覚書 081116

持丸伸吾・小池純司「成長する英国のパブリックサポートサービス 絶えざる仕組み改革によるサービス水準向上と市場創出の実現」『知的資産創造』2008年9月号。
・日本でも広く紹介されているPFI(Private Finance Initiative:民間資金・ノウハウによる公共施設などの建設・運営)については、今後大きく成長することはないとの見方が多い。著者らがインタビューした財務省では、PFIにはメリットはあるものの、契約などにかかるコストが大きく、事業の内容によってはPFI以外の手法を活用する例が増えるであろうことが指摘された。
・そうしたことから、契約等にかかるこのようなコストなど、自治体がサービス改善を進める上で障害となる事項を改善することも盛り込んだ「将来のための学校建設プログラム(Building schools for the future)」をはじめ、新たなパートナーシップの仕組みが作られている。

村瀬徹「歩いて楽しむイギリスの公園」『自治体国際化フォーラム』2008年8月号。
・イギリスには、日本で言う国立公園に当たるナショナルパーク、王室の私有地であり国(王立公園庁)が管理するロイヤルパーク、そのほか、県や市が管理する公園やオープンスペースがあり、通常一般市民が誰でも利用できます。国の場合、予算はレクリエーション、スポーツという項目から支出されます。ナショナルパークはロンドンにはありませんが、ロイヤルパークは皆ロンドンにあります。

猿渡英明「BOE異例の大幅利下げに踏み切る 2008年11月BOE(イングランド銀行)金融政策委員会会合の概要と評価」新光総合研究所『欧州経済ウォッチ』No.08-24、2008年11月7日。
・BOE(イングランド銀行)は11月6日のMPC(金融政策委員会)会合において、異例の1.5%の大幅利上げに踏み切った。金利水準としても1955年以来、約半世紀ぶりの3.00%となる。BOEは金融市場の混乱による流動性の逼迫や信用収縮に対して強い警戒を示しており、景気が急速に悪化している現状に対して、大幅な利下げが必要と判断した。一方で、9月のCPI(消費者物価)は前年比プラス5.2%とターゲットを大きく上回って推移しているものの、商品市況の調整や景気減速により、中期的には2%を下回るリスクがあるとして、インフレに対するリスクバランスを上方(アップサイド)から下方(ダウンサイド)へと引き下げている。
・英国のGDP成長率は7-9月期に前期比マイナス0.5%と1992年以来のマイナスとなった。急速な景気減速はその後も続いており、1. 住宅市況の悪化により、住宅投資や個人消費が減速、2. 金融部門を中心にサービス部門の減速が著しく、設備投資も弱含み傾向、3. 海外景気の減速により輸出の伸びも鈍化、といった具合に、ほぼ全需要項目において減速感が鮮明になっている。英国の金融機関は、米国発のサブプライム関連による損失に加え、自国の不動産市況の悪化からも損失を被っている。また、短期金融市場の逼迫や信用コストの上昇により、資金調達コストの負担が重くなっており、この結果、住宅ローンを中心にほぼ信用収縮といってよい状況が引き起こされている。金融部門の損失拡大・業績悪化が信用収縮を経て実体経済へと波及、その実体経済の悪化がさらに金融部門の首を絞めるという悪循環の構造は、ほぼ米国と同じといってよい。

岡久慶「イギリス 政党及び選挙法案」国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』2008年10月。
・2008年7月17日、司法省が提出した政党及び選挙法案は、長らく懸案となっていた政治資金問題に、一定の回答を示す内容である。法案は、選挙委員会の監査権限を強化し、寄付者の身元公開を徹底し、選挙期間外における候補者の支出を制限する等の規定を盛り込んでいる。法案に関しては、与野党間の激しい論争が予想される。

後藤あす美「英国経済見通し 結局は2009年年央が正念場」大和総研『海外情報』2008年11月12日。
・11月6日、BoEは金融政策委員会で、150bptという大幅な利下げを実施することを決定した。これによって、政策金利は3.00%となった。市場予想は50bptの利下げが主流で、一部では100bptとの予想もあがっていたものの、150bptの利下げは予想外だった。政策金利3.00%とは1955年1月以来の水準であり、戦後最悪の金融システムの混乱と危惧されている実態を反映している。10月8日にもBoEは主要中銀と50bptの協調利下げを断行しており、稀に見る短期間での大幅利下げ局面となっている。11月の大幅利下げを受けて、マーケットでは、2009年第1四半期まで集中的に利下げが行われるのではとの見通しが強まった。
・金融市場の混乱は、確実に実体経済を蝕み始めている。金融機関による貸し渋り・貸しはがしが起きており、中小企業を中心に企業の倒産が増加してきている。タイムズ紙は、中小企業の倒産が1日当たり40社と、信用収縮が始まる前と比較して7倍に拡大したと報道した。
・企業倒産増加の波は、雇用者数減少・失業者数急増というトレンドを作り出している。特に倒産件数が増加している金融・不動産・建設関連は、雇用の28%を占めており、企業倒産の雇用市場への打撃が懸念されている。
・失業者申請数は、9月時点で93.9万人であった。前月比でプラス3.2万件。6ヶ月以内に失業保険を申請した25歳から49歳の男性が圧倒的な伸びを見せている。重要な労働力ではあるが、その分高給となっている層にメスを入れている訳であり、事態の深刻さを物語っている。
・家計の金融資産はピークの2007年末と比較すると、2008年の第1四半期の時点で1700億ポンド(約35.7兆円)以上減少している。英国の家計は、株式と投信という金融市場に連動しやすい金融資産を15%程度(2008年第2四半期時点)保有している。だが、株安の波を受けて、キャッシュ化が加速。2008年第2四半期は2007年末比で株式・投信残高がマイナス663億ポンドである一方、現金・預金資産残高がプラス476億ポンドとなっている。また保険・年金基金への預け資産残高はマイナス1565億ポンドであり、2007年第4四半期から2008年第1四半期にかけて積立金を崩して手元資金に変え、住宅ローン返済等に充てていた可能性が考えられる。FTSE100を例に挙げると、2007年末起点で2008年6月末の騰落率は12.9%となり、2008年10月末時点での騰落率は32.2%と下落率が拡大。家計金融資産の更なる目減りが予想される。

吉田健一郎「厳しさを増す英国経済の現況 政策金利は53年ぶりの低水準へ」みずほ総合研究所『みずほマーケットインサイト』2008年11月11日。
・11月6日に開催された英中銀金融政策決定委員会(MPC)では、政策金利が1.5%引き下げられ、3%とされた。金融市場の予想は0.5%?1%の利下げとされていたことから、今回の大幅利下げは大きな驚きをもって受け止められた。インフレリスクの後退と景気後退リスクの高まりが大幅利下げ決定の理由とみられる。なお、3%という水準は53年ぶりの低水準である。
・同時に発表された声明文のなかでは、英国内の経済状況について、生産、家計、住宅投資など全ての経済活動が大きく落ち込みをみせていることが述べられると同時に、商品価格の下落とともにインフレリスクは後退したとされた。同時に、先行きについては「インフレターゲットを下回る重大なリスク」に言及することで、先行きの利下げに対して含みを持たせた(覚書注:「同時に」が多用される悪文である。しかもそれぞれの意味内容が異なっている。著者の語彙が少ないのだろう)。
・声明文の景気に対する厳しい認識が示すように、最近の英景気の減速傾向は顕著なものとなっている。7?9月期の実質GDP成長率は前期比マイナス0.5%となり、16年ぶりのマイナス成長となった。金融市場混乱の影響を受けて、個人消費の減速を中心に全般的な需要減退が起こっていると考えられる。先行きについても、IMFが発表した世界経済見通しにおいて、2009年の英国実質GDP成長率は、マイナス1.3%と先進国(2009年同成長率マイナス0.3%)中最低の予測がなされている。
・個人消費もこれまでの株価と住宅価格の下落により既に大きな打撃を受けている。例えば、2008年初以降、英国の株式時価総額はおよそ7000億ポンド減少している。2006年時点での英国の個人部門の株式保有シェアは13%であり、単純計算ではこの間910億ポンドの個人資産が失われたことになる。

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benyamin ♂

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