派遣村と弱者

 今日は派遣村と弱者です。

 みんな大好き派遣村ですが、今年も大好評だったようです。

“ごね得”許した「派遣村の品格」 費用は6千万円大幅超の見込み
2010.1.4 22:45

 「不平を言えば融通が利く。みんな“ごね得”だと気付いている」。4日閉所した東京都の「公設派遣村」を出た男性(34)は“村”での生活をこう皮肉った。派遣村では開所以来、行政側と入所者の衝突が絶え間なく続いた。職員の口のきき方への不満に始まり、昼食代の現金支給を求める入所者…。当初、目的だったはずの就職相談は不調に終わり、職員は最後まで入所者への対応に右往左往した。

就労相談わずか1割

 都は3日夜、この日退所した833人のうち住居を見つけられなかった685人のため、4日以降の新たな宿泊先に400人分のカプセルホテルを用意。残りの入所者には、都の臨時宿泊施設を割り振ることを決めた。

 だが、いざこざはここでも起きた。入所者の1人は冷笑を浮かべて言う。

 「その夜も『なぜ全員がホテルに入れないのか』と騒いだら泊まれることになった」

 入所者の抗議と厚労省などの後押しで、都は決定を覆す。抗議の数時間後にはカプセルホテルを追加で借り上げた。「騒ぎが大きくなったので…」と職員は言葉少なに語るのみだ。

 この1週間で本来の目的の就労・住宅相談に訪れた入所者はわずか1割。「正月休みに相談しても仕方ない。派遣村では一時金がもらえるとのうわさもあった。それ目当てで入った人も多い」との声も漏れた。

想定超す利用者

 一方で、自力で社会復帰への第一歩を踏み出した入所者も。退所を選んだ男性(67)は「入所中に友人の会社に就職が決まり、社宅に住めることになった。年末年始に泊めてもらって感謝している。食事もおいしかった」と語った。

 だが、この男性のように新たな職や住居が決まったのは少数だ。利用者数は当初の想定を超え、約6000万円と考えられていた費用も大幅に膨らむ見込み。費用はすべて国の負担で、都の幹部は「結局、政治のため」とぼやいた。

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100104/biz1001042246045-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100104/biz1001042246045-n2.htm

 お酒やたばこが買えたとの喜びの声も上がっています。

就活費で酒、たばこ…「公設派遣村」悪質入所者に返金要求へ
2010.1.7 00:46

 年末年始に住居がない失業者に宿泊場所や食事を提供する東京都の「公設派遣村」で、一部の入所者が就労活動のため都から支給された現金を酒代やたばこ代に使い、施設内で禁止された飲酒などの問題行動を取っていたことが6日、分かった。都はすでに泥酔状態となった男性1人を退所処分にしたほか、悪質な入所者には退所時に支給額と領収書の差額の返金を求める方針。

 派遣村は5日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区、4日に閉所)から大田区の都の臨時宿泊施設に移転。都は入所期限の18日までの就労活動用の交通費と昼食代として、入所者1人当たり計2万2千円を支給した(562人、総額約1236万円)。ところが、多くの入所者が活動費を受け取った直後に近くの小売店で酒やたばこを購入していたことが判明。店員は「朝から1万円札を握りしめた入所者が大勢並んで買い物に来ている。たばこがかなり売れ、酒やスポーツ紙などを購入する人も少なくない」と証言した。60代の入所者の男性は「都に提出する領収書がいらない交通費に出費したことにして帳尻を合わせたい」と話した。

 複数の入所者によると、移転した5日夜には酒を飲んだ入所者が騒ぎ、荷物が盗まれるといった騒動が発生。「みんな殺気立っていたが、現金を渡されたことで静まった」と30代男性は振り返った。施設では飲酒を禁止しており、発覚すれば退所処分となる。

 派遣村は午後4時半が施設に戻ってくる“門限”となっているが、6日は午後8時を過ぎても約100人が戻っていなかった。

 一方、都は6日、施設で生活保護説明会を開催。23区と八王子市の担当者が入所者と面談を行ったほか、就労支援のため1時間置きに最寄り駅まで送迎する貸し切りバスを用意。入所者の朝夜食に1食当たり約500円の弁当も支給した。都の当初の派遣村予算は6千万円だが、関係者は「予算を大幅に超えることは確実」と話す。

 職場を解雇され、インターネットカフェを転々としていた男性(46)は「就労活動のふりをして時間をつぶしている人もいる。本当に困窮している他の入所者が迷惑している」と語った。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100107/crm1001070048001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100107/crm1001070048001-n2.htm

 あの朝日新聞も派遣村の楽しい様子を伝えています。

東京都の派遣村200人、無断外泊 交通費2万円受給後
2010年1月7日15時0分

 住まいのない求職者を対象に、東京都が昨年末から宿泊場所を無料提供して続けている生活再建支援で、利用者約560人のうち、約200人が6〜7日、都が禁じた無断外泊をした。6日に都は宿泊施設の外へ仕事探しに行く交通費などとして、ほぼ全員に2万円を支給していた。

 都は昨冬の「年越し派遣村」の再現を避けたい国の要請で、4日まで生活総合相談を実施。しかし、約800人の利用者の多くが期間中に生活再建のめどが立たなかったため、都は継続支援を決めた。5日以降も生活再建の支援を希望した562人が同日、都の貧困者対策施設(大田区)へ入所。施設の提供期間は2週間程度を予定している。都は「利用中は生活再建に専念してもらう必要がある」として無断外泊を禁じた。

 利用者は6日から就労や生活保護申請に向けた相談を再開。施設外に仕事や住まいを探しに行くことを希望した542人には、国の財源で2週間分の交通費や食事代として2万円ずつ支給。希望人数が多かったため、事務作業を軽減しようと一括支給の形にした。領収書の提出など使途の報告を求め、目的外使用があれば返金させるという。

 受給者の多くが6日に外出したが、都が7日朝に確認した利用者数は342人。外泊の連絡は一部しかなかったという。担当者は「社会復帰のためにはルールを守る必要がある。残念な状況だ」。一方、昨冬の派遣村の実行委員らでつくる「年越し派遣村が必要ないワンストップ・サービスをつくる会」は「現金を持ち慣れていない人が多いだけに、一括ではなく2〜3日分ずつ渡すなどの配慮が必要だった」と指摘する。

http://www.asahi.com/national/update/0107/TKY201001070240.html

 ……さて、このように活気溢れる派遣村ですが、そろそろ方法論として限界に達してきていると言えないでしょうか。つまり、派遣村にいる人々をかわいそうな人と一括りにして救済する方法の問題点が明らかになっている、ということです。

 従来から日本では、部落、在日、障害者、女性、子供、老人などが一方的にかわいそうな人、弱者とされてきました。個々人の事情や状況がどうあれ、彼らは救済するべき対象とされてきました。しかし、本当に一括りに救済すべきかどうかは正面から検討されていないと思います。

 にもかかわらず、そうした曖昧な弱者の範疇に昨今では非正規雇用の労働者が追加されるようになりました。日本で弱者ではない人は日本人正社員男性だけです。救うべき弱者の範囲が広すぎます。弱者とされる人が本当に弱者なのか、それぞれを丁寧に再検討する作業が必要です。

 個別の事情や状況を踏まえることは、しかしながら、困難な作業です。調査や確認に手間がかかるという側面もありますが、それよりも極端な事例が提示されることが多いからです。弱者であることを強く印象づけることが先行し、真摯な検討を妨げています。

 みんなの人気者である湯浅誠氏は、働きたくても働けない弱者がいるのだから救済するべきだと主張しています。その際、事例として頻繁に取り上げているのが、小さい頃から父親に性的虐待を受けていたため家出してネットカフェに寝泊まりしている未成年の女の子です。

 話を聞くだけで涙が浮かんできそうです。誰が見ても、何とか助けるべきだと言うでしょう。私もそう思います。ですが、その事例はやはり一例として検討作業をしなければならないでしょう。当然ですが、働けない弱者がみんな家出少女ではありません。

 派遣村でも全員が困っているかわいそうな人なのでしょうか。もちろん、記事にありますが、必要な人に必要なサービスを提供できた側面はあります。この点は評価すべきです。派遣村を組織した本来の理念が達成されています。派遣村を必要としている人は確実に存在しいます。

 その一方で、救済すべき対象ではなかった人が派遣村に集まっていたことは認識するべきでしょう。就職支援のためのお金が酒に消えています。これはさすがに家出少女ではないでしょう。アル中だから本人の意思とは関係なく酒を買ってしまう、本人の責任ではなく仕方ない、といった極論でも展開したりするのでしょうか。

 いずれにしても、派遣村に来たからといってひとまとめにして就職支援金などを支給する必要はないと思います。たとえ派遣村にいようとも、本来的な構成員なのかどうか、救うべきかわいそうな弱者なのかどうか、個別に検討する作業が必要です。

 派遣村を今後も継続するのであれば、このような実態について何らかの改善措置が示されるべきでしょう。派遣村の崇高な理念が一部の似非派遣村人によって否定されているような事態です。派遣村を大切にする精神が残っていれば、現状を放置することはできないでしょう。

 もっとも、とりあえず派遣村を立ち上げて、世間の注目を浴びることが目的であれば、とくに対策は必要ないと思います。有名になることで著書がたくさん売れたり、講演会もたくさん開催されたりしましたので、十分に目的は達成されたと言えます。

 今さら派遣村の実態など顧みても、これ以上の利益は生まれません。それよりも次の仕掛けを考えた方が良いと思います。結婚できない人を集めた婚活村とかどうでしょうか。当たると思いますよ。

自己紹介

benyamin ♂

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