認知機能検査

 今日は認知機能検査です。

 認知機能検査とは、75歳以上の運転免許所持者に対して行われる検査です。高齢者は運転に必要な能力が低下しているため、その運転は本人のみならず周囲にも至極危険です。そうした危険性を排除するため、この検査によって高齢者の能力の低下度合いを直接把握して、高齢者に適切な運転指導に活用していくのです。

 これに先だってもみじマークが導入されました。しかしながら、高齢者を枯れ葉扱いしている、私たちは枯れた人間ではない、早く死ねということか、など、いつもの感情論によって攻撃されたため、現在ではあまり普及していません。もちろん、もみじマークを否定したところで高齢者運転の危険性が消えるわけではありません。

 認知機能検査に対しても同様の感情論が投げつけられています。つまり、高齢者を無能扱い捨ている、私たちは無能な人間ではない、早く死ねということか、などです。いずれも高齢者運転の危険性に対する正当な反論にはなっていないのですが、マスコミではこうした感情論のほうが優先されてしまいがちです。

高齢運転者:「記憶・判断力低い」3% 免許取り消し可能性??認知機能検査

 警察庁は24日、75歳以上の高齢ドライバーに運転免許更新時に義務付けた「認知機能検査」(講習予備検査)の施行3カ月の実施状況を公表した。免許取り消しの可能性がある「記憶力・判断力が低い」の判定は全体の3・3%で、警察庁は「ほぼ事前の試算通り」としている。

 認知機能検査は6月1日から開始。対象者は約304万人(08年12月末現在)で、3カ月で2万6307人が受検した。このうち「記憶力・判断力が低い」(第1分類)との判定は870人(3・3%)。「記憶力・判断力が少し低い」(第2分類)は7203人(27・4%)、「記憶力・判断力に心配がない」(第3分類)は1万8234人(69・3%)だった。

 警察庁によると、第1分類の判定でも免許更新はできるが、更新前後に信号無視など特定の交通違反がある場合、専門医による受診か主治医の診断書を提出する必要がある。認知症と診断されれば、免許取り消しの対象となる。

 また、受検者へのアンケート結果では、回答した2198人の83・2%が「ためになった」と好意的に受け止めていた。一方、難易度を問う設問に「普通」と答えた割合が62・6%と最多で、「難しかった」も25・5%あった。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090924dde041040002000c.html

 上の記事でも、ざっと読むと高齢者の運転能力には何の問題もなく、ごく一部の3%の人々だけが危険であるかのように読めてしまいます。表題にも3%という数値しか書かれていません。これは毎日新聞の記事ですが、他の新聞社の記事でも同じような様式です。

 ところが、記事をよく読むと、認知機能が低いと判定された割合は3%ではないことがわかります。つまり、認知機能が少し低いと判定された割合が27%強であり、全体としては30%以上の人々が認知機能に問題があると判定されているのです。それが3%という少ないほうの数値だけが強調される記事になってしまっています。

 本来であれば、75歳以上の運転免許所持者の3割が認知機能に問題あり、といったような表題と内容の記事にするべきでしょう。高齢者運転の危険性に対処するためにも、3割に機能低下が見られるという現実に正面から向き合わなければなりません。にもかかわらず、マスコミでは軽い数値を強調した記事になっています。地球温暖化問題では悪い数字を過度に強調する姿勢とは正反対です。

 もちろん、今回の検査結果をどのように受け止めるかについて慎重な検討が必要でしょう。つまり、この3割という数値が他の年代と比べて高いのかどうか、という点は議論しなければなりません。高齢者の運転が危険だとの指摘は誰もが日常的に感じることだとはいえ、本当に高齢者だけが危険なのかという疑問は残っています。

 徒に高齢者を批判対象にすることは私も望みません。だからこそ、今回の検査による具体的な数値は、高齢者運転に対する今後の議論に大いに役立つと思います。それだのに、その重要な数値が正確に伝えられていません。マスコミの姿勢にはとてもうんざりします。

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benyamin ♂

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