覚書 090124

国際投信投資顧問株式会社「投信新時代の投資戦略 進展する国際分散投資」2008年1-3月号、2008年1月11日。
・経済が成熟期を迎えた現代の日本と、19世紀後半の英国とは多くの共通点があります。「1. グローバル経済化、2. 成熟する国内経済、3. 新興国の台頭」の3要素から、4. 海外へ資金が流出し、5. 通貨安が進みながらも、6. 金利収入を得る投資立国へと再生しました。
・覚書注:日本が英国になれるわけないと思います。

平山順「英国発の火種にみる金価格上昇の可能性」Klug『コモディティレポート』2009年1月22日。
・オバマ米大統領の就任直前の19日、オバマフィーバーに沸く米国、そして世界中の熱気のなか、欧州からはロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の2008年通期決算が、英国企業としては過去最大規模の損失となる280億ポンド(約416億ドル、約3兆6,000億円)に達する可能性がある、との発表が行われました。今回このRBSの損失計上を受けて、欧州株式市場では銀行株が大幅に下落したうえ、英国の通貨ポンドは、21日には円に対し、変動相場制が採用されて以降の最安値となる1ポンド=123円台まで下落しています。
・米国の2007年度のGDP(名目)は13兆8,075億ドルだったのに対し、英国の場合は2兆1,374億ドルと、GDPの規模は米国の約6分の1程度に過ぎないため、これほどの大きな損失を抱えたRBSを実際に救済できるかどうか、さらに国有化の声も聞かれているものの、英国政府としてこれだけの損失を抱えることができるのかどうか、など見通しに不透明感が強い、と考えられています。
・なお、英国政府は金融機関を救済するための資金調達として、国債の発行や外貨準備の一部を売却するなどの手段を採るかもしれません。イングランド銀行のウェブサイトによれば、同行が保有する金準備高は、2008年10月時点で72億8,900万ドル相当となっています。イングランド銀行は、1990年代末に、金を安値で大量に売却し、金の国際価格を大きく引き下げたほか、安値での売却に対する責任をのちに議会から追及された、という経験を持っているため、公的な金の売却に対しては慎重な姿勢を見せています。そのイングランド銀行が金を売却したとなれば、虎の子に手をつけたとも見られ、一時的に金価格が下落する影響をもたらしたとしても、英国の金融危機の深刻さを示唆する現象である可能性が高いだけに、金市場にとっては強気な材料となるかもしれません。

三菱東京UFJ銀行「経済マンスリー 西欧」2009年1月16日。
・英国経済は、景気悪化はユーロ圏に比べてより一層深刻である。今回の英国景気悪化の一因は、銀行の貸出姿勢の厳格化である。昨年10月には、銀行貸出を回復すべく政府による銀行支援策が実施されたが、その効果は未だ現れていない。BOEが12月に行った調査では、担保付の個人・小企業向け貸出、大・中堅企業向け貸出の数値は若干改善したが、依然、水準は低く、貸出姿勢に変化はない。また、銀行貸出動向についてみると、企業向け及び個人向けいずれの貸出残高も減速している。
・個人消費についても低迷している。11月の実質小売売上は、前年比1.4%にとどまった。クリスマス商戦も不調であったことからすると、12月の小売売上も低調なものにとどまろう。消費者信頼感指数は12月にマイナス28.7まで低下した。個人消費及び消費者マインドが低迷している理由として雇用情勢の悪化が挙げられる。11月の失業率は3.3%と10より0.2%ポイント上昇した。失業者数は、107万人と100万人を上回った。失業者が100万人を上回るのは2001年1月以来である。
・昨年11月の消費者物価上昇率は、前年比4.1%と前月より0.4%ポイント低下した。電気ガス等の公共料金は前年比プラス38.1%と、昨年9月以降の大幅な料金引き上げの影響が残り、高い伸びを示したものの、ガソリン等を含む個人輸送機械関連費用が前年比プラス0.6%と前月の同プラス7.2%から大幅に下落したことが全体の上昇率を押し下げた。原油価格は1バレル40ドル前後の水準で推移する一方、昨年のこの時期は原油価格が上昇していたことから、個人輸送機械費用は今後数ヶ月間前年水準を下回るとみられ、消費者物価上昇率は徐々に低下していくであろう。イングランド銀行は1月8日の金融政策委員会で、政策金利を0.5%ポイント引き下げ、1.5%とすることを決めた。10月以降4ヶ月連続で利下げを行っている。今後については、0.5%までの利下げが行われた後、量的緩和政策を実施していくとみられる。

「カーボンフットプリント制度の試行と本格導入に向けた解決すべき課題」みずほ総合研究所『みずほ政策インサイト』2009年1月22日。
・カーボンフットプリントは、「商品・サービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでに排出される温室効果ガスの排出量を、ライフサイクル全体を通しての環境負荷を定量的に算定するライフサイクルアセスメント(LCA)手法を活用して算出し、CO2に換算して当該商品及びサービスに簡易な方法で分かりやすく表示する仕組み」と定義される。カーボンフットプリントの制度の目的は、CO2排出量を「見える化」することによって、1. 事業者が自社の削減努力をアピールするために、製品等のライフサイクルを通じた排出量をさらに削減するようになることと、2. 消費者が提供された情報をもとに、自らの活動に伴ってどの程度のCO2が排出されているのかを認識するとともに、商品購入の際にCO2排出量の低い商品を選択するという排出削減努力を促すことにある。
・サッポロビールは、主力商品である「サッポロ生ビール<黒ラベル>」(350ml缶)にカーボンフットプリントを表示し、その試作品をG8洞爺湖サミットで参考展示したことで注目を集めた。表示によると、350ml1缶当たりのCO2排出量は、「原料栽培からリサイクルされるまでに161g」となっている。同社が公表している2005年の<黒ラベル>(350ml缶)のCO2排出量の内訳をみると、「容器・外装材製造段階」で排出されるCO2が最も多く、全体の5割以上を占めていることが分かる。
・味の素も、2009年中に調味料や冷凍食品などの一部商品で、カーボンフットプリントの表示を行う予定となっている。同社は、冷凍食品などの加工食品を環境面から評価した場合、加工段階で効率的に大量生産できるため、個々の家庭で調理する場合と比べて生産・加工調理段階における生産量あたりのCO2排出量は少ないものの、他方で、冷蔵・冷凍保存や包装材の使用など、CO2を排出する工程が必要になるという長短所があることを踏まえたうえで、加工食品をライフサイクルの視点により定量的に評価するルール作りを目指している。評価の結果、冷凍食品の場合が440g、標準的な家庭調理の場合が520gと、ライフサイクルCO2排出量にあまり大きな差がなかった。ただし、家庭での調理では、油を使いまわすことによりライフサイクルCO2排出量が大きく減る実態が明らかとなった。
・セブン&アイ・ホールディングスによるカーボンフットプリントの試算例は、2008年6月に洞爺湖サミットを記念して札幌で開催された『環境総合展2008』でパネル展示等により発表されたほか、同社のウェブサイトでも公表されている。手巻きおにぎり「紀州梅」の原材料の生産から、原材料の調達・輸送、おにぎりの製造、仕分け・配送、店頭での販売までを含むライフサイクル全体のCO2排出量は、1個あたり64gとなっている。全体の排出量に占める割合が最も高いのが、「原材料の生産・調達・輸送」工程となっている。
・英国では、企業の温暖化対策支援のために設立された政府系企業であるカーボントラスト社が、支援の一環として、商品ごとのCO2排出量の測定方法などを企業に提供してきた。さらに同社は、2007年5月から英国規格協会(BSI)の協力のもと、製品およびサービスの温室効果ガス排出量算定の正式なガイドライン構築を目指して、専門委員会での検討やガイドライン案へのパブリックコメントを実施してきた。その結果、検討開始から約1年半を経た2008年10月29日、カーボンフットプリント算定方法の共通規格であるPAS2050およびそのガイド、「Guide to PAS2050 : How to assess the carbon footprint of goods and services」、さらにカーボンフットプリントの表示に関する要件を定めた「Code of Good Practice for Product Greenhouse Gas」が開発・公表された。
・カーボントラスト社は、カーボンフットプリントの基準構築に先行して、2007年5月より企業のCO2削減を促進するためのカーボンフットプリントのモデル事業も実施してきた。製品に掲載されるカーボンフットプリントには、製品のライフサイクルの温室効果ガス排出総量(CO2換算)を表示するほか、下向きの矢印を表示することにより、企業が2年後のラベル更新時に向けて排出量の削減を約束できるようになっている。更新時に削減を達成できなかった場合は、表示を除去しなければならない。製品パッケージ以外にも、ウェブサイトや、店頭でのポスター、製品のパンフレット等での表示も行われている。モデル事業の開始当初は、Walkers(ポテトチップス)、Innocent(ジュース)、Boots(シャンプー)の3社が参加し、その後、徐々に参加企業が増えて、2008年10月現在、21社、75品目を対象にカーボンフットプリントの測定・表示が試行されている。
・製品等へのカーボンフットプリント表示は、食品の成分や産地の偽装表示が問題となるのと同じように、消費者の信頼に応えたより正確なものである必要がある。他方で、原材料が輸入品であり、かつ季節や価格によって輸入元が変更される製品などは、原材料の輸入元を特定し、原料製造にかかるCO2排出量を厳密に把握するのは、製造事業者にとっては非常に大きな負担となるだけでなく、場合によっては正確なデータの入手が困難ということもあり得る。したがって、企業の製品等へのカーボンフットプリント表示を促すためには、制度構築において、表示の正確性と企業負担のバランスを考慮することが欠かせないだろう。
・カーボンフットプリント表示の導入が期待される商品・サービス分野については、主に環境NGOや流通分野からは、自動車、エアコン、住宅、家具などの排出量の多い商品や、消費者の目に頻繁に触れる食品への導入を求める意見が出されたのに対し、食品分野からは、データの不正確性、データ取得の困難性、競合商品・外国との競争力等の観点から、コスト負担と環境負荷低減効果の両面を十分検討する必要があるとの意見が寄せられた。特に、製パン業界、製塩業界はカーボンフットプリント制度の導入に反対している。具体的には、製パン会社20社が加盟する日本パン工業会は、1. パン製品は地域・季節により種類がことなり、品種が多い反面、ライフサイクルが短いため、個々の製品の排出量を正確に測定するのは難しいこと、2. 原料となる小麦は、複数の国で生産された小麦を製粉業者が配合・成分調整するうえ、同品種の小麦でも生産される年によって自然条件の違いにより温室効果ガスの排出量が変動するため正確な排出量を算出するのは困難であること、3. カーボンフットプリントの表示に、流通・破棄段階など製パン会社のコントロールの及ばない部分の排出量を含む場合、製パン会社としてどの程度責任を負うべきか不透明であること、などを理由に導入反対を表明した。また、製塩大手4社が加盟する日本塩工業会は、各製塩工場の自家発電に用いられる石炭は、種類によって発熱量が異なり、その結果、製塩する際のエネルギー使用に伴うCO2排出量も工場によって差異が出てくることから、厳密に各工場で生産される塩のライフサイクルCO2排出量を比較するためには、統一基準が必要であるとしている。また、海外では、岩塩から製塩するなど、わが国で一般的な海水を濃縮する製塩方法とは異なり、相対的に少ないエネルギー使用量で製塩できることから、海外製品のカーボンフットプリントと日本製品のそれとを比べて消費者がどのように反応するかを懸念する向きもある。
・覚書注:原材料やその輸入元、商品数が多い問題点については基準の統一などの技術的対応によって解決可能な問題であろう。これだけでは導入の反対理由にはならない。しかし、本論には書かれていないが、そうした様々な状況ごとに変化する情報を個別商品の包装に逐一反映させる作業が必要となり、こうした細かい対応を業界ができるのかどうか疑問がある。原材料の生産地や加工工場の所在地などを細かく表示していく取り組みと同じくらい手間のかかる作業である。総量だけの表示にこだわらずに、仕入先や季節変動によって異なるCO2排出量について原材料ごとに一覧を示すような表示でも良いのではないだろうか。栄養素表示でもカロリーだけではなく、炭水化物と脂質、糖分ごとの数値がみられるように、総量だけの表示では限界があると思われる。ただ、そうすると、ごちゃごちゃした表示になり、消費者にはわかりにくくなるだろう。製品の包装にはとりあえず総量の平均値を示して、細かい情報はウェブサイトなどで追加する方策もあるが、それなら最初からURLや二次元バーコードだけを表示したほうが消費者にもわかりやすい。製パン業界や加工食品業界はカーボンフットスタンプ制度が適さない分野かもしれない。

厚生労働省大臣官房国際課「2007-2008年 海外情勢報告」2008年12月。
・現労働党政権による「福祉から就労へ」(Welfare to Work)施策の柱は、ニューディール(New Deal)と呼ばれる職業訓練及び就職促進を目的とする一連の雇用対策である。一部の先行地域における導入期間を経て1998年4月から全国的に実施されている。若年失業者や長期失業者への対策を中心に開始され、その後、対象を障害者、一人親、高齢者及び失業者の無収 入の配偶者へと順次拡大して実施されている。ニューディールプログラム全体で、2007年8月までに297万人が参加し、このうち186万人がニューディールを通じて就職している。
・2007年6月、ブレア前首相の下で長年にわたり財務大臣を務めてきたゴードン・ブラウン下院議員が首相に就任した。ブラウン首相は、就任直後に大幅な政府機関の再編を行った。労働行政機関の再編としては、教育技能省(Department for Education and Skills)の分割が挙げられる。従前の教育技能省は、19歳前の教育及び職業訓練を所管する「子ども・学校・家族省」(Department for Children, Schools and Family)と、19歳以降の教育及び職業訓練を所管する「イノベーション・大学・技能省」(Department for Innovation, Universities and Skills)の二つに分割された。後者が所管することとなったイノベ ーション政策は、従前の貿易産業省(Department for Trade and Industry)が所管していたものである。また、貿易産業省が所管していた労働基準及び労使関係に関する政策は、後継組織の「ビジネス・企業・規制改革省」(Department for Business, Enterprise and Regulatory Reform)が引き続き所管している。
・ブラウン政権は、2007年12月、今後の雇用対策として「就労への準備」(Ready for Work)を発表した。過去10年間のニューディール政策の成果を踏まえた上で、就労促進策を更に強化したものとなっている。
・ブラウン政権は、独り親や障害者の就労を促進するための施策を導入しようとする一方、その受け皿となる求人を増やすため、個々の企業に対して、雇用拡大を要請している。この取組みは「雇用拡大の約束」(Job’s Pledge)運動と呼ばれており、ブラウン首相が自ら首相就任直後から様々な機会に呼びかけを行い、大手スーパーマーケット等が参加(求人を増やす意思を表明し、社会に誓約)している。求人開拓に関する国民運動的な取組といえる。
・将来に向けた人口構造の変化等を踏まえ、長期的に懸念される課題を回避するため、2002年にターナー卿(元CBI(経団連に該当)会長)を委員長とする年金委員会(Pension Commission)が設置され、3年間の検討を経て、2005年11月30日に報告書が公表された。この報告書は、近年ではかなり大規模な内容の改革案であり、注目を集めた。見直しの基本的な考え方としては、1. 個人の自己責任の範囲を拡大すること、2. 所得、男女、世代の違いを超えてフェアな制度とすること、3. 制度をシンプルなものとすること、4. 持続可能性が確保された制度であること、5. 国民にとって納得性の高い制度とすること、という視点に留意して検討が加えられた。具体的な改正案の内容として、報告書では、1. 安い費用で低、中所得者に貯金を促す制度を2012年から導入することとしている。具体的には、個人ごとの勘定を立ち上げ、被 用 者(4%)+ 事 業 主(3%)+ 政 府(1%)と負担を持ち合うことで被用者に貯蓄を促すこと、2. 子育てや介護を担っていた女性が結果として十分な年金を得られないという問題の克服のため、満額受給するためには従来であれば国民保険料を女性は39年納める必要があったところ、2010年以降30年に短縮、併せて、ケアを担う者に対する福祉給付を拡充し、子育てや重篤な障害者を週20時間以上介護する場合にはその期間について年金拠出期間に繰り入れる(現行週35時間以上)こと、3. 基礎年金の支給額を再び賃金スライドに移行し、支給開始年齢を2020年代半ばから約10年かけて1年ずつ遅らせ2050年までに68歳に引き上げること(具体的には2024年に65歳から66歳に、2034年に67歳に、2044年からは68歳になる見込み)を内容とするものであった。その後、この報告を踏まえた政府案であるホワイトペーパーが1. 2006年5月(Security in retirement: towards a new pensions system)及び2. 同年12月(Personal Accounts: A new way to save)に公表された。これらの改革案は、法律としては2本立てとなり、1については2006年11月に法案提出され、2007年7月に成立(The Pensions Act 2007)、2については2007年12月に法案(The Pensions Bill)が提出され、現在もなお審議中(2008年3月現在)である。

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benyamin ♂

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