『村崎百郎の本』

 今日はアスペクト編『村崎百郎の本』(2010年、アスペクト)を読みました。

 私も以前に書きましたが、2010年7月に熱狂的なファンによって自宅で殺害された村崎百郎について、彼の関係者たちが思い出を書き綴った本です。一言で言えば、彼の死を「鬼畜が鬼畜に殺された」と揶揄する言説に対して反論する、という問題意識の元でまとめられた本となっています。

 とはいえ、村崎百郎がただの鬼畜ではないことは、彼の文章を読んでいればわかることですし、彼の死を揶揄する声もそれほど大きくはなかったように思います。その点では、誰と戦っているのか、朦朧としており、死後5ヶ月もたたない時期に慌てて出版した本といったところです。

 ですので、本書の魅力は、関係者たちによる思い出話の間に掲載されている、村崎百郎の遺稿です。知性と感性に裏打ちされた、とても非道いエッセイや短編小説を読むことができます。なかでもおすすめは、「<汚物童子・村崎百郎の勝手に清掃局>隣の美女が出すゴミ」と「パープル・ナイト」です。いずれもゴミ漁りを題材とした、ハートウォーミングな小説です()。

 両作品ともが1990年代中頃に書かれたものです。私が好きだった『社会派くん』では、社会問題を不真面目に熱く語る姿が印象的でしたが、これらの作品では楽しそうにゴミを、そして、そのゴミを出す人間を語る姿を見ることができます。こういう村崎百郎をもっと見たい、読みたいと思いました。改めて、ご冥福をお祈りします。

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benyamin ♂

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