覚書 080204

猿渡英明「欧州経済概観」新光総合研究所『SRI 欧州経済ウォッチ<ユーロ圏・英国>』No.08-02、2008年1月30日。
・BOEは景気減速懸念を鮮明にしていることから、2月の金融政策委員会で追加利下げに踏み切る公算が大きい。
・英国景気は、これまで個人消費や固定投資といった内需を軸に堅調な回復を続けてきたものの、1. BOEが2006年8月から利上げを継続してきたこと、2. 米サブプライム問題を背景とした金融市場の混乱が続いていること、などにより、鈍化傾向に転じつつある。新興諸国などの海外需要には期待しづらいことに加え、英国経済は消費のウェートが高いため、消費が鈍化すれば、企業の投資活動にも影響が出やすい。このため、2008年半ばにかけては、内需を中心とした緩やかな減速局面が続くことになろう。もっとも、英国は製造業部門のウェートが低いため、景気循環が大きく波を打つことはまれであり、景気が大きく減速するとはみていない。サブプライム問題の動向にもよるが、景気は2008年末から2009年に向けて再び持ち直しの動きに転じよう。
・BOE金融政策決定会合(1/9〜10) 景気の下方リスクは増し、インフレリスクも高まっている。信用の厳格化が景気減速を強める可能性がある。公益料金の引き上げにより、CPIは短期的に上昇する。短期的な物価上昇が期待インフレや賃金の上昇に波及するリスクがある。

中沢剛「外債投資ウィークリー」三菱UFJ証券、No.118、2008年2月1日。
●英国:景気減速で計75bpの追加利下げ実施へ
・物価は、12月の消費者物価が3ヶ月連続の前年比プラス2.1%となり、政府目標のプラス2.0%をやや上回っている。コア(エネルギー・食品・酒・煙草除く)は同1.4%と低いが、食品とエネルギー価格の上昇が物価を押し上げている。1月はガスや電気料金の値上げ発表が相次いでおり、同プラス2.6%程度に跳ね上がる見込み。さらに、公務員が高率賃上げを求めてストを実施するなど、賃金上昇圧力も出てきている。
・景気の減速によって、財政赤字が再び拡大している。2007年の公共部門純借入額(PSNB)はGDPの約3%となり、2008年の財政赤字はEUの許容上限(3.0%)を突破する見込み。法人税収入が前年比マイナスに落ちており、今後は金融機関からの法人税収減が大きく響こう。歳出面でも、医療や教育、住宅など重点分野での歳出拡大が続いている。予算発表を3月か4月に控え、財政政策は手詰まり感が強い。減税など景気対策発動が困難な一方、財政赤字削減の余地も小さい。財政研究会(IFS)は財政赤字のための増税を提唱した。
・10月の「プレ・バジェット」で発表されたキャピタルゲイン減税の見直しは、PEファンドの低税率是正などの目的ががったが、中小企業主が引退・事業譲渡する際の大幅増税ともなり、企業意欲を削ぐとして、産業界の猛反発を食らった。1月25日にダーリング財務相は、小企業について税率を一部減免する妥協措置を発表したが、産業界の不満は根強い。今回の件で「ビジネスが分からないブラウン首相」のイメージが定着する一方、野党保守党は相続税減税など産業界に配慮した政策を打ち出し、人気を高めている。ノーザンロック処理の不手際に対する批判もあり、春の解散・総選挙はほぼ消えた。
・財政研究会(IFS):民間のシンクタンク。毎年の予算発表前に提言書を公表する慣例で、それなりの重みをもって受け止められている。
・大方は、2月のインフレーション・レポートで経済見通しを再確認するのが適当との見解だった。景気の下振れが中期的な物価下振れリスクにつながるとの認識も一方で示されており、2月の利上げはほぼ確実であろう。
・ただ、物価上振れリスクに対する警戒は依然として強い。これは、22日の米国緊急利下げ直後のキング総裁講演でも再確認された(キング総裁によれば、目下の金融市場混乱は不均衡の是正過程である。英国の場合、巨額の経常収支赤字が問題だが、その削減にはポンド安が有効。しかし、これが輸入物価の上昇にもつながる点が、大きなジレンマであるという。)。2月7日のMPC会合は、一部が50bpの利下げを主張しそうだが、最後は25bpで決着しよう。

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