2010年12月アーカイブ

良いお年を!

 良いお年を!

『グリーン資本主義』

 今日は佐和隆光『グリーン資本主義』(2009年、岩波新書1221)を読みました。

 久しぶりに独創性が感じられない本に出会いました。何というか、学習の成果をまとめた学生のレポートのような内容でした。

 本書の基本的な枠組みは、経済発展と環境保全を対立的にではなく調和的に把握しようとする点にあります。環境に配慮しながら経済を発展させようとすることは不可能ではなく、むしろ環境に負担をかけない生産活動が今後の経済発展につながる、という枠組みです。これは現代的な環境論議では欠かすことができない視点になります。

 不可欠な枠組みであるがゆえに、しかしながら、今では陳腐な通説に過ぎません。これを提示するだけでは何も問題提起したことにはなりません。議論の方向性と課題は両者を調和させる具体的なあり方を模索することにありますが、本書ではそうした作業が行われていません。現代的な議論に対応できていないのです。

 著者は、本書で自ら自慢しているように、従来からこうした主張しており、その先見性と一貫性は確かに認められるべきであると思います。ただ、本書はそれを確認するだけの内容になっているため、新しい発見や知識は何も得られません。せいぜい、既存の知識や議論について頭の整理になるくらいです。

 計量経済学を専攻している著者には、地球温暖化問題におけるモデル分析の領域で活躍を期待していますが、この点でも本書では何も魅力がありません。地球の平均気温や大気中の二酸化炭素濃度は高度なモデル分析を駆使して現在値や未来値が算出されていますが、使用するモデルによって算出される数値はばらばらです。そのため、こうした数値の扱いには注意する必要があります。世界的な権威とされるIPCCの報告書でさえ、懐疑的な見方をする議論もあります。各種のモデルを日常的に研究している著者も同様の検討を加えてしかるべきでしょう。

 ところが、本書で著者はIPCCの報告書が提示している数値に何も疑問を呈しません。それどころか、それに疑問を差し挟むことは差し出がましい行為であると逆に批判しています。その一方で、経済成長に関するモデル分析の結果については、選択するモデルによって数値はいかようにでもなるため、まともに取り合うべきではないものもある、と論断しています。しかし、経済成長のモデル分析は結果が不安定であるが、IPCCによる気候変動のモデル分析は信頼性が高いとする論拠は何も示されていません。

 何か新たらしいことを書かなくとも、本が出版できることがうらやましいと思いました。岩波新書はたまにこうした性質の本を出版します。他には、宇沢弘文『社会的共通資本』が有名どころでしょう。名前が売れている論者に何か書いてもらって売りさばき、さしあたりの経営収入を稼ぐ作戦でしょうか。長期化する出版不況の真っ直中にありますが、それは出版業界の側に責任があるような気がしました。

ボジョレー・ヌーボーの評価

 今日はボジョレー・ヌーボーの評価です。

 2010年のボジョレー・ヌーボーを飲んでみました。渋みがはっきりして飲み応えがありながら、変なくせがなくて飲みやすかったです。美味しい赤ワインだと思いました。

 もっとも、普段、2Lで1,000円のパックワインを飲んでいる私には、ハーフボトルで2,000円のボジョレー・ヌーボーが美味しく感じられることは当たり前ですが。値段で見れば、6倍も美味しいことになります。

 値段は別にしても、そこそこ美味しかったボジョレー・ヌーボーですが、専門家の評価はどうなっているのだろうと、Googleさんで調べて見ました。その結果、ここ数年の評価は以下のようになっています。

1995年「ここ数年で一番出来が良い」
1996年「10年に1度の逸品」
1997年「1976年以来の品質」
1998年「10年に1度の当たり年」
1999年「品質は昨年より良い」
2000年「出来は上々で申し分の無い仕上がり」
2001年「ここ10年で最高」
2002年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄え」「1995年以来の出来」
2003年「100年に1度の出来」「近年にない良い出来」
2004年「香りが強く中々の出来栄え」
2005年「ここ数年で最高」
2006年「昨年同様良い出来栄え」
2007年「柔らかく果実味が豊かで上質な味わい」
2008年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
2009年「50年に1度の出来栄え」
2010年「今年は天候が良かった為、昨年並みの仕上がり。爽やかでバランスが良い」

 うーん。評価が入れ子状態になっていて、把握するのが難しいです。

 2010年は2009年並みの仕上がりとなっていますが、その2009年は50年に一度の出来映えです。とはいえ、最高ではなく、100年に一度の出来が2003年には負けます。

 その一方で、1976年以来の品質となっている1997年や、10年で一度と言われる年が複数あります。このあたりよりも2010年は美味しいと言って良いものでしょうか。

 さしあたりは、2010年のボジョレー・ヌーボーは例年並みに美味しいといった評価になるでしょうか。私が飲んだ感覚でも美味しいワインと思いました。

 毎年の評価を美味しい順に並べるとどうなるか疑問に思いました。10年に一度同士をどのように順位付けされるのか、1997年と2001年、2002年の三つどもえ関係はどのように整理されるのか、非常に関心があります。

 他に気になった点は、何年に一度とか何年並みとかの評価がなされていない年です。つまり、2000年、2004年、2007年、2008年です。他の年との比較を超えた美味しさであったのか、あるいはあまり美味しくなかったのか、これも興味深いところです。

 100年に一度と言われる2003年のボジョレ−・ヌーボーを、当時に私も飲んでみましたが、確かにとても美味しかった記憶があります。この年のワインは後の時代に高値で取引されるかもしれません。

 まったく関係ありませんが、ボジョレー・ヌーボーのヌーボーはキーボードで打ちにくいです。ここまで書くなかで、間違えず打ち込めた時は一度もありません。みなさんはどうでしょうか。

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benyamin ♂

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