アメリカで八つ子誕生の実情

 今日はアメリカで八つ子誕生の実情です。

米国の8つ子、「6つの胚を移植した結果」=母親
2009年 02月 9日 17:39 JST ロサンゼルス 6日 ロイター

 約2週間前に8つ子を出産した米カリフォルニア州の女性、ナディア・スールマンさん(33)は6日、テレビのインタビューで、8つ子の誕生は対外受精した6つの胚を移植した結果だったと明かした。

 スルマンさんは同様の対外受精で、先に6人の子どもを出産していたことも分かった。

 NBCテレビとのインタビューで、スールマンさんはまた、多くの子どもを持とうした自身の決断について話し、シングルマザーであることが厳しい非難の的になっている要因の1つではないかと述べた。

 スールマンさんは、カリフォルニア州医事局が、予定より9週半早い出産となった今回の不妊治療に対する調査を開始したため、身元などを公表した。

 スールマンさんは「私が型にはまらない方法で命を授かったために、顕微鏡で検査されているかのうように感じる。私は子どもたちが欲しかっただけ。母親になりたかった」などとNBCニュースに語った。

 今回の件に関して、生殖医療の専門家の中には失望する声もある。専門家らは、母子いずれにもリスクになるため、極端な多胎妊娠を避けるよう努力しているという。

http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-36379520090209

 先日取り上げた記事の続報です。やはり不妊治療を受けていた妊婦でした。もちろん、それ自体はまったく糾弾されるべきことではありません。問題は八つ子であった点です。

 記事の後段にあるように、多胎妊娠には危険が伴います。多胎妊娠とは双子以上の妊娠です。不妊治療で問題になる多胎妊娠は四つ子以上です。

 三つ子までは自然妊娠でもありえます。しかし、四つ子以上となると、自然妊娠では起こりえないため、妊娠の継続や出産の過程で母体や胎児に対する危険性が極度に高まります。

 不妊治療では妊娠の可能性を高めるために、できる限り多くの胎児を妊娠させようとします。それは自然妊娠を超えた多胎妊娠が可能な状態を人工的に作り出すことを意味します。

 ただし、不妊治療でも三つ子以上にはならないように処置されます。体外受精でも子宮に入れる受精卵は3つまでとなっています。母子の健康を考えて多胎妊娠を避けるためです。

 以上のことから、今回の八つ子誕生は非常に問題であると思っていました。結果的には母子無事で良かったものの、だからといって容認されることではありません。

 これは当事者もわかっていたことでしょう。当初の報道では不妊治療を受けたことなどの背景が伝えられていませんでした。おそらくは意図的な情報操作です。

 その後の調査で、記事によれば、受精卵を6つも移植したことが明らかになりました。このうち2つが双子となり、合計8胎の胎児となったのでしょう。逸脱した不妊治療です。

 アメリカの論壇でもこの点が非常に批判されていると記事にあります。当然です。いくら子供が欲しいからと言っても、8胎も妊娠させ、出産させることは危険な行為です。

 何度も言いますが、八つ子が問題なのです。不妊治療を受けたことに何も問題はありません。むしろ、不妊治療を経た妊娠や出産に対する偏見はなくなって欲しいと思います。

 ですから、記事にあるような、シングルマザーであることや、型にはまらない方法で命を授かったことは批判対象とすべきではないでしょう。論点がずれています。

 その一方で、危険な多胎妊娠を強行したことには大いに批判が寄せられるべきです。これは倫理的問題ではなく医学的問題です。両者を混同して論じてはいけません。

 八つ子を出産した女性は、母親になりたかった、子供が欲しかった、と言っているようです。これは倫理的問題への回答でしょう。その気持ちは尊重されるべきです。

 しかし、すべての問題に通用する免罪符にはなりません。不妊治療が今後制限される要因のとなるような行為をしてしまったことを真摯に省みるべきだと思います。

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benyamin ♂

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