覚書 080924

猿渡英明「景気後退懸念強まる英国経済(特集:英国経済の現在2)」新光総合研究所『SRI 欧州経済ウォッチ<ユーロ圏・英国> 欧州経済概観(08/9)』No.08-21、2008年9月19日。
・英国の2008年4-6月実質GDPは前期比プラス0.0%となり、景気後退局面入りが懸念されている。米サブプライム問題を背景とした金融機関の損失が拡大しているほか、自国内の不動産市況の調整も著しい。また、消費など国内景気の減速から、雇用情勢も悪化しており、それがさらに金融機関の体力を奪っている。金融部門の不安定化と景気減速が悪循環に陥っている状況は、米国とほぼ同じである。このため、英国経済は2008年後半を中心に、ほぼリセッションに近い状況が続くであろう。回復の鍵は、米国サイドの回復は言うまでもなく、やはり国内の住宅価格が下げ止まることが重要であろう。そのためには、減税などの財政政策に加え、一層の金融緩和が求められる。また、公的資金の投入などにより金融機関を救済、かつ再編を促すことも望まれる。
・英国経済への懸念が高まっている。企業部門、家計部門ともに経済活動が鈍ってきており、特に、金融部門は米サブプライム問題を背景とした損失に加え、国内景気減速による損失も被りつつある。2008年後半を中心に、英国景気はほぼリッセッションに近い状態に追い込まれよう。
・金融機関の損失拡大は自己資本の目減りを通して、信用収縮を引き起こす。また、証券化市場の機能不全や銀行間マーケットの逼迫は、信用供与の源資となる資金の調達コストを押し上げている。この結果、モーゲージ貸出は急速に減速しており、住宅市場の調整が加速している。また、信用収縮は景気減速とともに雇用情勢の悪化につながり、それがさらに金融機関の体力を奪っていくという悪循環も想定される。

伊藤さゆり「欧州経済見通し ユーロ圏は停滞、イギリスもマイナス成長に」ニッセイ基礎研究所『Weeklyエコノミスト・レター』2008年9月19日。
・4〜6月期のイギリス経済はゼロ成長まで減速した。最大の需要押し下げ要因となったのは、近年の成長を牽引してきた固定資本形成が2期連続でマイナス、しかも4〜6月期は前期比マイナス5.3%と大きく落ち込んだことにある。
・最大の需要項目である個人消費も前期比マイナス0.1%に失速、外需の寄与は前期に続いてプラスとなったが、内需の減速やポンド安で、輸入の減少幅が輸出を上回ったことによる。景気は全般に後退色を強めていると言えよう。
・イギリス経済の失速の原因は、昨年夏からの金融混乱をきっかけに住宅市場の調整が深まっていることにある。ハリファックス、ネーションワイドの主要住宅価格指数の下落幅は、前年比で10%を超えるようになった。住宅ローンの承認数は、足もとでは前年比5割超減少、特に新規借り入れが大幅に減少している。サブプライム問題の直接的、間接的な影響で、収益が大きく悪化している金融機関のリスク許容度が低下したことが住宅市場の調整と深くかかわっていることがわかる。
・金融市場は正常化とは程遠い状況にあり、住宅市場の底も見えていない。商業不動産市場でも供給過剰に陥っていることから、建設投資の手控えは続く見込みである。設備投資意欲も昨年後半以降、減速しており、投資の伸びが盛り上がりを欠く状況は続くであろう。
・ただし、イギリスの住宅ブームは、土地面積や建築規制によって供給が制約されたことから、住宅投資の調整の余地は米国に比べて小さい。また、設備投資についても稼働率の絶対水準から考えて過剰感は大きくはないことから、調整が長期化するリスクは低いと考えられよう。
・ブラウン政権は、今年5月に発表した低所得者向けの27億ポンド(GDP比0.2%相当)の減税に続き、9月に印紙税減税や住宅取得支援を柱とする住宅市場対策を打ち出しており、財政面から景気の下支えに動く姿勢を強めている。
・CPIはエネルギーと輸入価格の上昇で大きく押し上げられており、8月は、BOEのインフレ目標2%に対して4.7%まで高進している。
・BOEが、「景気の下振れリスクは明らかに増大している(9月MPC議事録)」にも関わらず5ヶ月にわたって政策金利を据え置いてきたのは、インフレ高進が続く中での利下げは、「MPCはインフレ目標の達成よりも成長の持続に重点を置いているという誤ったメッセージを送ることになる(同上)」という判断が大勢を占めていることによる。

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