2009年11月アーカイブ

インフルエンザによる死亡数

 今日はインフルエンザによる死亡数です。

 今年初めあたりから新型インフルエンザの脅威が喧伝され、大流行になったら多数の死者が発生すると危惧されています。従来のインフルエンザよりも新型は怖いものだとされ、適切な対策を講じることは国民の義務になりつつあります。

 その一方で、新型インフルエンザが具体的にどの程度の脅威であるのかに関する情報はあまりないように思います。例えば、従来の季節型インフルエンザと比較して死者数がどの程度増加するのかがよくわからないまま、新型が怖いとされているのが現状です。

 そこでいくつか調べてみたのですが、両者における死者数の比較がない要因がわかりました。インフルエンザによる死者数に関する統計数値が事実上ないのです。これでは具体的な数値に基づいた議論ができるはずがありません。

 もともと、インフルエンザに感染しても、それが原因で死亡したと診断されることは稀です。そのため、インフルエンザを死因とする死者数は、厚生労働省の資料では、2007年で696人、2008年で272人です。これは結核による死者数よりも少なくなっています。

 これだけ見れば、インフルエンザへの対策は優先順位が引き下げられるべきだと言えてしまいます。しかしながら、実際にはインフルエンザに感染したことにより肺炎などを併発して死亡する事例が多いようです。この場合、インフルエンザに感染しなければ死亡しなかったとしても、死因は肺炎とされてしまいます。これではインフルエンザの影響が把握できません。

 インフルエンザ感染と死因との関係を補う統計として、超過死亡概念による推計があります。これは全体の死亡数が増加した場合、その増加分はインフルエンザが影響していると見なして算出する数値です。インフルエンザ感染者数の増加を考慮に入れて計算します。超過死亡ではインフルエンザによる死者数はおおよそ10倍になるため、上記の数値を参考にすれば、2007年は7000人程度、2008年は2800人程度となります。

 超過死亡は、しかしながら、推計による数値です。慎重に計算された結果であるとはいえ、何を推計に盛り込むかによって数値は大きく変化します。論者によって数値も異なるため、その妥当性を巡って論争になることも多いようです。したがって、超過死亡によってインフルエンザの脅威を議論することには一定配慮が必要になるでしょう。

 インフルエンザによる死者数は、死因として確定された統計数値では少なすぎますし、影響を考慮した超過死亡による推計では参考程度にしかなりません。したがって、インフルエンザの脅威について死者数を基準として議論することは非常に困難です。超過死亡の数値を提示して議論することも可能でしょうが、その場合はその妥当性が確保されない限り、実態に即した議論とは言えません。

 死者数がはっきりわからないとはいえ、インフルエンザが恐れる必要がないと結論づけるのは早計でしょう。感染者数がもりもりと増えているからです。ここには新型も季節性も含まれていますが、いずれにしても感染者数は近年まれに見るほど増大しています。感染者数が増えれば、正確な比率は不明とはいえ、確実に死亡数も増えることになると思います。

 新型インフルエンザの脅威がどれほどかは不明ですが、インフルエンザ一般への対策は確かに必要と言えるかもしれません。

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benyamin ♂

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