覚書 090131

猿渡英明「欧州経済概観(09/1) 急速な景気失速に見舞われるユーロ圏」新光総合研究所『SRI 欧州経済ウォッチ<ユーロ圏・英国>』No.09-02、2009年1月23日。
・英国景気は金融部門の調整による信用収縮から急速な悪化傾向にある。英国の金融機関はサブプライム関連の損失に加え、自国内の不動産市況の悪化から損失の拡大に歯止めがかかっていない。資産価格の上昇を担保とした信用供与により、過剰な消費や投資が行なわれていたという構図は、米国とほぼ同じといってよい。このため、金融機関の損失拡大を背景に信用供与が縮小すれば、自ずと景気は大幅な調整を強いられることとなる。輸出や製造業部門のウェートが低いだけに、内需の回復がない限り、景気全般が持ち直すことは困難であろう。景気が回復するためには、金融部門の調整が一巡し、信用収縮に歯止めがかかる必要がある。しかし、信用収縮による景気悪化はむしろこれから顕在化、2009年中の回復は難しい情勢にある。

宍戸伴久「戦後処理の残された課題 日本と欧米における一般市民の戦争被害の補償」国立国会図書館調査及び立法考査局『レファレンス』2008年12月号。
・わが国では、戦争被害の補償は軍人・軍属や国・軍の役務を遂行していた場合に限定され、空襲被害など一般市民の戦争被害に対する補償は、原爆被爆者の補償や外地からの引揚げに関 連する救済(引揚給付金、未帰還者留守家族への帰国旅費・帰国手当、シベリア抑留による被害や在外財産の損失補償に代わる給付、中国残留孤児への援助)を除き、行われてこなかった。一方、欧米諸国の戦争犠牲者補償制度には、「国民平等主義」と「内外人平等主義」という2つの共通する特徴がある、とされる。つまり、一般市民の戦争被害に対する補償は、軍人・軍属と民間人を区別することなく、平等な補償と待遇を与えるという「国民平等主義」に 基づいている。ただし、その法的根拠、補償の手続、方法まで同一であることを意味するもの ではない。また、自国民と外国人を区別することなく、すべての戦争犠牲者に平等な補償と待 遇を与える「内外人平等主義」も、一般市民に対しても貫かれている。
・英国における第二次世界大戦中の一般市民の戦争被害の補償は、以下の通りである。
・人的損害:根拠法規は、「1939年人身傷害(緊急措置)法(Personal Injuries(Emergency Provisions)Act 1939)」及び同法に基づく行政命令である「1983年人身傷害(市民)制度(The Personal Injuries(Civilians)Scheme 1983)」である。適用対象及び適用要件は、以下の通りである。緊急事態の期間(1939年9月3日から1946年3月19日、第二次世界大戦中)に、有給就業者(貿易・商取引・専門職等に就業し、かつ実際にそれにより生活を維持している者。15歳未満の者又は15歳以上であるが学生又は職業訓練中の者で、受傷する前に心身の障害を伴っておらず、将来有給就業者となる可能性があったときは、有給就業者として取り扱う。)・非有給就業者・市民防衛志願兵(市民防衛組織の一員として認められた者)が蒙った「傷病」に関連して、各種の給付が行われる。いずれについても、国籍は問われない。「傷病」は、有給就業者と非有給就業者の場合「戦争傷病」、及び市民防衛志願兵の場合「戦争業務傷病」と呼ばれる。「戦争傷病」とは、敵による、または敵との戦闘の間若しくは敵の襲撃と思われるものを撃退する間の、ミサイル(液状・ガス)の発射、武器、爆発物若しくはその他の有害物の使用、若しくは傷病を発生させるその他の行為の遂行によって発生する身体上 の傷病(PhysicalInjury)、又は空襲等(航空機、航空機の一部、その他の落下物)により人または財産に与えられた衝撃に起因する身体上の傷病である。「戦争業務傷病」とは、市民防衛組織において市民防衛志願兵として業務遂行中に発生した身体上の傷病である。給付の対象となるのは、戦争傷病又は戦争業務傷病に起因する「傷害」(身体上又は精神上の傷病若しくは損傷、又はその能力の欠損)であって、障害の程度(同年齢・同性の通常人の健康との比較により決定)が重く(20 %以上)、かつ長期に及ぶ場合である。給付は、傷病により就業できず、他の給付を受け取ることができないときは「就業不能手当」として、傷病の結果、重度で長期にわたる障害となり、又は死亡した場合は年金又は一時金として支給される。障害給付又は死亡給付の申請は、原則として、支給事故発生後3週間以内とされるが、担当国務大臣が別途定めることができる。また、英国外で、同国内に居住していない者により受傷した場合は、原則として支給対象とならない。
・物的損害:根拠法は、緊急事態下(第二次世界大戦中)の物損の補償については、それまでの戦争損害補償法を整理した「1943年戦争被害補償法(The War Damage Act 1943)」 に基づく。同法から1964年戦争被害補償法までの戦争被害補償関連法は「1943年から1964年まで の戦争損害補償法」と呼ばれている。ただしこれらは、「1981年制定法(廃止)法(The Statute Law(Repeals)Act 1981)」により、既に廃止されている。 適用対象及び適用要件は、1939年9月3日から1964年10月1日までの、戦争による土地の物的損害(「戦争被害(War Damage)」を補償するものである。「戦争被害」とは、1. 偶発的な場合を含め、敵の攻撃または敵との戦闘行動もしくは想定される敵襲の撃退の直接的な結果として発生する損害、2. 偶発的な場合を含め、それらの損害の拡大を防止または緩和するための、権限ある行政当局の指示による措置の直接的な結果として発生する損害(土地の形状の変更を含むが、それによる地価評価の下落は損害と見なさない。)、3. 敵の攻撃の速やかな遂行を防止または妨害するための、権限ある行政当局の指示による予防行為ないし準備行為、または敵の攻撃を予測して、権限ある行政当局の指示によって行われる土地工作物の設置を含む予防行為ないし準備行為(照明の制限や訓練施設の設置は含まない。)による直接的な結果として発生する偶発的損害である。また、対象となる「土地」は、英国内の土地であって、その土地の上空・地上・地中にある建築または工作物(設備・機械以外)を含む。戦争被害(War Damage)給付は、工作物の建設費用負担者に対する建設費用の補償とその所有主に対する家賃等の財産減価額の補償の2種類が認められているが、損害発生後30日以内に戦争被害委員会に申請しなければならなかった。当該土地に利害関係を有するものは、戦争損害補償給付費用について拠出を行うことを求められる。給付の請求期限は1968年9月30日で、支給期限は1974年9月30日であった。

岡久慶「英国における過激なポルノの規制禁止」国立国会図書館調査及び立法考査局『外国の立法』238、2008年12月号。
・現在イングランド及びウェールズにおけるポルノ規制の枠組は、1959年猥褻刊行物物(Obscene Publications Act 1959)及び1964年猥褻刊行物法(Obscene Publications Act 1964 )(以下、まとめてOPAという)によって定められている。 スコットランドでも1982年市民統治法(Civic Government(Scotland)Act 1982)が同様の規定を定めている。猥褻刊行物は猥褻刊行物法において、それを閲覧する者を「堕落させ、腐敗させる(deprave and corrupt)」物品(article. この規定はインターネット上の画像、文章等を含む)であると定義され、その公表、貸与、販売等が禁止されるが、利得目的以外の所有は禁止されていない。違反者は、最高で3年の拘禁刑と罰金を併科される。この「堕落させ、腐敗させる」は非常に柔軟に解釈しうる用語であり、導入当初から賛否両論があった 。つまり、主観的に解釈される猥褻の規定が、陪審員を通じて時代の流れと共に変わる道徳観を反映すると見るべきか、恣意的な判決を招くかということである。政府は、この規定が、欧州人権条約第10条が保障する表現の自由を侵害するものではないとしており、欧州人権委員会も同様の解釈をしている。なお、児童ポルノの規制はOPAと別の枠組によるものである。すなわち1978年児童保護法(Protection of Children Act 1978)及び1988年刑事司法法(Criminal Justice Act 1988)によって構成される。1978年法は児童の「猥褻な(indecent)」写真の撮影、作成、頒布、利得目的の所有等を禁止し、最高で10年の拘禁刑と罰金を併科する。同法は刑事司法及び公共秩序法(Criminal Justice and Public Order Act 1994)によって改正され、児童を扱ったように見える猥褻な「疑似写真(pseudo photographs)」も写真と同様に扱うことが定められている。疑似写真とは、写真のように見える画像すべてをいい、実際の写真を加工する(例えば大人の頭を子供の体にくっつける)ことで法の穴を抜けることを阻止する。 1988年刑事司法法はさらに進んで児童ポルノの単純所有をも禁じ、最高で5年の拘禁刑と罰金を併科する。なお、児童ポルノに関係する「猥褻」の定義も、法律で規定されておらず、裁判所の解釈に委ねられている。
・政府は、過激なポルノは多くの人にとって嫌悪すべきもので、社会に存在すべきではないという主張を掲げ、その上で禁止理由として2つの点を挙げている。1. 暴力、残虐性、尊厳の蹂躙(degradation)を含む性的資料の作成に参加する者を保護するため。名目上又は実際に参加に同意していたとしても、犯罪の被害者である可能性がある。2. 既に従来の刊行と頒布を規制する法律で管理できなくなった資料から、社会、特に児童を守るため。これら資料との接触は、暴力的な、又は逸脱した性行動を奨励する可能性がある。ただしこれらの理由付けに関しては、不備な点も指摘できる。1に関しては、政府は過激なポルノ作成のためどれだけの人数が犠牲になっているか具体的な事例や数字を全く挙げていない、2に関しては暴力行為などとの関連性について明確な結論を出すことができないことを政府が認めているからである。

原田泰・橋本政彦「危機はいつまで続くのか 戦後の金融危機から学ぶ」大和総研『エコノミスト情報』2009年1月23日。
・今回のアメリカ発世界金融危機を契機として、アメリカが、日本のような失われた十年になるのではないかという議論があるが、そうはならないだろう。その理由は、第1に、世界の多くの金融危機のうち、失われた十年になったのは日本だけだからである。第2に、日本の場合は金融緩和が遅れたことがその後の回復を妨げたが、アメリカは早期に大胆な金融緩和をしているからである。第3に、北欧の場合には資本流出によって金融緩和をすることが困難になった。北欧の資本流出は、1997-1998年のアジア通貨危機の状況とも似ている。アジアでも、急激な資本の流出があって金融緩和が困難になった。また、アジアについては、IMFが必要以上に金融引締めを求めたからだという意見もある。いずれにしろ、アメリカの金融緩和政策に制約はない。
・Carmen Reinhart and Kenneth S Rogoff, "Is the 2007 U.S. Sub-Prime Financial Crisis So Different? An International Historical Comparison", No 13761, NBER Working Papers from National Bureau of Economic Research, Inc. March 2008.

三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部「米国・欧州主要国の景気概況 2008年12月号」『調査レポート』08/55、2008年1月23日。
・英国の景気は低迷している。2008年7-9月期の実質GDP成長率は前期比マイナス0.5%と、1992年以来16年ぶりのマイナス成長となった。企業部門では、11月の製造業生は前年比7.4%減と8ヶ月連続で減少した。家計部門では、11月の小売売上が前年比1.4%増と伸びが鈍化した。1984年の統計開始以来最大の下落幅となった住宅価格下落の影響が懸念されている。物価動向をみると、11月の消費者物価上昇率は前年比4.1%と2ヶ月連続で低下した。BOEは1月7、8日の金融政策委員会(MPC)で政策金利である短期レポ金利を0.5%引き下げ1.5%とした。利下げは4ヶ月連続となり、史上最低の金利水準となった。景気低迷は一段と深刻化しており、今後も追加利下げが実施されるとの見方が大勢となっている。

御手洗聡「金融危機が英国実態経済に与えている影響 国民の日常生活のみならず2012年のロンドン五輪にまで大きく影響」ニッセイ基礎研『REPORT』2009年2月。
・イングランド・サッカー協会のデービッド・トリーズマン会長は、イングランドのサッカークラブが合計約30億ポンド(約4,500億円)の負債を抱えていると明らかにした。そして、そのうち3分の1以上を4大クラブ(マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リバプール、チェルシー)が占めていると明かし、ビッグクラブが破綻する可能性もあると警鐘を鳴らしている。
・英国ビール&パブ協会によると2008年第3四半期のパブにおけるビール売上高は前年同期比マイナス8.1%と落ち込んでいる。昨年7月からの店内での全面禁煙の決定や今年3月の酒税の増税も影響しているが、景気後退の中で、人々のパブ離れは一層深刻化している。同協会によると今年に入って1日に5件のペースでパブが店を閉じており、この数字は2006年の9倍、2005年の18倍の早さである。
・英国でも最大のオークションサイトであるeBayでの取引はここ最近極めて活況である。イギリスでは不要になった洋服等はチャリティ・ショップに寄贈し、英国癌研究所(Cancer Research UK)等の慈善団体の活動資金として活用されるのが一般的であったが、景気後退を受けて無料でチャリティ・ショップに寄贈することを避け、少しでも現金化しようとeBayを活用する動きが見られているという。
・英国の財政状況が厳しい中にも関わらず、五輪大会全体の予算は招致計画段階の4倍の約93億ポンド(約1.4兆円)まで膨れ上がっている。結果、10億ポンド(約1,500億円)をかけて建設される予定であった選手村の予算を9億ポンド(約1,350億円)に引き下げることを発表し、それでも金融危機と景気後退の影響で資金が集まらない事態となっており、公的資金が注入される予定となっている。ロンドン五輪の総予算のうち64%は政府が負担、11%はロンドン市民が負担する予定となっており、Tessa Jowell五輪担当相は「これ以上の公的資金を投入することはない。」と強調する一方で、「今回の景気後退が分かっていたら、五輪は誘致しなかっただろう。」と発言し、国民の反感を買うなど、好景気に沸きかえっていた3年前の誘致決定時と現状は大きくかけ離れており、五輪開催準備に暗雲が立ち込めている。

大谷内肇「2008年からの英国運賃体系の変化」『運輸と経済』第69号第1号、2009年1月。
・英国運輸省は持続可能な鉄道産業を形成していく一つの方策として、抜本的な運賃制度の改革を実行することとなった。2007年7月に英国運輸省が発表した鉄道白書「Delivering a Sustainable Railway」によると、鉄道に対する利用者の信頼性が失われていると指摘しており、その理由の一つとして「運賃体系の多様化と個々のTOC(Train Operating Company:列車運行会社)による乗車券の種類の増加」が挙げられている。この問題を解消するため「運賃体系を簡易化」することを掲げた。これは利用者の信用を取り戻すために不可欠な行為であるとされた。また、より簡易な運賃体系は利用者にとってもメリットがあり、利用者の旅程・目的に合致した運賃を知ることができ、またTOCや旅行会社にとっても利用者が必要な運賃を提示しやすくなるとしている。新しい運賃体系はすべてのTOCで共通化されて、特段の理由がない限りはTOC独自の運賃もこの新しい運賃体系にすべて吸収・統合されることとなった。新しい運賃体系は「Advance」「Off-Peak」「Anytime」の3種類からなり、基本的に「Anytime」が一番高く、「Advance」が一番安くなるように設定されることとなった。この鉄道白書を受けて、ATOC(Association of Train Operating Companies:列車運行事業者協会)は2008年4月24日付でニュースリリースを発表し、運賃体系の簡素化を発表した。運賃体系の簡素化は二段階で実施されることになった。まず2008年5月18日付ですべての前売りタイプの運賃を「Advance」に統合し、またこれまで前売りタイプの運賃では使用できなかった各種Railcardによる割引が「Advance」運賃で適用される。また、9月7日からは乗車当日にも販売される運賃である「Off-Peak」「Anytime」運賃を導入し、これをもって英国鉄道の運賃体系の変更が完了した。
・鉄道運賃体系は3種類の運賃に統合され、運賃種類が減ったことによって運賃はわかりやすいものになった。実際に、2008年4月24日のATOCの運賃体系簡素化の発表にあわせて、Passenger Focusも「簡素化された運賃体系で自分が望むチケットを手に入れやすくなり、利用者の運賃に対してのクレームが半分に減るだろう」として歓迎するコメントを出している。しかし、この運賃体系統合と同時に運賃の改定が行われ、また、運賃体系統合に伴って以前適用されていた条件が適用できなくなり、実質的に値上げになった事例などのマイナス面も見受けられる。

西藤真一「BAA分割案にみるインフラ投資促進策」『運輸と経済』第69号第1号、2009年1月。
・今回のCC(Competition Commission:イギリス競争委員会)の答申ではBAA分割によるインフラ投資を目指方針が謳われているが、料金規制との関係について明示的な言及がなされていない。

小役丸幸子「ネットワークレールの予算について」運輸調査局『研究員の視点』2008年9月。
・イギリスの鉄道インフラを保有・管理するネットワークレール社の第4期(CP4:2009 年度-2013 年度)の予算(要求)について、同社の監督規制機関である鉄道規制庁(Office of Rail Regulation*ORR)の勧告が今年 6 月に発表された。ネットワークレールには、ORR よりさらなる経営の効率化がもとめられており、ネットワークレールの予算をめぐる両者のせめぎあいはしばらく続くものと思われる。

労働政策研究・研修機構「海外労働事情」『Business Labor Trend』2009年1月号。
・ビザ延長を申請する外国人に対する生体認証IDカードの発行手続きが、25日から開始された。6ヶ月以上滞在する場合に取得が義務づけられるもので、国内7カ所の窓口機関で顔写真の撮影や指紋採取などを受ける必要がある。カードには、氏名や国籍、顔写真、ビザ等の有効期間のほか、生年月日、出生地、滞在中の資格(就労の可否、公的な手当等に関する資格の有無など)が記載される。当座は学生や配偶者ビザの保有者などが対象だが、今後、適用者を順次拡大する予定だ。

ICTビジョン懇談会基本戦略WG事務局「主要国における最近の経済対策(概要)」2009年1月22日。
・英国:資本投資プログラム(2009年1月5日)。総額400億ポンド(5.2兆円)。デジタル技術の発展により生じる機会を踏まえて、経済を強化することの重要性を指摘。
・イギリス:400億ポンド規模の資本投資プログラム実施を発表(ブラウン首相会見 2009年1月5日)。2009年にイギリス全土において計400億ポンド規模の資本投資プログラム実施を発表。個人や企業が現行の経済的困難に対処することを助けるための短期的な施策と、技術や雇用状況改善のための長期的な改革の双方に資金を使用。当該投資により受益する重要な分野は、教育、交通及び住宅。環境及びデジタル技術の発展によって生じる機会を踏まえて、経済を強化することの重要性について指摘。

ICTビジョン懇談会基本戦略WG事務局「主要国におけるICT国家戦略」2009年1月22日。
・英国:2009年春を目途に、通信・テクノロジー・放送担当相が、デジタル経済における世界的リーダーの地位確立にむけた包括的な行動計画「デジタル・ブリテン(Digital Britain)」を発表予定。2009年1月末に中間骨子を発表予定。
・英国は、2008年10月、ICT分野の新行動計画「デジタル・ブリテン」の策定に着手(2009年1月末に中間骨子、春に取りまとめ)。ICT分野を「現下の金融危機に対応し、経済成長やグローバル市場での競争優位性を維持するための最重要の分野」と位置づけ、そのテコ入れのためのブロードバンド基盤整備、コンテンツ市場活性化策等を検討。地上アナログ放送がデジタルに切り替わる(デジタル・スイッチオーバー)最終年2012年を「デジタル年」とする。Peter Mandelsonビジネス・企業・規制改革大臣のステートメント「英国が通信・デジタル技術分野で世界のリーダーとしての地歩を固めることを政府として決定した。現在の金融・銀行危機に対し、英国が最悪期を切りぬけ、上方転換に備えるため、デジタル・エコノミーはその中心に位置するものだ。」
・イギリス:「デジタル・ブリテン(Digital Britain)」。英国は、2008年10月、ICT分野を「現下の金融危機に対応し、経済成長やグローバル市場での競争優位性を維持するための最重要の分野“と位置づけ、そのテコ入れに向けた行動計画の策定に着手。2009年1月末に中間骨子を、春に取りまとめを行う。担当は、今回、その重要性に鑑みて新たに設けられた通信・技術・放送担当大臣(ステファン・カーター卿:通信・技術・放送担当大臣は、DCMS(文化・メディア・スポーツ省)及びBERR(ビジネス・企業・規制改革省)の両大臣の下で活動。既に経済の主要な柱となっているデジタル通信分野(digital and communication sectors)は現下の金融危機の中で重要性が高まっている。この分野は、創造性を生み出し、効率性向上を実現する触媒として、英国経済におけるすべてのビジネスに不可欠となっている。経済成長を加速化し、英国が知識社会において世界のリーダーとしての地歩を固めるため、「デジタル・ブリテン」はデジタル通信分野における政府と産業界の行動計画(英国の競争優位性と社会にもたらす便益の最大化を促すための統一的な枠組み)を策定する。

NTTデータ「英国政府が推進する行政サービスの共同利用」『欧州マンスリーニュース』2009年1月号。
・総理大臣と大蔵大臣は、Sir P Gershon氏を代表とする調査グループに対して、公共部門の効率性に関する調査を依頼した。調査は、省庁及び利害関係者と緊密な関係を持って行われ、公共部門の第一線で行われている事業が活用しているリソースを抽出し、共同利用の可能性について検討した。2004年7月にGreshon氏から政府に提出された報告書、Gershon Review(「Gershon Review : Releasing resources to the front line」)によれば、公共部門が持つリソースを共同活用すれば、2007年度には、約3兆円の経済効果が得られるという。加えて、公共部門の共同利用は、費用削減効果だけでなく84,000を超える市民サービスのポスト削減も可能だとした。
・英国政府は、利用者側に立った行政サービスの共同利用の導入を実施するため、2016年までを事業期間とした「共同組合サービス(SCS:Shared Corporate Services)事業」を開始する。SCS事業は、公共部門が持つ機能を取り出し、同様の機能を持つ複数の行政組織が共同で当該機能を運営する事を推進する事業である。SCS事業は、専門家によって構成された共同サービス組織により提供されるが、行政内部に残存する一部の組織を除き、その多くは行政外部組織として編成される。
・事業推進に際し、政府は、「内閣府共同サービスチーム(COSST:the Cabinet Office Shared Services Team)」を編成した。COSSTは、少なくとも、当事業の実施により、人事管理と財務に対する現状支出額の20%に当たる約2千億円の削減ができると試算している。また、COSSTは、500万人あまりを雇用する約1300の英国公共組織に対し、SCS事業の有用性を広めるため、事業の先行事例を公共部門が広く共有できる機会を提供している。例えば、6週間ごとに共同サービス関係者に対し説明会を開催し、利害関係者を含む事業参加者に情報を提供するとともに、進捗状況及び事業実施の課題等を共有し、事業実施に役立てている。SCS事業は、当初、人事管理分野及び財務分野を中心に実施されていたが、あらゆる公共サービスにSCS事業実施の可能性が存在していると考え、COSSTは、その実施対象を行政組織が行うすべての業務に広げ、事業実施の可能性を探っている。

山下えつ子「英国格下げの危機」三井住友銀行『Market EYE』2009年1月29日。
・英国の財政赤字の対GDP比は2008年は4.6%だが2009年には8.8%に上昇する見込みだ。債券発行でファイナンスされるとすると、年間3000億ドル程度の新規発行となる。これは英国債市場の現在規模の3分の1程度の大きさである。海外投資家による英国債ネット購入額は年間でやはり3000億ドル程度。消化できないとは言えないが、世界中で財政赤字が拡大する一方、オイルマネー等は細っており、需給悪化の懸念はある。20日にキングBOE総裁が非伝統的手段としての国債購入に言及したのも、こうした背景があるからだろう。英国の経常赤字のGDP比は3.6%で、上記の格下げ国が同10%以上であるのに比べると、サステナブルだ。英国が実際に格下げとなることはまずなかろう。しかし、銀行の収益環境も厳しく、IMF見通しでは英国の2009年の成長率はマイナス2.8%だ。英国の経済金融情勢が著しく劣化していることも事実であり、想定外の発表や憶測に対して、債券・株・ポンドの各相場が不安定になりやすい地合いがあるので、今後も注意が必要だろう。

労働政策研究・研修機構「金融危機が諸外国に与える影響とその対応」『Business Labor Trend』2009年1月号。
・イギリス地域別の失業率は、ウェールズの6.7%やイングランドの6.0%に対して、雇用状況が未だ好調なスコットランドや北アイルランドでは4%台と相対的に低く、景気耕地あの影響は地域ごとにも異なる状況がうかがえる。とりわけ、失業率が急速に上昇しているウェールズやイングランド北部では、建設業や製造業の不振が大きく影響しているとみられる。
・財務省が11月下旬に発表した次年度の予算変性方針(Pre-Budget Report)には、200億ポンド規模の景気対策が盛り込まれた。中心となるのは、12月から2009年度まで実施する付加価値税率の引き下げ(17.5%から15%へ)。これは年間125億ポンドに相当する。減税による消費の活性化が狙いだ。伴せて、低所得者層の税控除額の引き上げや児童手当の増額、年金受給者への手当の支給など、景気低迷が特に影響を及ぼしやすい層への支援をはかる。また、公共投資30億ポンドを2010年度分から前倒しして住宅・学校の建設や道路整備などを実施するほか、中小企業の資金調達に対する政府保証や政府調達への参加の促進、法人税率の引き下げの延期などで、企業向けの支援策を講じる。雇用面では、景気後退の影響が著しい産業部門で失業の危機にある人々の再訓練や、支援の必要な離職者に対して優先的に職業訓練を実施するほか、職業紹介や求職者給付などの窓口業務を行うジョブセンター・プラスにおけるサービスの強化、また大企業とのパートナーシップによる雇用促進などに13億ポンドを投じる方針を示した。関連して、ジョブセンター・プラスの人員を6000人増員する計画が、すでに雇用年金省により打ち出されている。離職者の円滑な再就職を支援することにより、国内で未だ60万件を超える求人の充足に結び付けたい考えだ。政府は、年15万ポンド超の高額所得者に対する所得税率を、現在の40%から2011年以降に45%に引き上げることなどで赤字を賄うとしている。

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