派遣村と税金泥棒

 今日は派遣村と税金泥棒です。

派遣村で都が「厳格化」要望へ “持ち逃げ”ほぼ全員特定
2010.1.26 00:00

 今月18日に閉鎖した「公設派遣村」で110人を超える強制退所処分者が出た問題で、東京都が分析した入所者データを基に、国に対し来冬以降の開設にあたり、入所条件の厳格化などを緊急要望する方針を固めたことが25日、分かった。2月初旬にも要望を提出する。

 都は、派遣切りなどで失業した本来の対象者と、一時金目的など悪質な入所者を選別したい考え。

 要望の中身は(1)今回、入所申請時までだったハローワークでの求職登録を、入所申請の数カ月前までに求職登録を済ませ就労活動に従事している人に限定(2)東京への一極流入を避けるため、都内での生活実態を精査した上で、周辺の県などでも公設派遣村の同時実施を行うよう要望する?など。

 このほか、現在、区市町村が窓口となっている住宅手当についてハローワークで行えるよう一元化することなど、第2のセーフティーネットの改善を求める。

 一方、都は一時金を“持ち逃げ”した111人についてほぼ全員を特定、うち携帯電話などで連絡がつく4割程度に直接、返金を求めるほか、残る人についても受給が決まった生活保護費などから天引きする方針という。

http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100126/lcl1001261220003-n1.htm

 今年も例年通り残念な結果に終わった派遣村ですが、その後の議論も予想通りの結果になっています(例1例2)。一時金を持ち逃げしたのは一部であり、大部分は障害などの仕方ない理由で持ち逃げのような格好になってしまっただけだ、との印象論が提示されています。

 感情に訴える扇情的な論調ですが、これを大きく動揺させるような調査結果が今日の記事では示されています。つまり、一時金を持ち逃げした人が特定されており、しかもそれが100人を超える人数であったことが明らかになりました。

 100人という規模は決して一部とは言えません。こうした人々が不正にお金を受け取ったことに対して、真摯に総括すべきでしょう。政治家や官僚が同じことをすれば、税金泥棒と強く非難されます。実際に昨今では必要以上に強く非難されてきました。

 派遣村の人々は弱者だから非難してはいけない、との立場でなければ、政治家や官僚と同じ強度で、今回の持ち逃げした人は税金泥棒だと非難されるべきです。誰を対象するかによって主張を変えるような二重基準では人々の支持は得られません。

 なお、持ち逃げした111人の内訳は今日の記事では明らかにされていません。したがって、そのなかに障害などから結果的に持ち逃げになってしまった人がどれくらい含まれているのかも不明です。この意味では111人全員を税金泥棒だと判断することは正当ではありません。

 そうは言うものの、障害を抱える人が100人もいたと推定することも困難です。先に紹介した議論では、仕方なかった人もいたことが具体的事例とともに強調されていますが、そうした人々が実際に何人いたのかは明示されていません。

 個別の具体的事例を把握して議論しているかのように見せていますが、本当にそうなのか疑問に感じました。障害などの衝撃的な事例を取り上げて、かわいそうな障害者を非難する気かと言わんばかりです。弱者に関する議論ではおなじみの手法です。

 私は弱者を救いたい、との気持ちは崇高で殊勝です。その一方で、その気持ちに検証や反省を伴わなければ、自己満足や自己陶酔に陥ってしまう危険性があります。派遣村で100人を超える税金泥棒が発生した実情を踏まえて、検証と反省する作業が必要であると思いました。

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benyamin ♂

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