医療崩壊は自業自得

 今日は医療崩壊は自業自得です。

上小阿仁 再び無医村の危機

医師が退職願 中傷で心労か

 上小阿仁村唯一の医療機関である村立上小阿仁国保診療所の有沢幸子医師(66)が退職願を出し、受理されたことが28日、分かった。有沢医師は昨年、一部住民の嫌がらせが原因で辞意を示したが、住民の熱意で、その後、撤回した。今回は、健康上の理由だというが、今でも嫌がらせが続いていることが背景にあると指摘する村関係者もいる。後任探しは難航が予想され、再び無医村の危機を迎えた。(糸井裕哉)

 有沢医師は昨年9月、小林宏晨(ひろあき)村長に対し、「激務をこなせる体力がもうない」と退職願を提出した。小林村長は「土日を完全休診にする」「週2日は非常勤医に任せる」などの待遇改善策を提示して慰留に努めた。

 しかし、有沢医師は昨年末の検査入院で「現状が続けば健康維持は難しい」と診断されたことを挙げ、申し出を断った。意志は固いと判断した小林村長は2月下旬、受理した。退職にあたり、有沢医師は「後任に引き継ぐまでは頑張る」と話していた。

 有沢医師は当初、辞任の公表を望まなかったが、今月中旬に有沢医師から「いつ辞めるか分からないのに実情を知らせないのは村民に不誠実」との申し入れがあり、村は事実の公表と、ホームページ上での医師公募に踏み切った。また、退職願を受け、村は、有沢医師の負担を軽減するため、4月から秋田市立秋田総合病院長を週1回招いて、外科と泌尿器科の診療を実施する。

 有沢医師は2009年に赴任。年間約20日しか休診せず、夜間や早朝でも往診する献身的な診療で、住民から絶大な信頼を得た。その一方で、一部住民から、「平日に休むな」「患者を待たせすぎだろ」などの心無い中傷で心労が重なり、辞意を表明した。

 1週間で慰留を求める約800人の署名を集めた村民の熱意で翻意した。だが、その後も無言電話があり、年始に休診した際には「正月だからって休むのか」と嫌がらせの電話があるなど、有沢医師に対する中傷は続いたという。

 さらに、周辺自治体で医療機関が続々と縮小した影響などで、有沢医師のいる診療所では患者が急増。昨年は1日あたりで前年比約10人も増えた。

 村の担当者は「有沢先生は後任が決まるまで続けると言ってくれているが、夏までに医師を見つけないと先生が倒れる」と、後任探しに奔走している。

 だが、有沢医師のように村に移住し、急患や往診に即応できる医師の確保は困難だ。村では、常駐の医師が見つからない場合として、非常勤の医師を複数おいて、診療態勢を維持することも考えている。

 月一度、診療所に通っている山田ツル子さん(75)は「一人暮らしで移動手段が限られる私には診療所と有沢先生だけが頼り。無医村になるのは避けたい」と不安な表情を浮かべた。

(2011年3月29日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20110328-OYT8T01034.htm

 医療崩壊の基本的問題の続きです。同じ読売新聞が記事にしていますが、この記事も新聞にしては良い内容になっています。地域唯一の医者が住民や患者から激しい嫌がらせを受けていたことを明示しているからです。

 当該医者は昨年から退職願を提出していましたが、医者がいなくなっては困る行政側は慰留を続けていました。その退職願が今月末になってやっと受理されましたので、これより、地域では医療崩壊が発生するでしょうが、それは自業自得だと評価すべきです。

 地域から医者がいなくなる可能性が高まっても、当該医者に対する嫌がらせは続いていたようです。その一方で、医者がいなくなると困ると残念がっているのですから、田舎の人間は本当に理解不能です。

 前任者は2008年2月から2009年1月までの約11ヶ月で退職しています。その医者は僻地医療に20年も従事してきた人ですが、それでも1年もちませんでした。僻地医療の専門家をも追い出すような住民たちの嫌がらせがあったのでしょう。

 今回の医師は2009年1月から2011年3月までとなりますので、2年以上も嫌がらせに耐えて医療を提供してきました。十分です。お疲れさまでした。もう嫌がらせに悩まされることはありません。ゆっくりと休養してください。

 この地域にしばらくは医者はやってこないでしょう。それによって高齢者を中心に被害が出るかもしれません。ですが、仕方のないことです。医者を追い出したのは住民たちですから、その結果は住民たち自身が望んだことです。

 医者がいない地域、というと、社会政策上の大きな問題になるため、救済しなければとの思いに駆られてしまいがちです。しかしながら、これは住民たちが望んだことです。外野の人間である私たちから提言することは何もありません。

 井堀利宏が『公共事業の考え方』(2001年、中公新書)で、地域を維持することは無駄であるため、積極的に切り捨てるべきだ、と主張して世間を驚かせましたが、意外に重要な指摘だと思います。一方的な切り捨ては妥当ではないでしょうが、地域を大切にすることを金科玉条にする必要はないと、私も考えます。

 地方分権も素晴らしいこととして批判が封じられる傾向にありますが、権限を移譲される地域が本当に自治の担い手として適切かどうかは検討されるべきでしょう。地域の視点や庶民の感覚が政治過程に直接反映されると、明るい未来が開けるのでしょうか。

 今回の問題は、単に医療問題のみならず、他の問題領域へも拡大して考えるべきだと思います。また、議論する際には医者や行政を批判するのではなく、問題の原因となっている住民側にも大きく切り込んでいくべきでしょう。地域の問題は根深いです。

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benyamin ♂

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