覚書 080223

橋本択摩「Euro Weekly」第一生命経済研究所『定例経済指標レポート』2008年2月13日。
・BOEは2月6−7日に開かれた金融政策委員会(MPC)で、政策金利を0.25%ポイント引き下げ、5.25%とすることを決定した。1月の生産者物価(出荷価格)は前年比プラス5.7%と1991年7月以来の高水準となり、同じく1月の消費者物価は同プラス2.2%とインフレ目標(プラス2%)との乖離も広がりつつある。このような根強いインフレ懸念がある以上、BOEは大幅な追加利下げを行なうことに対しては慎重になるとみられる。
・利下げは昨年12月に続く2度目の利下げである。声明文では、金融市場の混乱が続き、世界経済の見通しが悪化していることから、個人消費が鈍化している点を決定の背景に挙げている。インフレについては、エネルギー価格と食料品価格の急騰、およびポンド安が今後数ヶ月インフレ率を押し上げるが、需要の鈍化がインフレ圧力を和らげ、中期的にはインフレターゲット(プラス2%)に戻るとしている。この点は昨年11月のインフレーション・レポートに述べたとおりである。

大政美樹「主要国の金融政策動向」国際金融情報センター、2008年1月9日。
・英国:5.50%
・12月6日は0.25pp引き下げ5.5%へ。利下げは2005年8月以来。景気減速の兆候、および家計・企業への信用供給の引き締まりに配慮した。インフレ率はエネルギー・食料品の値上がりから短期的には目標を上回るが、景気減退を受けて中期的には抑制。2006年8月からの引き締め局面入りし5回にわたり計1.25%引き上げ、2007年8月以降は4回連続で据え置いていた。

大政美樹「主要国の政治動向」国際金融情報センター、2008年1月9日。
・2008年1月24日、労働・年金相が不正献金疑惑で辞任。小幅内閣改革。

城野敬子「2008年も収まる気配のないイギリスの物価高」日立総研『欧州レポート』2008年2月13日。
・国家統計局(Office of National Statistics)の発表では2007年の消費者物価指数上昇率は2.3%ということだが、生活実感としてのインフレ率は政府公表の数字よりも高いと言われている。2007年11月に発表された、イギリス中央銀行の「インフレ態度調査(Iflation Attitudes Survey)」でも、イギリス人2,054人に過去12ヶ月の店頭での値上がり方を尋ねたところ、回答の中央値が3.2%である。2%以上3%未満と回答した人が20%であったが、5%以上との回答も20%を占めた。テレグラフ紙の報道では、ミドルクラスの生活コストの上がり方がとりわけ激しく、6.8%もの上昇であると言う。
・公表数値は生活実感よりも低すぎるとの苦情が少なくないのか、国家統計局は、「個人用インフレ計算機(Personal Inflation Calculator)」なるものをホームページ上で提供している。これは、個人の消費パターンに基づいてインフレ率を計算できるツールだそうで、インフレが自分の生活にどう影響するのかについて理解を深め、インフレの計測についての議論を深めることを目的にしていると言う。個人的には、このツールが個人の生活に役立つともあまり思えないのだが、急激な物価上昇に直面し、公表数値は実態を表していないと不満を感じる国民に対して、何とか説明責任を果たそうとする政府の苦肉の策なのだろう。
・イギリス中央銀行総裁のキング(King)氏も、2008年1月23日に行なったスピーチの中で「エネルギー価格の高騰、食品価格の高騰、ポンド安による輸入価格の上昇により、2008年のインフレ率は2%を超える。私が財務相に説明のための公開書面を書かなければならない(すなわち、インフレ率が3%を超える)ことも一度ならずあるだろう」と発言した。景気減速の中で続く物価上昇に、「スタグフレーション」や「スローフレーション(Slowflation)」などの言葉も飛び交っており、2008年はイギリス中央銀行にとっても国民にとっても悩ましい1年になりそうである。
・インフレ態度調査:Inflation Attitudes Survey
・個人用インフレ計算機:Personal Inflation Calculator
・インディペンデント記事:slowflation

中沢剛「物価安定重視を再確認した英国&スウェーデン中銀」三菱UFJ証券『外債投資ウィークリー』2008年2月15日。
・2月14日に公表された季刊「インフレーション・レポート」では、新興国景気の堅調と、最近のポンド相場急落の影響から、(これまでマイナス寄与であった)純輸出は今後数年間プラス寄与に転じるとの見通しである。さらに、2009年には金融市場の落ち着き、利下げやポンド高の効果から、景気は回復すると引き続き予想した。景気減速は従来の予測よりも「やや深く、一層長引く」とする一方、キング総裁は会見で「ロンドンの金融街を一歩離れて地方を訪ねれば、雰囲気が全く異なるのに気付く」と強調し、ミクロ的な産業の活力に改めて注意を喚起した。
・キング総裁は、景気リスクと物価リスクとの「困難なバランス化(difficult balancing act)」に直面しているとした上で、「BOEの目標は物価の安定(中期的なインフレ・ターゲットの)目標達成だ」と幾度も念押した。英国の金融政策は、90年代初めまでは財務相(正式には議会)の管轄にあり、政治の影響が極めて強かった。その後は徐々にBOEに権限が移管され、1997年に「機能的独立(インフレ目標のみ政府が決定)」を達成したが、その後も暫くは、MPC(金融政策委員会)内で景気重視派(いわゆるactivist)が幅を利かせ、ハト派も多かった。しかし、ここ数年で物価やマネーを重視する傾向が一段と強まっており、最近では時にECBより頑固な印象すら受ける。「過去の経験則」によるBOEの大幅利上げ観測は、この点で疑問がある。

中沢剛「長期金利は上昇:インフレ問題を再確認」三菱UFJ証券『外債投資ウィークリー』2008年2月15日。
・英国長期金利は上昇基調を辿った。週初の4.4%台前半から、14日は一時4.662%に。米国の積極的な景気刺激策や、モノライン対策の進展から、米価の底入れ感が広がるとともに、インフレ懸念も出て、米・欧で(欧州はベア)スティープ化傾向が続く。

「西欧経済の見通し」三菱東京UFJ銀行、2008年2月20日。
・英国の2007年第4四半期の実質GDP成長率は前年比2.9%と、第3四半期の同3.3%より低下したものの、底堅さを示した。
・12月の鉱工業生産は、前年比プラス0.7%と3ヶ月連続で前年水準を上回った。財別にみると、中間財、資本財が生産全体の伸びを押し上げた。また、個人部門についてみると、景気の遅行指標である失業率は、12月時点で2.5%と低水準にあり、雇用情勢は良好である。しかし、小売売上数量は、12月に前年比プラス2.7%と前月のプラス4.2%から大きく低下した。
・消費者物価上昇率は、10月から12月まで3ヶ月連続で前年比2.1%であったが、1月には同2.2%へ上昇した。ガソリン価格を含む個人輸送機械関連費用や食品価格は引き続き上昇し、物価全体を押し上げた。また、1月より電気・ガスの料金が引き上げられた結果、これまでの物価の安定に寄与してきた電気料金やガス料金のマイナス幅が縮小に転じている。
・こうしたなか、2月7日の金融政策委員会(MPC)では、昨年12月に続き、25bpの利下げが決定された。足元の景気鈍化を配慮したものである。

松浦年洋「英国の事例に学ぶ、官民のパートナーシップを確立するための教訓」『Publiciva』2008年2月19日。
・官民のパートナーシップを確立するための重要なポイントについて、英国最大のシンクタンクであるIPPR(Institute for Public Policy Researc)のリサーチディレクター(当時)のガビン・ケリー氏が大変簡潔にまとめている。
・ケリー氏は自治体サイドにおける課題として次の8つのポイントを挙げています。1. 調達に関する専門的な知識の向上や共有がなされていない。2. 調達担当者の立場が比較的低い。3. 近隣の自治体との情報交換の機会が少ない。4. サービスの品質に重点を置いた契約書が作成されていない。5. 期待されるサービスの成果が重視されていない。6. 市場形成のスキルが未成熟。7. 利潤分配条項が明記されていない。8. 契約の締結までに長期間を要する。

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benyamin ♂

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