平成不況に対する日本の対策の評価

 今日は平成不況に対する日本の対策の評価です。

【聖杯は何処に】日本の経験伝え恐慌防げ 野村総研チーフエコノミスト リチャード・クー
2008.12.16 02:54

 ここ数カ月の各国経済の落ち込みはあたかも、全世界が大恐慌に向かって突き進んでいるようだ。

 米国はもとより、欧州も景気が大幅に悪化。中国でも不動産バブルが崩壊した。日本でも11月の新車販売台数が前年同月比27%も落ちたように景気が後退している。

 日本は国内にそれほど大きな問題を抱えてはいないが、外需に偏り過ぎたため、輸出先の米国や中国、欧州の落ち込みのあおりを受けている。小泉純一郎内閣のころから内需拡大をなおざりにしていたツケが表面化した形だ。

 過去を振り返ると、同じことが全世界で起きたのは大恐慌が始まった1929年ごろまでさかのぼらなければならないだろう。

 世界経済の急激な落ち込みを引き起こしたのは、いくつかの国で起きた住宅バブルの同時崩壊だ。

 住宅バブルが崩壊すると、逆資産効果だけでなく、住宅を借金で買った人たちや彼らに金を貸した銀行のバランスシートが壊れてしまう。借金は残っているのに、それに見合う資産がなくなっているからだ。

 そうなると民間は一斉に利益の最大化から債務の最小化、つまり、貯蓄を増やし、借金を減らす方向に動く。これは個々のレベルでは正しい対応だが、みんなが同時に同じことをすると、民間の貯蓄と借金返済分を借りて使う人がいなくなり、それがデフレギャップとなって総需要が減少する。29年に始まった大恐慌では、この減少に歯止めをかけられず、米国の国内総生産(GDP)が4年間で46%も消滅する事態に陥った。

 今の世界はまさに大恐慌の入り口にさしかかり、市場も企業も、消費者も真っ青になっている。

 ところがここに一縷(いちる)の希望がある。日本がこの問題に対して答えを出したからだ。

 90年代の日本は、バブルのピークから商業用不動産の価格が87%も下がった。株や土地の下落によって1500兆円もの国民の富が失われた。企業は95年ごろから多い時で年間30兆円の巨額の借金返済に動いていた。

 それでも日本のGDPは18年間、一度もバブルのピークを下回ることはなく、失業率も5%台で好転した。これは大変な成果である。

 では、なぜ日本は恐慌を防ぐことができたのか。

 政府が民間の貯蓄と借金返済分を借りて使うことを十数年間やってきたからだ。財政赤字は大きくなったが、その結果、国民所得(=GDP)は維持され、民間はその所得で借金返済を続け、2005年ごろからバランスシートはきれいになった。日本はどんなに資産価格が下がっても、正しい財政政策で国民所得を維持できることを人類史上初めて証明したのである。

 ところが、ここ十数年の日本の財政政策を評価しない人たちが内外を問わず大勢いる。彼らは「あんなに公共事業をやっても日本の経済は成長しなかった」とたたいている。しかし、この種の批判には実は暗黙の前提がある。

 「政府が財政政策をとらなくても経済はゼロ成長だった」という前提だ。「何もやらなくてもゼロ成長なのに、あれだけの公共事業をやっても成長しなかった。だから無駄なモノに金を使った」と批判する。だが、当時の日本は民間のデフレギャップ(貯蓄+借金返済)がGDP比で10%近くあり、数年でGDPが半分消えても不思議ではない状態だった。目前の大恐慌を防げたのは果断な財政政策をとったからなのだ。

 1930年代の大恐慌で米国が失った富はGDPの1年分といわれる。バブル崩壊後の日本では、株と土地だけでGDPの3倍もの富が吹き飛んだ。われわれが受けたダメージがいかに大きかったかがわかる。にもかかわらず日本は国民所得を維持することができた。この教訓を世界が学び、日本の成果を世界が理解すれば、危機に苦しむ各国国民の気持ちがどのくらい楽になるだろうか。

 くしくも現在の日本の総理大臣、麻生太郎氏は日本経済が抱える問題の本質を当初から完全に理解していた数少ない政治家であった。

 麻生首相は、もともと経営者なので、バランスシートの問題を理解している。借金返済の苦しさもその恐ろしさも理解している。また、民間が債務の最小化に向かっているときは中央銀行の金融緩和が効かなくなることも分かっている。だからこそ、麻生首相は財政出動の必要性を訴えているのだ。

 しかも外需が激減した今の日本は、少なくとも真水10兆円の政府支出の拡大が必要だ。減税をしても借金返済や貯蓄に回って景気対策にならないからだ。

 11月に行われた主要国と新興国20カ国による緊急首脳会合(金融サミット)でも麻生首相は日本の経験を訴え、財政出動に反対だった米国のスタンスを変えた。首脳声明にも財政出動の必要性を明記した。麻生首相は極めて重要な日本の成功例を必死で海外に伝えているのである。

 海外もようやく日本の成果に気付き始め、日本から学ぼうとしている。以前はあれだけ日本の公共事業と銀行への資本投入をたたいていた欧米諸国が、今やすべてこれらの政策を採用している。中国も57兆円もの景気刺激策を決めた。われわれはずっと正しいことをやってきたのだ。

 麻生首相は国内で、失言したとか、字を読み間違えたとか、想像もできない低次元の問題でたたかれているが、海外では中国の胡錦濤主席も米国のブッシュ大統領も必死に麻生首相の話を聞いて参考にしようとしている。日本の総理の話がこれだけ世界で注目されたことが過去にあっただろうか。

 日本にも優秀な政治家は多数いるが、海外に日本の経験を自身の言葉で、そして英語で話せる政治家はそう多くない。麻生首相は日本が世界を正しい方向へ導くためには不可欠な人物なのだ。

 字を読み間違えたくらいで、政権をつぶしてしまえという今のマスコミ世論は正気の沙汰(さた)ではない。

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081216/trd0812160255005-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081216/trd0812160255005-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081216/trd0812160255005-n3.htm

 膨大な債務を抱えても財政出動を行なってきた日本の不況対策は妥当だったという評価です。私も同様の評価です。公共投資が従来のような波及効果を失っているとはいえ、景気の下支え効果は健在であると考えており、日本の政策的対応は一定評価しています。

 麻生首相もこの点を理解しており、昨今の金融危機への対策として日本の経験を語っている姿を今日の記事は取り上げています。下賎な揚げ足取りで盛り上がっているマスコミも、麻生首相の積極的な活躍を受け入れなければならないでしょう。

 その一方で、財政出動を基軸とした不況対策の限界も指摘しなければなりません。最大の問題は裏返しとして政府債務が積み上がっていることです。景気が好転すれば、不況対策としての公共投資の意味も薄れますので、公共投資の削減を考えなければなりません。

 サブプライム金融危機が発生しなかったら、麻生政権は政府債務の縮小に本格的に取り組んだと思います。消費税を含めた増税を打ち出したのも債務縮小には必要な要素であるからでしょう。増税というとマスコミは脳髄反射的に批判しますが、これまでの財政出動の結果として積み上がった債務縮小には不可欠です。

 加えて、社会保障支出が今後もりもり増加することが確実である現状では、増税は不可欠ではなく、積極的に行なわれるべきだと思います。論点としては増税水準だけでしょう。この点を国民的に議論するためにも、これくらいの社会保障支出の増加にはこれくらいの増税が必要だ、という水準をいくつか提示するべきでしょう。

 話がそれましたが、いずれにしても批判的な議論からは政策の意義を見出すことはできないと思います。日本の不況対策は今や世界中が模範としており、実際に日本と同様の対策が実施されています。こうした日本の積極面をもっと正面から見据えていきたいものです。

 なお、敢えて指摘しませんでしたが、この記事は麻生首相を過度に大絶賛しています。リチャード・クーは麻生首相とのつながりが非常に深いのでしょう。逆に、持ち上げすぎて嘘くさくなっているところが皮肉的ですが。

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benyamin ♂

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