覚書 081021

工藤有理「BCP最前線 最終回 欧米のBCP策定状況と、国際規格化によるわが国への示唆」『日経研月報』2008年10月。
・米国とともにBCPの先進国といわれる英国では、かつて過激派のアイルランド共和軍(IRA)によるテロ事件や水害などに悩まされた企業等が自衛のためにBCPを積極的に導入してきました。そのため英国においては、情報セキュリティマネジメントへの対応と並び、より包括的なBCMの対応レベルが取引先の選定時に重要視されています。英国ではBCI(Business Continuity Institute)という機関が中心となって、BCPの普及を進めており、DRP策定企業は69%、BCP策定企業は85%となっています。

中村実「ワーキングプアを支援する社会保障制度改革」『知的財産創造』2008年8月号。
・日本でも、年収200万円以下のワーキングプアは1000万人(民間企業の被雇用者の2割)を上回り(2006年)、生活保護受給世帯も100万を超えた。ワーキングプアの増加に伴い、社会保険料の未納率が上昇している。これは、将来年金を受けられない人、医療を受けられない人の増加にほかならない。具体策として、「負の所得税」に基づく米国のEIC(勤労所得税額控除制度)および基礎年金の財源に消費税を充てることを検討すべきである。それにより、保険料の徴収なしに、すべての国民の老後の最低所得保障が可能となる。
・覚書注:一般の論調にも見られる欠陥であるが、ワーキングプアとは何かが曖昧なまま議論が展開されている。文中で、年収200万円以下がワーキングプアである、とされているが、そこでは単に年収しか見ておらず、年齢や性別、既婚未婚の区別もない。その一方で、若者が貧困層だとしている。ワーキングプアと貧困層はどの程度重なる概念なのか。また、格差が拡大していると言っているが、実証的に何も提示されていない。こうした漠然とした論述を土台にして、社会保険料の未納率が増大しているという論展開になっており、何が論拠かよくわからない叙述である。とどのつまり、税財源で社会保障を充実させよ、という主張なのだろうが、ワーキングプアや貧困といった余計な論点を詰め込みすぎて、要点がつかみにくい。要点に到達する前の段階で論理に穴が多い論文であり、無駄な批判を受けることは間違いない。

岩切大地「イギリス議会下院の現状について」衆議院調査局『主要各国議会の現状』別冊論究NO.10、2008年9月。
・下院で多数を得た政党は、政府を構成する際、10数名の閣内大臣の他、副大臣や政務官など合計約100名を政府の構成員として送り出すことになり、この点で政府と与党執行権との同一性が維持されることになる。さらに、議会で多数を占める自党議員を取りまとめる与党の「院内幹事(whips)」も政府の一員として、下院の議事日程や党議拘束の有無を決定することになる。このようにして、イギリス議会下院では強い政府=強い与党による安定的な政権(あるいはいわゆる「選挙による独裁」)が実現されることになる。
・上院は選挙による基盤を持たないため、民主的基盤を有する下院の意向が基本的に尊重され、いわゆる「ねじれ」は存在しない。このことは、法的にも憲法習律的にも確認されている。
・覚書注:英国では庶民院を下院と示すことは例外的である。庶民院(House of Commons)を用いるべきだろう。日本の衆議院を下院とは呼称しない。ちなみに、貴族院(House of Loads)を上院と言うことも稀である。

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benyamin ♂

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