料を払って基礎年金で暮らすよりも、生活保護に頼ったほうが収入が多くなるため、年金保険料の納付インセンティブを減じる形になっている。こうした意味では、これら三者の水準の整合性を探ることは喫緊の課題。
(覚書注:全体として結論ありきの先走った論考だという印象を受けた。面白いことをいろいろと述べているが直接的な説得力がない。裏返せば、何だかわからないけどスゴいことを主張しているとも言える。)

『マリア様がみてる』

 今日は今野緒雪『マリア様がみてる キラキラまわる』(2008年、コバルト文庫)を読みました。

 前回に棚上げされていた祥子の奇行について原因が明らかにされました。勉強していたり学校を休んでいたりしたのは、普通自動車免許を取得するためだったのです。これは予想外でしたが、相変わらず物語に破綻を来さないような展開です。

 はい、内容は以上です。今回の見所はそんなところではありません。そうです。瞳子と可南子です。冒頭の人物紹介に可南子が復活しました。挿絵にもばりばり登場しています。さすが私の瞳子と可南子です。

 二人の絡みも最高でした。p.104からp.108です。普通の会話です。が、二人が普通に会話していることに安心しました。おそらく、物語の展開に間を入れるための場つなぎでしかない場面ですが、そこで普通に話している二人の姿を見せてくるとは粋な演出です。

 そして、p.182からp.184です。もう最高です。萌えの波状攻撃を仕掛られています。弾けた格好の可南子。瞳子を弄ぶ可南子。「うーっ」とか言っている瞳子。小声で裕巳に気持ちを伝える瞳子。もう最高です。にやにやしながら何度も読んでしまいました。さすが私の瞳子と可南子です。

 極めつけはp.185の挿絵です。可南子の弾けた格好にも悶えましたが、一緒に描かれている瞳子の格好に私の心は完全に打ち抜かれました。ホットパンツにオーバーニーソックスです。これはたまりません。pp.104−8でもこの格好だったのかと思わず読み返してしまいました。

 瞳子を肩車して可南子と手をつないで一緒に遊園地を回りたいなー!!

 失礼しました。心の叫びが抑えきれませんでした。でも続けます。ここに蓉子が参戦すれば完璧です。大丈夫です。私は同時に4人までいけます。1人足りない? では笙子をいただきましょう。わー。楽しくなりそうだなー。うふふふふ。

 もちろん、この4人には、あの猫耳帽子をかぶってもらいます。さらに、それをかぶったら語尾に「にゃ」を付けるのがここの決まりです、とか騙して、一日中「にゃ」とか言わせます。そうだ! しっぽもつけよう! 首輪に鈴もつけるか? それから……

 こうして今日も夜は更けていくのであった……。

『生きた貨幣』

 今日はピエール・クロソウスキー(兼子正勝訳)『生きた貨幣』(2004年、青土社)を読みました。

 正直に言いますが、まったく内容がわかりませんでした。荒唐無稽で馬鹿らしくて理解できないのではなく、言わんとすることが複雑すぎて読み取れないのです。本書は訳本ですが、翻訳の精度に問題があるわけでもありません。おそらく私の認識水準では太刀打ちできない本なのでしょう。久しぶりにこのような本に出会いました。

 わからないと言っても、最終的な主張は読み取れます。それは、生きた人間を貨幣として使うべきだ、というものです。これは奴隷としての人間のことではありません。普通の人間です。男には女の体で、女には男の体で、対価を支払うことが本書では提唱されています。

 本書によれば、人間は快楽を交換し合っています。財は快楽を消費するための媒介です。それを貨幣を通じて手に入れています。いわば、人々は財や貨幣を媒介に快楽を生産し消費しているのです。だとすれば、快楽を直接的に消費し合うほうが真実の人間関係を構築できるのではないかと本書は主張するのです。

 と、一応はまとめてみましたが、まったく自信がありません。いわゆる「体で払う」ことの正当性を理論的に明示しているのでしょうか。それ自体は面白い視点です。私もいかんともしがたい時に、これを体で払えたらなぁと思うこともあります。が、本書の内容がそれほど単純ではないとも思います。

 なお、本書には著者による素描や写真家ピエール・ズッカによる写真が挿絵として掲載されています。モデルは著者の妻です。もちろん、これらの作品も何を表現しようとしているのかわかりません。私にも手がつけられない領域があることを突きつけてくれた本でした。つくづく嫌になりました。

建国記念日

 今日は建国記念日です。

 私は建国記念日派です。建国記念の日派ではありません。いずれにせよ、今日は全国的に祝日です。それは誰でも知っているはずです。

 もし知らなくとも、それは自分の責任です。暦を確認しなかった本人が悪いのです。他の誰の所為でもありません。もちろん、私の所為でもありません。

 だから落ち着いてください。「聞いていない!」とか言わないでください。ものを投げないでください。あなたの立場が危うくなるだけです。

 ……今日は貴重な体験をさせていただきました。お金で買えない価値があります。人生の経験値が上昇しました。

【追加:2月12日】
 出入り禁止になりました。器物損壊罪で警察に突き出したり、損害賠償を請求しないだけましだと思ってください。この件を反省材料にして、どうか人間として成長されることを祈念しております。

『男子のための人生のルール』

 今日は玉袋筋太郎『男子のための人生のルール』(2006年、理論社)を読みました。

 よくある親父の説教です。一言で言えば、そのような本です。ですが、なぜか共感しながら読んでしまいました。

 冒頭で挨拶の大切さを訴えていますが、私も同感です。挨拶は人間関係の端緒ですから、まずは挨拶ができないと付き合いが始まりません。ぎくしゃくして窮屈な雰囲気が嫌なら、挨拶をして自分から変えていくべきです。

 規則に正面からぶつかるなという提言にも賛成です。正面からぶつかっても、無駄な労力を費やすだけです。合法的な抜け道を探すことも含めて、その枠組みでできることを考えたほうが自分の成長につながります。

 他にもいくつか納得できる点がありました。著者の個人体験に基づいた内容が多いので、そのまま受け取ることができない部分もありますが、全体としてすっと頭に入ってきました。意外に読みやすい文章を書きます。

 と言いつつも、理解しやすかったのは、私も著者同様に、親父になってしまったということでしょうが。

消費税の年金財源化

 今日は消費税の年金財源化です。

基礎年金の全額税方式を提案…麻生氏、中央公論に論文

 自民党の麻生太郎・前幹事長は9日発売の中央公論3月号で、基礎年金を全額税方式とする年金改革案を示し、その財源として消費税率を10%に引き上げる考えを盛り込んだ論文を発表する。
 「ポスト福田」の有力候補との見方もある麻生氏が、民主党などと同様に基礎年金の全額税方式を提案したことは、党内外の反響を呼びそうだ。
 論文は「これが安心を取り戻す麻生プランだ」と題して、「政府がどんなに『100年安心』をうたっても、もはや信用する人は誰もいない。抜本改革しか国民の信頼を取り戻すすべはない」と強調。基礎年金の全額税負担と消費税率を10%に引き上げる必要があるとした。厚生年金については、事業主による保険料の半額負担をなくし、企業の負担軽減分は賃上げに回すよう求めている。
 また、基礎年金を全額税負担に変更しても、保険料を負担してきた人と未納の人の不公平が生じないよう、保険料を納めてきた人には「プラスアルファ分の支給」を提案している。
 消費税率引き上げの影響については、月額1万4000円程度の国民年金の保険料負担がなくなることで、「消費が大きく冷え込むことはない」との見方を示している。麻生氏はこれまで大幅な消費税増税には慎重だったが、「責任ある政治をするため、安心できる社会をつくるためには避けて通れない」と強調している。
2008年2月8日03時04分 読売新聞

 非常に良案ではないでしょうか。というか、そもそも年金財源の全額税方式は良案なのですが、それを自民党幹部の麻生太郎が主張していることに意味があると思います。税方式については自民党が反対をしていたからです(参照:Wikipedia/財源方式を巡る議論)。

 反対意見の中軸は生活保護との混合を指摘するものです。年金が税方式に移行してしまうと、同じく税金を財源としている生活保護との違いが薄くなってしまいます。現行制度でも、老後の生活を保障する年金と、困窮者の生活を保障する生活保護とは制度的に重なるところがあります。財源までもが同じになってしまうと、制度の運営いかんによっては重複支給となってしまうため、いずれかの給付水準が、あるいはどちらの給付水準も下げられてしまう可能性があります。いやむしろ、効率化の観点から言えば、引き下げるべきだとされるでしょう。

 生活保障としての両制度を維持するためにも財源を別にしておいたほうが良いということです。言い換えれば、いわゆる応益原則に基づいて、負担を給付の関連を明確にしておかなければならないということです。この点は税方式導入を議論する際の最大の論点になると思います。麻生論文はまだ読んでいませんが、そこではこの論点がどのように扱われているかに注目する必要があるでしょう。記事では、反対意見について、保険料の納入者と未納者の不公平性しか指摘されていませんが、実際の論文ではどうなっているのでしょうか。

 税方式の問題のみならず、財源となる消費税自体にも問題はあります。生活との関わりで言えば、所得が低い人ほど負担が重くなる逆進性が重要論点になります。イギリスでのように食料品を非課税にして逆進性を和らげようとせずに、年金のためだからと消費税の増税が受け入れられるでしょうか。財源では消費税よりも所得税と法人税に目を向けるべきです。これまでの年金保険料を廃止するのであれば、その分の増税は認められても良いと思います。

 年金財源の税方式化には私も賛成です。ただ、大枠では賛成なのですが、いくつかの論点を検討しなければならないと考えています。多くの問題点をすべて解消することは難しいでしょうが、十分に配慮して対応できるような制度設計をしなければなりません。麻生論文がこうした作業にどの程度貢献できるのか、大いに期待しています。

【天気】
昼過ぎから雪が降り、5cmくらい積もった。
18時頃に降り止んだ。道はぐちゃぐちゃ。

虚礼廃止

 今日は虚礼廃止です。

【OL生活】バレンタイン 9割「なければいいのに…」

 バレンタイン…。「告白して断られたらどうしよう」と悩む甘酸っぱさ、彼を待つドキドキ感。女子なら誰でも経験がある大イベントですが、大人になると違うようです。9割近くが「なければいいのに」ですって。原因は「義理チョコ」でした。
 「社会人になってからは本当に義理…」「1人1000円回収なんてふざけている」「あげたくない人にはあげないという選択ができない」「虚礼廃止に入れてほしい」と散々。実際に廃止になった職場もあったとのことです。
 さらに、「主人がもらってきたら、お返しは妻のセンスが問われるところ…」と、ホワイトデーへの金銭的&心理的負担もあるようです。
 一方、「仕事の相手先にチョコをもっていくと予想以上に喜ばれる」「お世話になっている人に、この機会にお礼ができる」と有効に使っている女性も。皆さん、今年はどうします?

 ですよねー! 当の女性たちにも支持されてない義理チョコの風習は即刻廃止すべきです! そもそも義理って何だよ! 断固廃止を要求するぅ!

 まぁ、廃止というのは極端だとしても、この風習に参加しない権利を保障してもらいたいと思います。自分の誕生日すら何もしてほしくない私にとっては、せめて一人でいる自由を認めてもらいたいです。

 あと、定期的に神社に参拝に行って、巫女さんをなめるように眺める自由も認めてもらいたいです。僕は怪しいものじゃないよ! ちょっと偏愛なだけだよ!←変態がよく言う言い訳

覚書 080206

「みずほ欧州経済情報」みずほ総合研究所、2008年2月号。
●英国経済
・10〜12月期の実質GDP成長率は減速した。住宅市場が一段と悪化しつつあり、金融機関の融資姿勢厳格化も景気下押し圧力として懸念されるところ。2月MPCでは25bpの利下げが実施され、その後も利下げが続くと予想する。
・英景気の牽引役である個人消費に息切れ感が現れ始めた。12月の小売数量は前月比マイナス0.4%低下し、10〜12月期で前期比プラス0.4%にとどまった。マインドの悪化が消費者の財布の紐を締めているとみられる。
・12月の英インフレ率は前年比プラス2.1%と前月から横ばいとなった。しかし、先行きは再び上昇する公算である。電力・ガス会社が油価高騰を受けて15%の値上げを発表したからである。キングBOE総裁は「今年は(インフレ率が3%を超過した場合に送付する)財務相への書簡を何通か作成しなければならない」水準にインフレ率が上昇するとの見方を示した。
・1月の金融政策委員会(MPC)では8対1で据え置きが決定された。ハト派のブランチフラワー委員のみが25bpの利下げを主張した。
・CDSスプレッドが上昇しているのはバルト3国やブルガリアなど、内需の過熱感、インフレ亢進、名目GDP比10〜20%の経常赤字といった不均衡が目立つ国である。一方、チェコ、スロバキア、ポーランドなど、日系の自動車・電機メーカーを始めとした先進国の製造業が多く進出し、対外競争力を高めている国ではCDSスプレッドの上昇幅は限定的である。(覚書注:EU内では労働者の移動よりも企業の移動が活発であるのではないか。関税などによる貿易障壁が低く輸出入が容易であるため、工場を移転して現地で安い労働力を活用して生産することが可能である。EU市場で労働者が自由に移動するというのは理念・理論上のことであって、実際には企業が移動していると見るべきかもしれない。)

細尾忠生「英国経済の長期拡大の要因について」『政策・経営研究』2008年、vol.1。
・IMFは英国経済の長期拡大が続いている要因を金融システムだとしている。
・貯蓄率が高い経済は、不必要な貯蓄を積み上げてしまうことによって、個人消費の活性化に失敗している国であるという理解が、金融システムと経済パフォーマンスの比較から可能となるのである。(覚書注:同じ枠組みで日本のバブル期を分析すれば、貯蓄率の高さが経済パフォーマンスの源泉となるとの結果が導かれるであろう。逆に、アングロ・サクソン型のほうがパフォーマンスが悪いと結論づけられることになる。貯蓄率という指標にはかなり限界があるのではないか。流動性の高い資産が多くあるなかで、貯蓄だけを取り上げることの意味が薄れつつある。)
・近年では、個人消費の伸び率が高い経済ほど、GDP成長率が高くなる傾向があることから、金融システムの発達を背景に、保有する資産を有効活用することによる個人消費の活性化は、マクロ経済パフォーマンスを決定する重要な要因の1つになっている。(覚書注:英米だけに当てはまることではないだろうか。例えば、政策協調により金利格差を意図的に作り出し、日本から資金を流入させているアメリカと同じような構造を他の国でも形成できるとは思わない。日本の高い貯蓄率、貯蓄余剰が米国の金融システムを支えている。)
・借り入れ手段へのアクセスが向上することによって、所得が一時的に減少する局面でも、負債の利用=貯蓄率の低下によって、消費活動の安定化を達成することが可能になる。
・非アングロサクソン型の金融システムでは、衰退する産業・企業・地域から、成長する産業・企業・地域への資源の再配分による効率化が阻害されるのに対し、アングロサクソン型では、資源の再配分が効率的に行なわれることになる。
・世界最大の年金基金である日本の年金は、諸外国と比べて著しく低い利回りで運用されている。たとえば現状の水準と比べて1%利回りを引き上げることができれば、そのことだけで1兆円の年金給付資金が確保できる。保険料の引き上げが引き下げかといった議論に閉塞しがちであるが、英国や米国のようなアングロサクソン型経済の基準に従えば、運用利回りの引き上げは問題の解決に資することにもなろう。
・こうしたIMFの指摘は、たしかに現状の経済パフォーマンスの相違に対する本質的な問題を提起しているようにみられる。もっともこうした負債の借り入れを容易にする金融環境とは、世界的な投資機会の減少による期待収益率の低下と、貯蓄過剰によってリスクプレミアムや借入コストが低下した状況を前提に成立しうるものである。このため、インフレリスクなどが増大することによって、金利やリスクプレミアムが上昇すれば、アングロサクソン型の国々が享受している安価な資本という利点は消滅し、逆に、負債残高の大きさがマクロ経済パフォーマンスに悪影響を与えることは容易に想像される。近年の経済パフォーマンスの優劣と、経済システムの普遍的な優位性とは区別して認識する必要があると言えよう。
・英国の人口動態をみると、1970年代から80年代の初頭に、人口増加が一時停滞した時期があったものの、1980年代の半ば以降は増加傾向で推移している。注目すべきは人口の増加率であり、21世紀に入り増加テンポが加速している。
・ロンドンを象徴する金融については、寄与率でみるとさほど高いわけではない。専門サービス業の拡大は金融業の発展が土台になっていると考えられるものの、英国サービス業の現状について金融と不動産が牽引役になっていることが指摘されることが多いことから、こうした英国サービス業の発展パターンは意外な結果を示している。(覚書注:専門サービス業とは何か。金融業や不動産業と同様の業種も含まれているのではないだろうか。一般に指摘されている、金融が英国経済を牽引している、という場合の金融には、ここで言う金融業以外も含まれているのではなかろうか。)
・英国の長期拡大の要因について、理論的なアプローチで主流となっているのが、インフレーション・ターゲッティングの効果についての分析である。インフレーション・ターゲッティングに関する研究は、近年の英米のマクロ経済学界における中心的なテーマであり、理論実験として研究興味をひいているという事情がある。また、そこからえられる研究成果は、米連邦準備制度理事会(FRB)やイングランド銀行(BOE)の金融政策運営に、理念的にはもちろん、技術的にも多くの成果が反映されている。このため、インフレ期待の安定を最重要視する政策運営が行なわれている。
・覚書注:やや全体の輪郭がぼやけている論考である。論ずべき論点がはっきりしておらず、それでいていろいろな角度からいろいろなことを論じている。IMF報告書の批判から論を始め、その根拠としてインフレ政策や供給サイドの分析に移る論立てが良いように思われる。
・IMF [2006] World Economic Outlook, Chapter 4, How Do Financial Systemus Affect Economic Cycles?

中国人による靖国暴行事件

 今日は中国人による靖国暴行事件です。

中国人逮捕「靖国暴行」の被害者は「元憲兵」

 果たしてどれだけの人がこの事件をご存知だろうか。テレビでは一切扱われず、新聞も産経だけが1月17日の社会面に小さく報じた靖国神社での暴行事件。中国人の男が日本人参拝客の”日の丸”を奪った上、暴行を加えるなどの狼藉を働き、警視庁に逮捕されたのだが、それ以外は謎ばかりが残る不可解な事件だった。

 実は、その被害者は旧日本軍の憲兵だったのである。「戦後、私はどうにか帰国できましたが、それまでに多くの同胞をこの手で埋葬してきた。彼らを慰霊するため20年以上前から、毎月15日に靖国神社へ参拝しています」そう語るのは横浜市に住む開(ひらき)勇さん(82)。旧陸軍の憲兵兵長を務めた人物だ。

 朝鮮半島の清津で終戦を迎えた開さんはシベリアで抑留された経験もある。事件のあった1月15日も開さんは旧陸軍の軍服を纏い、国旗を肩に担いで参道を進んでいた。

 「大村益次郎像を過ぎた辺りで、背後からいきなり日の丸を引っ張られ、棹ごと奪い取られた。危うく倒れそうになりましたよ」(同)。開さんは慌てて振り返ると境内内に響き渡るほどの大声で喚き立てる体格の良い中年の男の姿があった。

 「言葉の意味が理解できなかったので外国人だと分かった。男は日の丸を何度も踏みつけて、棹を足でへし折りました。私の連れの男性が止めに入ると棹の切断面を私たちに向け、竹槍のように構えて威嚇してきた」(同)。

 連れの男性は、男から殴る蹴るなどの暴行を受けて右手を負傷した。男は終始、叫び声を上げ、半狂乱のような状態だったという。

 「揉み合いは10分以上続き、騒ぎに気付いた人の通報で十数人の警官が駆けつけました。すると男は地べたに胡坐をかき、一言も発しなくなった。少し離れた場所にいた男の仲間らしき5人の男女もも押し黙っていました」(同)。

 警視庁はこの男、中国籍の王班亜(43)を暴行等の現行犯で逮捕。王は商用で来日した会社員とみられ、政治的な背景はないようだ。

 「参拝する私の格好を見て”軍国主義者!”などという人は過去にもいました。様々な考え方があるのは理解できますし、それは構いません。ただこんな暴行を受けたことは一度もない。事件が報じられない理由がわかりませんが・・・」(同)今後も参拝を続けるという開さんには”外圧”に屈する考えなど毛頭ない。

(週刊新潮 2月7日号 P.39)

 マスコミが報道しない事件です。中国人がどのような思想の元で暴行したのかはわかりませんが、被害者が着ていた軍服に何かを感じたのでしょう。記事にもあるように、どのような思想を持とうともかまいませんが、自分が受け入れられない思想を暴力によって抑えようとするこの中国人には賛同できません。

 おそらくは暴行した中国人は靖国神社の立場に与しないのでしょう。それも1つの立場です。が、でしたら、なぜ靖国神社に参拝に来たのでしょう。いきなり暴行する行為も理解できませんが、わざわざ気に入らない靖国神社を訪れたことも理解できません。

 もっとも、8月15日に靖国神社で軍服を着た日本人を暴行したからといって、この中国人が確固たる思想を持って犯行に及んだとは言えないかもしれません。単なる暴行事件として位置づけることもできます。しかしながら、暴行は国旗にも及んでいます。現在の日本の法律では、国旗を傷つけたところで器物損壊罪くらいにしかなりませんが、決して看過すべき問題ではないと思います。

 ここ数日来、雪山で遭難したスノーボーダーが毒入り冷凍餃子と並んでニュースのトップになっています。遭難事故も深刻かつ重要ですが、靖国暴行事件はそれと同じくらい、あるいは、それ以上に取り上げて議論するべき問題だと思います。

覚書 080204

猿渡英明「欧州経済概観」新光総合研究所『SRI 欧州経済ウォッチ<ユーロ圏・英国>』No.08-02、2008年1月30日。
・BOEは景気減速懸念を鮮明にしていることから、2月の金融政策委員会で追加利下げに踏み切る公算が大きい。
・英国景気は、これまで個人消費や固定投資といった内需を軸に堅調な回復を続けてきたものの、1. BOEが2006年8月から利上げを継続してきたこと、2. 米サブプライム問題を背景とした金融市場の混乱が続いていること、などにより、鈍化傾向に転じつつある。新興諸国などの海外需要には期待しづらいことに加え、英国経済は消費のウェートが高いため、消費が鈍化すれば、企業の投資活動にも影響が出やすい。このため、2008年半ばにかけては、内需を中心とした緩やかな減速局面が続くことになろう。もっとも、英国は製造業部門のウェートが低いため、景気循環が大きく波を打つことはまれであり、景気が大きく減速するとはみていない。サブプライム問題の動向にもよるが、景気は2008年末から2009年に向けて再び持ち直しの動きに転じよう。
・BOE金融政策決定会合(1/9〜10) 景気の下方リスクは増し、インフレリスクも高まっている。信用の厳格化が景気減速を強める可能性がある。公益料金の引き上げにより、CPIは短期的に上昇する。短期的な物価上昇が期待インフレや賃金の上昇に波及するリスクがある。

中沢剛「外債投資ウィークリー」三菱UFJ証券、No.118、2008年2月1日。
●英国:景気減速で計75bpの追加利下げ実施へ
・物価は、12月の消費者物価が3ヶ月連続の前年比プラス2.1%となり、政府目標のプラス2.0%をやや上回っている。コア(エネルギー・食品・酒・煙草除く)は同1.4%と低いが、食品とエネルギー価格の上昇が物価を押し上げている。1月はガスや電気料金の値上げ発表が相次いでおり、同プラス2.6%程度に跳ね上がる見込み。さらに、公務員が高率賃上げを求めてストを実施するなど、賃金上昇圧力も出てきている。
・景気の減速によって、財政赤字が再び拡大している。2007年の公共部門純借入額(PSNB)はGDPの約3%となり、2008年の財政赤字はEUの許容上限(3.0%)を突破する見込み。法人税収入が前年比マイナスに落ちており、今後は金融機関からの法人税収減が大きく響こう。歳出面でも、医療や教育、住宅など重点分野での歳出拡大が続いている。予算発表を3月か4月に控え、財政政策は手詰まり感が強い。減税など景気対策発動が困難な一方、財政赤字削減の余地も小さい。財政研究会(IFS)は財政赤字のための増税を提唱した。
・10月の「プレ・バジェット」で発表されたキャピタルゲイン減税の見直しは、PEファンドの低税率是正などの目的ががったが、中小企業主が引退・事業譲渡する際の大幅増税ともなり、企業意欲を削ぐとして、産業界の猛反発を食らった。1月25日にダーリング財務相は、小企業について税率を一部減免する妥協措置を発表したが、産業界の不満は根強い。今回の件で「ビジネスが分からないブラウン首相」のイメージが定着する一方、野党保守党は相続税減税など産業界に配慮した政策を打ち出し、人気を高めている。ノーザンロック処理の不手際に対する批判もあり、春の解散・総選挙はほぼ消えた。
・財政研究会(IFS):民間のシンクタンク。毎年の予算発表前に提言書を公表する慣例で、それなりの重みをもって受け止められている。
・大方は、2月のインフレーション・レポートで経済見通しを再確認するのが適当との見解だった。景気の下振れが中期的な物価下振れリスクにつながるとの認識も一方で示されており、2月の利上げはほぼ確実であろう。
・ただ、物価上振れリスクに対する警戒は依然として強い。これは、22日の米国緊急利下げ直後のキング総裁講演でも再確認された(キング総裁によれば、目下の金融市場混乱は不均衡の是正過程である。英国の場合、巨額の経常収支赤字が問題だが、その削減にはポンド安が有効。しかし、これが輸入物価の上昇にもつながる点が、大きなジレンマであるという。)。2月7日のMPC会合は、一部が50bpの利下げを主張しそうだが、最後は25bpで決着しよう。

『100%ぶっちぎり体脂肪!』

 今日は腹肉ツヤ子『100%ぶっちぎり体脂肪!』(2006年、角川書店)を読みました。

 こういう生き物、嫌いじゃないぜ! 檻の外から眺めているぶんにはね!

 でも、グーグルさんで画像検索してみてると、見た目は意外に普通の動物でした。がっくし。

 ヤツメウナギみたいな風貌を想像していたのにナ!

所要時間 206:0757→0802→0807→0828 20min

『医療崩壊』

 今日は小松秀樹『医療崩壊 「立ち去り型サボタージュ」とは何か』(2006年、朝日新聞社)を読みました。

 医療崩壊という言葉から連想することは人によって大きく2つに分けられると思います。1つは、医療機関における治療ミスや誤診が相次いでおり、また、医療費負担が上昇しているために、国民が適正な医療を受けられなくなってしまう、というものです。おそらくはこちらのほうが一般的な連想だと思います。

 そうした側面は確かにあると認めつつも、しかし、私はもう1つの医療崩壊を心配しています。つまり、患者からの理不尽な要求や訴訟に耐えられなくなった医療機関が医療サービスから撤退していっているという医療崩壊です。医療問題としてはこちらのほうが遥かに重大であると考えています。

 本書は後者の観点から医療崩壊を論じたものです。念頭に置かれている問題意識は、医療行為によって患者が死亡してしまったような場合に、マスコミや遺族が短絡的に医師を犯罪者だと決めつける昨今の在り方には問題がある、という点です。悪意と憎悪をもって医師と対峙する姿勢が生み出す危険性を議論しようとしています。

 医師側の責任を全く否定しているのではありません。医師を犯罪予備軍のように扱うことで、患者と医師との対立が増幅されてしまうことを危惧しているのです。両者の間の信頼関係も崩れ、医師はどのような治療行為であろうとも控えるようになっています。このままでは日本の医療は崩壊してしまうと懸念しています。

 非常に共感できる問題意識です。現状の問題点は、患者の医療に対する期待が過大であることです。医療にはすべてのことが可能であり、どのような生命も救えると思うようになっています。ですから、患者が死亡すると、それはおかしいと考え、医療過誤を疑い、医師を犯罪者扱いするのです。

 医療を受けた結果が期待通りでない場合、患者や遺族は悲しみを医療に対する恨みへと転換させます。とくに小児科や産科では患者からの攻撃が激しくなります。裏返せば、こうした医療分野では医師が逃げ出してしまい、必要な医療を確保できなくなる事態になっています。これが副題にある「立ち去り型サボタージュ」という状態です。

 患者と医師との関係が崩壊する背景には、無責任に患者を煽動するマスコミの姿があるのですが、その一方で、医療コストの問題があります。日本では医療に投入されるお金が少なすぎるのです。2003年のOECD報告書によれば、日本の医療費はGDPの7.6%です。先進7カ国の中ではイギリスに次いで低い水準です。

 イギリスでは80年代以降、医療費を抑制してきました。そのおかげで、医療費は国際的に低くなっていますが、医療の質も劇的に低下しました。十分なお金がないので、医療機関が立ち行かなくなっています。その結果、医療を受けられる機会が減少し、重篤な病気であっても手術には半年くらいの待機期間が必要です。そのイギリスと日本は程度なのです。

 医療費の少なさは医療の質に反映されます。どのようなサービスであれ、少ない費用に見合うサービスしか受けられないのが通常です。医療サービスも同様です。気合いや根性で何とかなるわけではありません。質の高い医療を希望するのであれば、もっと多くの医療費負担を覚悟しなければなりません。

 少ない医療費の配分にも問題があります。2001年や2002年のOECD調査によれば、日本では入院診療に費用がかけられていません。医療費に占める外来診療費の割合は世界でも上位に位置しますが、入院診療費は最下位です。全体として少ないなかで、さらに少ないお金しか入院診療には投入されていません。

 入院診療の費用が少ないために、入院施設には少ない医療従事者しか配置できません。1人の看護師が何十人もの入院患者を同時にケアしなければなりません。こうした状況で、たとえ患者の容態の変化に気付かず、その患者が死亡してしまったとしても、看護師ばかりを責められません。個人の資質の問題ではないからです。無理なものは無理です。

 入院患者に24時間張り付いてケアする体制を組むことはできます。が、相応の医療費負担の増額が必要となります。それを受け入れなければなりません。負担の追加が嫌であれば、現時点での医療体制を容認しなければなりません。もし医療過誤が起きたとしても、現体制の受忍範囲と見なすべきです。

 病院は診療報酬を受け取っていますが、その対価で完璧なサービスを提供できるわけではありません。病院が関わったからと言って、あらゆることの責任を病院に負わせることはできません。サービスには費用がかかるのです。日本は医療費低負担の国であるのですから、医療も低サービスで甘んじるべきではないでしょうか。

単語帳 2008年1月分

モルモン教
 聖書は不完全である。モルモン書は絶対である。預言者はさらに絶対である。三位一体を否定する。カソリックやプロテスタントからは異端扱いされている。

利益
 粗利(粗利益)=売上総利益=売上高−売上原価
 営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費
 経常利益=営業利益+営業外収益(利息支払いなど)−営業外費用(利息受け取りなど)
 純利益=経常利益+特別利益−特別損失
*純利益=売上高−売上原価−販売費及び一般管理費+営業外収益−営業外費用+特別利益−特別損失

小倉山荘
 1日と15日に「われせん」を販売しているらしい。250gで300円。

GODIVA
 名前の由来は、11世紀の英国の伯爵夫人レディ・ゴディバである。領主である夫が領民に重税を課していることに抗議して、素っ裸で馬に乗って街に繰り出した。彼女の勇気ある行動に敬意を表し、その名前を冠してチョコレートを作っている。シンボルマークの馬に裸で乗っている女性はゴディバである。何もかもがしっくりこない。なお、Godivaは英語読みではゴダイバ。彼女が実在したという確かな証拠はない。

do.
 カルテ用語。ラテン語のdittoの略字。ラテン語の略字は頭と尻だけにする。読み方は「ditou」。iにアクセント。ディトウ。意味は「上に同じ」。

フェデラルファンド金利
 フェデラルファンドとは民間銀行が連邦準備銀行に預けている無利息の準備預金のことである。預金金額に余裕のある銀行が資金を無担保・翌日返済で他の金融機関に融資する際の金利がフェデラルファンド金利。短期市場金利。日本の無担保コール翌日物に相当する。

公定歩合
 中央銀行が一般の銀行に融資する場合に適用される金利。従来、金融政策では公定歩合を操作することが主たる政策手段であった。しかし、現在では短期金融市場であるコール市場が発達したことを受けて、無担保コール翌日物が金融政策の対象となっている。

プラズマディスプレイ
 放電による発光を利用したディスプレイ。液晶ディスプレイに比べて、立体感のある映像を表示できるところが特徴か。

宿六
 宿のろくでなし。宿は妻が他人に対して夫を呼ぶ呼称である。ろくでなしは役立たずの意味である。うちの役立たず。罵りつつも親しみがある呼び方らしい。いったいどんなプレイだよ。

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benyamin ♂

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